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Robinson MT et al Safety of recombinant activated Factor VII in patients with warfarin-associated hemorrhages of the central nervous system
結論 warfarin関連脳内出血のため組み替え因子VIIa (rFVIIa)投与を受けた患者において,血栓塞栓症リスクは先行試験(FAST試験,N Engl J Med 2008;358:2127)の特発性脳内出血患者に比し高くなかった。本試験における最も一般的な合併症は深部静脈血栓症(DVT)であった。
コメント ワルファリン療法中に頭蓋内出血を発症した場合,出血の進展や血腫の増大を防止するために,早急にワルファリン効果を是正しなければならない。ワルファリン投与を中止するとともに,ビタミンK,新鮮凍結血漿,第IX因子複合体,および遺伝子組み換え第VII因子製剤などが投与される。ワルファリンを中止したり,その効果を急速是正するとワルファリン療法の対象疾患をはじめとする様々な血栓症や塞栓症が高い頻度で惹起されることが懸念されてきた。しかし,本研究からワルファリン療法中の頭蓋内出血急性期に第VII因子複合体を投与した場合の血栓症の発症率は,ワルファリン療法と関連しない頭蓋内出血症例における第VII因子複合体投与時の血栓症発症率と差異がないことが示された。(矢坂正弘

目的 rFVIIaは特発性脳内出血後の血腫増大を抑制し,warfarin投与中の患者のINRを低下させるが,血栓塞栓合併症リスク上昇とも関連している。本論文では,warfarin関連脳内出血後のrFVIIa投与の血栓塞栓症リスクを検討する。
デザイン コホート研究。
セッティング 多施設(2施設),米国。
期間 治療期間は2002年12月22日~2009年2月16日。
対象患者 101例。rFVIIa投与を受けた,X線上で確認された急性症候性warfarin関連脳内または髄腔内出血患者全例。rFVIIa投与は症状発現から6時間以内のINRが>1.4の場合に考慮した。
【除外基準】末期の腎疾患,薬剤に対するアレルギーまたは有害反応の既往,瀕死状態。
【患者背景】年齢中央値(範囲)は76歳(29~94)。男性/女性52/49例。合併症:冠動脈疾患16.8%,脳卒中14.8%,DVT/肺塞栓症(PE)16.8%,複数該当11.8%,なし39.6%。warfarinの適応:心房細動54.4%,人工弁5.9%,DVT 6.9%,複数該当13.8%,その他18.8%。INR:入院時中央値(範囲)3.04(1.2~16.2),rFVIIa投与後1.03(0.7~2.1)。出血のタイプ:脳内31.6%,硬膜下血腫29.7%,実質内(脳室内進展をともなう)22.7%,くも膜下出血6.9%,脳室内出血5.9%,脊髄硬膜外出血1.9%,硬膜外血腫0.9%。治療:rFVIIa 51.7±28.99μg/kg,FFP 2.5±2.37U,ビタミンK 9.5±7.42mg。神経外科的インターベンション42.5%。
治療法 rFVIIa 投与は神経内科医または神経外科医により個別的に決定され,rFVIIaシングルボーラス静注を2~5分かけて行った。最初の用量は40~80μg/kgとしたが,2007年以降はINRにあわせてより低用量投与を行った。全例に,初回評価時にビタミンK 5~10mgを静注。新鮮凍結血漿(FFP)は神経科のコンサルテーション前にしばしば投与された。FFPの注入は,INRが>1.4の場合でない限りrFVIIa投与後は行われなかった。rFVIIa再投与は神経外科的緊急事態の場合のみ行われた。
追跡完了率 追跡INR値が得られたのは95/101例。
結果

●評価項目
rFVIIa 投与後のINR≦1.4は,追跡INR値が得られた95例中91例で達成された。
90日後の新規血栓塞栓イベント発症は13例(12.8%),内訳はDVT 10例,虚血性脳卒中3例であった。うち8例(DVT 7例,虚血性脳卒中1例)が2週間以内に発症した。
虚血性脳卒中の3例はすべて心房細動のために抗凝固療法を受けていた症例で,心原性脳塞栓症と見なされた。これらの症例のrFVIIa投与前後のINRは,それぞれ投与前5.5→投与後0.9,2.4→1.1,2.1→1であった。
脳内出血患者における血栓塞栓合併症発症率は5%で,すべてDVTであった。

●有害事象

文献: Robinson MT, et al. Safety of recombinant activated Factor VII in patients with warfarin-associated hemorrhages of the central nervous system. Stroke 2010; 41: 1459-63. pubmed
関連トライアル AFASAK 2 1999, Huhtakangas J et al, PITCH, TIMI II Pilot and Clinical Trial
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