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FUTURA/OASIS-8 Fondaparinux Trial With Unfractionated Heprin During Revascularization in Acute Coronary Syndromes / Organization to Assess Strategies in Acute Ischemic Syndromes
結論 未分画heparin(UFH)低用量投与は標準用量投与に比し,PCI周術期の大出血および血管アクセス部位合併症を抑制しなかった。
コメント 本試験は複雑なプロトコール下で施行された。ヘパリン投与後のaPTT,ACTによる用量調節は実臨床下ではかなり面倒である。一定量を投与して放置してもさほどアウトカムに差がないとの結果は,臨床医の病棟における負担軽減に役立つとの点では意味があった。(後藤信哉

目的 初期にfondaparinux皮下注を受け,早期冠動脈造影を照会された高リスク非ST上昇型急性冠症候群(NSTE-ACS)患者に対するPCI時のUFH付加的静注について,活性凝固時間(ACT)を指標とした標準用量と固定低用量の2つのレジメンの安全性を検討。一次エンドポイント:PCI周術期(ランダム化からPCIの48時間後まで)の大出血,小出血,血管アクセス部位の主要合併症(大血腫,治療を必要とする仮性動脈瘤,動静脈瘻,アクセス部位に関連する他の血管手技)。二次エンドポイント:PCI周術期の大出血による死亡,心筋梗塞(MI),30日後の標的血管血行再建術。
デザイン ランダム化,二重盲検。NCT00790907。
セッティング 多施設(179施設),18ヵ国(欧州,北米,アジア)。
期間 登録期間は2009年2月~2010年3月。
対象患者 2026例。以下の基準を満たす患者:新規または悪化する虚血に合致する既往(安静時または最小限の活動で発症);最新の症状から48時間以内; 72時間以内に冠動脈造影を予定(適応があればPCIを施行);以下の2つ以上に合致:年齢60歳以上,トロポニンT/I/クレアチンキナーゼMBが正常値上限以上,虚血に相当する心電図上の変化。
【除外基準】21歳未満;UFHまたはfondaparinux,血管造影の禁忌;動的なST変化,心不全,生命にかかわる不整脈,血行動態不安定をともなう難治性または再発性狭心症のため緊急(<120分)冠動脈造影を必要とする;当該イベントのための抗凝固薬注入(ただし最終投与が8時間以上前のLMWH,60分以上前のbivalirudin,90分以上前のUFHは除く);12ヵ月以内の出血性脳卒中;ACS以外の抗凝固薬の適応;当該イベントのためすでに血行再建術を施行;クレアチニンクリアランス<20mL/分など。
【患者背景】平均年齢は標準用量群65.5±11.1歳,低用量群65.3±11.2歳。男性68.5%,67.3%。登録時の心不全8.4%,9.9%。既往:MI 20.7%,17.8%,脳卒中3.7%,5.0%。リスク因子:末梢動脈疾患5.7%,5.4%,高血圧69.0%,66.9%,高コレステロール血症41.7%,40.0%,糖尿病27.9%,26.1%。造影上の特徴:1枝疾患45.5%,50.7%,多枝疾患54.5%,49.3%。UFH投与量中央値6400U(85U/kg),3800U(50U/kg)。追加ボーラス投与22.7%,8.0%。
治療法 参加適格患者にfondaparinux 2.5mgをオープンラベルで投与。PCI施行確定後,GP IIb/IIIa受容体阻害薬(GPI)投与の予定により層別化し,ガイドワイヤー挿入の1分以上前に標準用量群(1002例)または低用量群(1024例)にランダム化。
標準用量群:ACT 250~300秒または300~350秒(測定機器による)となるよう,UFH 85U/kgをボーラス投与し,必要であればボーラス投与を追加。GPI投与を予定されている場合は,測定機器にかかわらずACT 200秒以上となるよう60U/kgおよび追加ボーラスを投与。
低用量群:GPI投与予定を問わず,またACTによる調整をせずに固定用量50U/kgを投与。
全例において,最初のボーラス投与の最大量は10000Uとした。追加ボーラスはACTアルゴリズムにより2回までとした。ACTは非盲検の試験コーディネーターにより全例で測定されたが,担当医はその結果について知らされなかった。PCIの手技が1時間以上かかる場合はUFH追加ボーラス投与を許可(標準用量群ではACTにより,低用量群では40U/kgを投与)。なお,直接Xa因子阻害薬,LMWH,経口抗凝固薬,線溶薬,デキストランの投与は行わなかった。非ステロイド性抗炎症薬は禁止された。
追跡完了率 48時間の追跡終了は100%,30日間の追跡終了は2024/2026例。
結果

●評価項目
一次エンドポイントは低用量群48例(4.7%),標準用量群58例(5.8%)と同等であった(OR 0.80,95%CI 0.54-1.19,p=0.27)。
大出血の発生は同等であったが,小出血は標準用量群の方が多かった。
大出血:14例(1.4%)vs. 12例(1.2%)(OR 1.14,95%CI 0.53-2.49,p=0.73)。
小出血:7例(0.7%)vs. 17例(1.7%)(OR 0.40,95%CI 0.16-0.97,p=0.04)。
二次エンドポイントは低用量群59例(5.8%)と,標準用量群39例(3.9%)に比し有意ではないが多かった(OR 1.51,95%CI 1.00-2.28,p=0.05)。
大出血以外の内訳は下記の通り。
死亡:8例(0.8%)vs. 6例(0.6%)(OR 1.31,95%CI 0.45-3.78,p=0.62)。
MI:31例(3.0%)vs. 25例(2.5%)(OR 1.22,95%CI 0.72-2.08,p=0.47)。
標的血管血行再建術:9例(0.9%)vs. 3例(0.3%)(OR 2.95,95%CI 0.80-10.9,p=0.11)。
カテーテル血栓症は低用量群5例(0.5%),標準用量群1例(0.1%)と両群とも少なかった(OR 4.91,95%CI 0.57-42.1,p=0.15)。

●有害事象
[評価項目]に表記。

文献: Steg PG, et al.; The FUTURA/OASIS-8 Trial Group. Low-Dose vs Standard-Dose Unfractionated Heparin for Percutaneous Coronary Intervention in Acute Coronary Syndromes Treated With Fondaparinux: The FUTURA/OASIS-8 Randomized Trial. JAMA 2010; 304: 1339-49. pubmed
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