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RIKS-HIA Register of Information and Knowledge about Swedish Heart Intensive Care Admissions
結論 2001年から2006年にかけて,ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者に対する線溶療法は顕著に減少したが,院内での大出血発生率は大幅に増加した。大出血が増加した原因の一部はフィブリン特異的線溶薬の使用,線溶薬前投与,抗血小板薬併用の増加により説明できると考えられる。

目的 STEMI患者に対する線溶療法は出血リスクを上昇させるが,PCIは即時施行が困難な場合があることから,線溶療法は現在も広く行われている。本論文では,STEMI患者に対し現在行われている線溶療法のパターン,院内出血率および長期予後を分析する。
デザイン 登録研究。
セッティング 多施設(73施設),スウェーデン。
期間 登録期間は2001年~2006年。
対象患者 15373例。冠疾患集中治療室に入院した患者全例。
【除外基準】院内での出血性合併症に関するデータが不明。
【患者背景】年齢はSTEMI患者70(60~79)歳,胸痛または他の心疾患患者68(57~76)歳(p<0.001)。女性33.4%,29.0%(p=0.004)。糖尿病18.7%,17.8%。高血圧34.6%,32.3%。心不全6.4%,13.5%(p<0.001)。腎不全1.1%,2.1%(p=0.003)。重篤な出血の既往3.5%,3.7%。心筋梗塞既往19.2%,32.0%(p<0.001)。脳卒中既往6.8%,5.9%。PCI歴4.4%,9.5%(p<0.001)。CABG歴3.6%,10.1%(p<0.001)。
治療法
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
本解析対象者のうち,STEMIと最終的に診断されたのは14344例(93%)で,残る1029例(7%)の最終診断は胸痛または他の心疾患であった。
再灌流療法として線溶療法を受けた患者は2001年4336例,2002年3711例,2003年2968例,2004年2187例,2005年1438例,2006年733例と減少した。
線溶療法を受けた患者における院内大出血(致死的出血,頭蓋内出血,手術または輸血を必要とする出血)発生率は2001年の1.2%から2006年の4.0%へ上昇した(p<0.001)。
多変量解析によると,線溶療法を受けた患者における院内大出血の予測因子は以下の通りであった。
加齢(1歳上昇ごと):OR 1.03,95%CI 1.02-1.04,p<0.001。
女性:OR 1.34,95%CI 1.05-1.70,p=0.019。
高血圧:OR 1.30,95%CI 1.02-1.65,p=0.031。
腎不全:OR 2.59,95%CI 1.27-5.28,p=0.009。
入院時のclopidogrel使用:OR 2.19,95%CI 1.27-3.80,p=0.005。
線溶薬前投与:OR 1.54,95%CI 1.18-2.00,p=0.001。
脳卒中既往:OR 0.53,95%CI 0.31-0.90,p=0.019。
線溶療法を受けたSTEMI患者において,大出血は1年後の死亡の強い予測因子であった;HR 3.45,95%CI 2.91-4.09,p<0.001。生存退院者に限っても同様の結果であった;HR 1.80,95%CI 1.25-2.60,p=0.002。

●有害事象

文献: Oldgren J, et al.; on behalf of the RIKS-HIA registry, Sweden. Fibrinolytic therapy and bleeding complications: risk predictors from RIKS-HIA. Heart 2010; 96: 1451-7. pubmed
関連トライアル BAT blood pressure levels, CLARITY-TIMI 28, ExTRACT-TIMI 25, ExTRACT-TIMI 25 clopidogrel, ExTRACT-TIMI 25 PCI, GRACE hemorrhage and mortality, Sørensen R et al, SYNERGY angiography, TAMI 2, 3, 5 and Urokinase Trial 1994, TRANSFER-AMI
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