抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
CASPAR Clopidogrel and Acetylsalicylic Acid in Bypass Surgery for Peripheral Arterial Disease
結論 下腿動脈バイパス術を必要とする末梢動脈疾患(PAD)患者において,clopidogrel+aspirin併用はaspirin単独に比し,下肢および全身の転帰を改善しなかった。人工血管グラフト患者では併用のベネフィットが認められた。

目的 片側性下腿動脈バイパス術を施行するPAD患者において,clopidogrel+aspirin併用はaspirin単独に比し,グラフト部の閉塞を抑制するか検討。一次エンドポイント:追跡期間中に発生した以下のイベントの初発(何らかの撮像法により確認された当該バイパスの閉塞;当該バイパスまたは吻合部周囲の外科的/血管内血行再建術;当該下肢の足首より上の切断;死亡)。安全性の一次エンドポイント:重度の出血(GUSTO出血基準)。
デザイン ランダム化,二重盲検,intention-to-treat解析。NCT00174759。
セッティング 多施設(87施設),13ヵ国(欧州,オーストラリア)。
期間 登録期間は2004年9月~2006年8月。
対象患者 851例。PADの治療として血管グラフト術を受けた後,2~4日経過した患者;40~80歳;手術の4週以上前からのaspirin連日投与(用量は問わない。手術前の数日間の非投与は容認);ランダム化後のaspirin用量は75~100mg/日;アテローム性PADのため片側性下腿動脈バイパス術(遠位吻合が膝関節より下など)を施行;バイパス術施行中または手術からランダム化の間に当該グラフトの開存が得られた;ランダム化時にグラフト閉塞の臨床的証拠が認められない。
【除外基準】40歳前にPADを発症;非アテローム性血管疾患;大動脈両側大腿動脈,腸骨大腿動脈,クロスオーバー(大腿部-大腿部)グラフト手術の既往,または同一手術にて末梢部経皮的血管形成術を施行;手術部位の進行性の活動性出血などの重篤な出血リスク;ランダム化前12時間以内の硬膜外カテーテルの除去;ランダム化12ヵ月以内の消化性潰瘍;頭蓋内出血または出血性脳卒中の既往または現症;重篤な自然出血の既往;warfarin投与中またはwarfarin,抗血栓薬の追加,血栓溶解剤が必要と予想される。
【患者背景】平均年齢はaspirin単独群65.6±8.5歳,clopidogrel+aspirin併用群66.5±8.7歳。男性75.8%,75.5%。BMI 25.7±4.2kg/m2,25.6±4.3 kg/m2。現喫煙36.4%,38.8%。高血圧70.0%,70.1%。脂質異常症48.8%,50.4%。冠動脈疾患かつ/または脳血管疾患31.0%,38.4%(p<0.05)。糖尿病38.0%,37.4%。
治療法 高用量の未分画heparinまたは低分子量heparin(LMWH)を手術中およびランダム化の12時間前まで投与したが,それ以降は投与しなかった。ランダム化当日からは,適応がある場合はdextran≦10000IU/日またはLMWHの深部静脈血栓症予防用量の投与を許可した。シクロオキシゲナーゼ-2阻害薬の一時的使用(3週間の継続使用を超えない)も許可した。シクロオキシゲナーゼ-1非ステロイド性抗炎症薬の使用は禁止したが,必要な場合は7日までの低用量投与のみ許可し,その間の試験薬投与は中止した。
グラフトのタイプ(静脈グラフトまたは人工血管グラフト)により層別化後,clopidogrel+aspirin併用*1またはaspirin単独*2にランダム化。試験薬はランダム化当日より投与開始。なお全例について,必要に応じた標準的治療(スタチン,β遮断薬,創傷ケアなど)が担当医の裁量により行われた。また担当医に対して,国際的ガイドラインにしたがった心血管リスク因子低減のための治療が奨励された。
*1:425例(静脈グラフト297例+人工血管グラフト128例)。clopidogrel 75mg/日+aspirin 75~100mg/日。
*2:426例(静脈グラフト301例+人工血管グラフト125例)。プラセボ+aspirin 75~100mg/日。
追跡完了率 試験薬早期中止はclopidogrel+aspirin併用群25.2%,aspirin単独群21.0%。有効性のエンドポイントについての追跡終了は97.8%。
結果

●評価項目
一次エンドポイントの発生は,clopidogrel+aspirin群149例,aspirin単独群151例と同等であった(HR 0.98,95%CI 0.78-1.23,p=0.87)。
治療効果とグラフトタイプの間に相互作用が認められた(p=0.008)。静脈グラフト例では全例での解析と同様の結果であったが(HR 1.25,95%CI 0.94-1.67),人工血管グラフト例ではclopidogrel+aspirin群で抑制された(HR 0.65,95%CI 0.45-0.95,p=0.025)。
(全例での解析)
グラフト閉塞:HR 0.94,95%CI 0.71-1.25。
切断:HR 0.68,95%CI 0.43-1.08。
死亡:HR 1.44,95%CI 0.77-2.68。

●有害事象
全出血(GUSTO出血基準)はclopidogrel+aspirin群71例(16.7%)と,aspirin単独群30例(7.1%)に比し多かった(p<0.001)。重度の出血について差はみられなかった(2.1% vs 1.2%,p=NS)。

文献: Belch JJ, et al.; CASPAR Writing Committee. Results of the randomized, placebo-controlled clopidogrel and acetylsalicylic acid in bypass surgery for peripheral arterial disease (CASPAR) trial. J Vasc Surg 2010; 52: 825-33, 833. e1-2. pubmed
関連トライアル ACTIVE A, Berger JS et al, Berger JS et al, CABG施行までのclopidogrel継続投与の安全性, CAPRIE 1996, CAPRIE impact of smoking, CHAMPION PHOENIX, CHAMPION pooled analysis, Chan FK et al, CHANCE, CHARISMA, CHARISMA bleeding complications, CHARISMA post hoc analysis, CHARISMA subgroup analysis, CLASSICS, COGENT, COMPASS, CREDO, CURE, DAC, Dialysis Access Consortium Study , EXPRESS risk of bleeding, FASTER, Lamberts M et al, MATCH, McCollum C et al, PCI-CURE, PLATO, PLATO bleeding complications, PLATO diabetes, PLATO undergoing CABG, PRoFESS, PRoFESS disability and cognitive function, Saadeh C et al, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SPS3, SPS3 post hoc analysis, TOSS-2, TRITON-TIMI 38, WOEST
関連記事