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Martinelli I et al Long-term evaluation of the risk of recurrence after cerebral sinus-venous thrombosis
結論 脳静脈洞血栓症(CSVT)再発リスクは全体では低いが,抗凝固療法中止後1年以内および男性においては高い。軽度の血栓形成傾向はCSVT再発リスクを上昇させないが,重度では下肢の深部静脈血栓症または肺塞栓症発症リスク上昇をもたらす。
コメント 単一施設で選択バイアスの影響は考慮すべきものの,脳静脈洞血栓症多数例の前向き長期観察研究で,抗凝固療法中止後の再発のタイミング,頻度高リスク群を明らかにした貴重な論文である。男性,重度の血栓形成傾向を示す血液凝固異常合併例で長期継続が望ましく,中断を余儀なくされる場合のリスク説明にも有用である。(岡田靖

目的 抗凝固療法はCSVTの死亡率を低減させるが,中止後の再発率についての情報が乏しいため,至適治療期間は明らかとなっていない。本試験では,CSVT初発患者における抗凝固療法中止後6年の再発率およびその他の静脈血栓塞栓症の臨床症状を評価する。一次エンドポイント:CSVT再発またはその他の静脈血栓塞栓症の臨床症状。
デザイン 前向き観察研究。
セッティング 単施設,イタリア。
期間 登録期間は1991年1月~2008年6月。追跡終了は2009年1月15日。追跡期間中央値は72(1~202)ヵ月。
対象患者 145例。1991年1月~2008年6月に血栓形成傾向スクリーニングのため紹介されたCSVT初発患者連続例。CSVTは客観的方法により診断した。
【除外基準】長期抗凝固療法,追跡期間が1ヵ月未満,頭部外傷または全身性の癌など。
【患者背景】男性/女性39/106例。CSVT初発年齢中央値(最小~最大)33(11~79)歳。血栓症の部位:上矢状静脈洞19%,横静脈洞16%,直静脈洞3%,海綿静脈洞3%,皮質静脈2%,頸静脈1%,下矢状静脈洞1%,複合55%。リスク因子:感染8%,外傷3%,経口避妊薬使用90%*,妊娠/産褥期64%*,血栓形成傾向36%。症状と徴候:頭蓋内高血圧82%,頭痛78%,嘔気/嘔吐35%,乳頭浮腫6%,複視4%,羞明3%,脳神経障害2%。
*:出産可能年齢の女性において。
治療法 投与された経口抗凝固薬はheparin(未分画heparinまたは低分子量heparin)+ビタミンK拮抗薬併用76%,heparin単独12%,なし12%。投与期間中央値は12(1~62)ヵ月であった。
追跡完了率 追跡終了は132/145例。
【脱落理由】追跡不能8例,死亡3例,抗凝固療法再開2例。
結果

●評価項目
CSVT再発は5例(3%)(0.53%/100人・年,95%CI 0.16-1.10),静脈血栓塞栓症の発症は10例(7%)(1.05%/100人・年,95%CI 0.49-1.82)であった。静脈血栓塞栓症の内訳は下肢の深部静脈血栓症8例,肺塞栓症2例。
再発の約半数は抗凝固療法中止後1年以内にみられた。抗凝固療法中止後の期間別のCSVT再発率は,1年:5.04%/100人・年,95%CI 1.95-9.57,3年:2.63%/100人・年,95%CI 1.23-4.55,10年:1.74%/100人・年,95%CI 0.96-2.76。
CSVT再発のリスク因子は男性(調整HR 9.66,95%CI 2.86-32.7),CSVT以外の血栓症リスク因子は重度の血栓形成傾向(調整HR 4.71,95%CI 1.34-16.5)であった。

●有害事象

文献: Martinelli I, et al. Long-term evaluation of the risk of recurrence after cerebral sinus-venous thrombosis. Circulation 2010; 121: 2740-6. pubmed
関連トライアル DURAC, PREVENT gender , VTE再発予防療法の至適期間
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