抗血栓トライアルデータベース
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REACH 4-year outcomes
結論 心,脳,末梢のうち複数の血管床にアテローム血栓症を有するpolyvascular diseaseは,将来の虚血イベント発症の最も強力な予測因子であった。また,1年以内に虚血イベントを発症,糖尿病もリスクを強く上昇させた。
コメント 本試験は国際的前向き観察研究である。初期には世界44ヵ国から68000例以上の症例が登録された。当初から日本人が5000例以上登録されたという点で,欧米諸国との比較における日本人症例の特徴を示した初めての臨床研究となった。
規制当局は長年,日本人における出血,血栓イベントリスクは欧米人と同一とはいえない可能性があるとして,日本人における抗血栓薬の認可承認には日本人データが必要とのスタンスであった。従来の議論には科学的根拠が乏しかったが,REACH registryは明確に日本人におけるアテローム血栓性イベントリスクは欧米人より低いことを示した。従来の規制当局のスタンスが正しかったことを示した意味は大きい。(後藤信哉

目的 アテローム性血栓症に関する世界的規模の登録研究である REACH Registry の4年後の転帰を解析。
デザイン 登録研究。
セッティング 多施設(3647施設),29ヵ国(欧州,北米,南米,アジア。日本5073例を含む)。
期間 登録期間は2003~2004年。追跡終了は2008年。データベースの最終確定は2009年4月。
対象患者 45227例。REACH registryの対象者は45歳以上の冠動脈疾患(CAD),末梢動脈疾患(PAD),脳血管疾患(CVD)患者,またはアテローム性血栓症の危険因子*を3つ以上有する者68236例で,本論文ではこのうち4年間の追跡に参加した国,施設の対象者について解析。
*:糖尿病,糖尿病腎症,足関節上腕血圧比(ABI)0.9未満,70%以上の無症候性頸動脈狭窄,頸動脈内膜-中膜肥厚が隣接部位の2倍以上,降圧治療にもかかわらず収縮期血圧が150mmHg以上,薬物治療を受けている高コレステロール血症,15本/日以上の喫煙,65歳以上の男性あるいは70歳以上の女性。
【除外基準】表記なし。
【患者背景】平均年齢は虚血イベント既往を有する患者(21890例)67.8±10.1歳,虚血イベント既往のないアテローム血栓症患者(15264例)68.9±9.9歳,リスク因子のみ(8073例)69.2±9.7歳。男性70.1%,64.8%,49.8%。リスク因子:高血圧79.3%,79.7%,89.6%,高コレステロール血症67.3%,69.6%,80.2%,糖尿病36.5%,37.3%,74.7%,肥満(BMI≧30)25.0%,27.1%,40.0%,ベースライン時の現喫煙14.4%,15.4%,19.2%,心不全17.9%,11.7%,5.8%,心房細動11.9%,10.2%,6.2%。ベースライン時の血管疾患:CAD 70.8%,71.4%,0%,CVD 45.9%,18.1%,0%,PAD 9.6%,24.7%,0%。
治療法 31195例における4年後の時点での使用抗血栓薬は以下の通り。
1つ以上の抗血栓薬使用は虚血イベント既往を有する患者93.2%,虚血イベント既往のないアテローム血栓症患者91.2%,リスク因子のみ67.5%。aspirin単独56.6%,57.2%,51.8%。他の抗血小板薬単独14.6%,14.6%,6.4%。経口抗凝固薬14.5%,12.4%,7.5%。aspirin+他の抗血小板薬13.4%,12.0%,3.7%。
追跡完了率 4年の追跡完了は45227/68236例。
結果

●評価項目
5481例に何らかのイベントが発生した。内訳は,心血管死2315例,心筋梗塞1228例,脳卒中1898例,心筋梗塞と脳卒中を同日に発症40例。
虚血イベント(心血管死,心筋梗塞,脳卒中)発症率は虚血イベント既往を有する患者が最も高く,虚血イベント既往のない患者,リスク因子のみの者の順であった(p<0.001)。
虚血イベント既往を有する患者:18.3%,95%CI 17.4-19.1%。
虚血イベント既往のない患者:12.2%,95%CI 11.4-12.9%。
リスク因子のみの者:9.1%,95%CI 8.3-9.9%)。
多変量モデルによると,虚血イベントの予測因子は以下の通りであった。
polyvascular disease(リスク因子のみに対して):HR 1.99,95%CI 1.78-2.24,p<0.001。
うっ血性心不全:HR 1.71,95%CI 1.60-1.83,p<0.001。
1年以内に虚血イベントを発症:HR 1.71,95%CI 1.57-1.85,p<0.001。
糖尿病既往:HR 1.44,95%CI 1.36-1.53,p<0.001。
aspirin使用:HR 0.93,95%CI 0.87-0.98,p=0.01。
日本(他の諸国に対して):HR 0.70,95%CI 0.63-0.77,p<0.001。

●有害事象

文献: Bhatt DL, et al.; for the REACH Registry Investigators. Comparative Determinants of 4-Year Cardiovascular Event Rates in Stable Outpatients at Risk of or With Atherothrombosis. JAMA 2010; 304: 1350-7. pubmed
関連トライアル Andersson C et al, REACH 3-year outcomes, REACH Registry, REACH serious bleeding, TRA 2P-TIMI 50 previous myocardial infarction
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