抗血栓トライアルデータベース
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BAT blood pressure levels
結論 抗血栓薬投与中の血圧上昇は脳内出血発生と明確に関連しており,脳内出血を避けるためには適切な血圧管理の重要性が示唆される。血圧値と頭蓋外出血との関連は認められなかった。
コメント 抗血栓療法中の出血イベントにおいて頭蓋内出血と頭蓋外出血とで血圧の関与が異なること,経過中の血圧上昇が頭蓋内出血の発生に関与していることを明らかにした注目すべき論文である。抗血栓療法中の心血管または脳血管疾患患者の至適血圧レベルは130/81mmHg未満で一定に保つことを推奨する一つの根拠となろう。(岡田靖

目的 抗血栓薬使用者において,血圧と大出血の関連を検討。
デザイン 本論文は BAT試験サブ解析。
セッティング 多施設(19施設),日本。
期間 実施期間は2003年10月~2006年3月。追跡期間中央値は19ヵ月(IQR 13~23)。
対象患者 4009例。心血管または脳血管疾患のために経口抗血小板薬またはwarfarinの投与を受けている患者。
【除外基準】―
【患者背景】年齢は頭蓋内出血例73±7歳,頭蓋外出血例71±10歳,非出血発生例69±10歳(p=0.003)。男性81%,75%,69%。warfarin使用61%,61%,44%(p=0.002)。合併疾患:虚血性脳卒中68%,44%,55%,出血性脳卒中6%,1%,2%,不整脈77%,74%,67%,新生物19%,12%,7%(p=0.013),肝硬変6%,4%,2%。リスク因子:高血圧65%,57%,61%,糖尿病26%,34%,26%,高コレステロール血症36%,32%,42%,低コレステロール血症3%,1%,1%。
治療法 主な使用薬剤は下記の通りであった。抗血小板薬単剤1891例(47.2%),2種の抗血小板薬併用349例(8.7%),warfarin 1298例(32.4%),warfarin+抗血小板薬併用471例(11.7%)。抗血小板薬のおもな内訳はaspirin単独1340例,ticlopidine単独394例,aspirin+ticlopidine 併用220例。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
生命にかかわる出血または大出血(MATCH出血基準)は108例に発生した(頭蓋内出血31例+頭蓋外出血77例)。
warfarin使用者におけるINR中央値(IQR)は以下の通りであった。登録時:頭蓋内出血例2.06(1.95~2.30),頭蓋外出血例2.06(1.65~2.46),非出血発生例1.96(1.69~2.33)(p=0.149),出血イベント発生前の最終訪問時または出血発生当日:頭蓋内出血例2.28(1.74~2.68),頭蓋外出血例2.24(1.75~3.06)(p=0.993)。
登録時の血圧は,頭蓋内出血例134.6±13.2/74.8±12.3 mmHg,頭蓋外出血例130.8±18.5/74.5±10.4 mmHg,非出血発生例132.5±17.9/75.6±11.0 mmHgと,同等であった。
頭蓋内出血例において,追跡期間中の血圧はSBP,DBPとも登録時に比し比較的上昇したが,頭蓋外出血および非出血発生例では横ばいのままであった。
SBP追跡1~6ヵ月の平均値(HR 1.45/10mmHg上昇ごと,95%CI 1.08-1.92,p=0.013),7~12ヵ月の平均値(HR 1.47,95%CI 1.05-2.01,p=0.026),DBP追跡7~12ヵ月の平均値(HR 2.05,95%CI 1.15-3.62,p=0.016)は頭蓋内出血の発生と独立して関連していた。登録時の血圧値は関連していなかった。
ROC曲線分析による頭蓋内出血リスクのカットオフ値は≧130/81 mmHgであった。

●有害事象
[評価項目]に表記。

文献: Toyoda K, et al.; Bleeding with Antithrombotic Therapy (BAT) Study Group. Blood pressure levels and bleeding events during antithrombotic therapy: the Bleeding with Antithrombotic Therapy (BAT) Study. Stroke 2010; 41: 1440-4. pubmed
関連トライアル AFASAK 2 1999, BAT, BAT retrospective study, ESSENCE 1997, NASPEAF stratified analysis, Poli D et al, RIKS-HIA, Sørensen R et al
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