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メタ解析
発症からalteplase静注までの時間と転帰
Time to treatment with intravenous alteplase and outcome in stroke: an updated pooled analysis of ECASS, ATLANTIS, NINDS, and EPITHET trials
結論 臨床症状およびCTにより選択された虚血性脳卒中患者は,4.5時間以内に治療を受けられればalteplase静注のベネフィットが得られる。ベネフィットを最大限にするためには,治療開始までの時間を短くするよう,あらゆる努力がなされなければならない。4.5時間を超えるとリスクがベネフィットを上回る恐れがある。
コメント 2004年以降の新たなプラセボ比較試験を含んでのメタ解析の意義は,alteplase静注の有効性が4.5時間以内であることを確かめた点よりも,より早期の治療が有効性(modified Rankin Score[mRS] 0~1の自立度)をより高め,治療が遅れることで死亡率が有意に上昇することを明確に示したことである。alteplaseの効果は必ずしも単純な血行再開を意味しない。しかしtime windowを延長し,種々の機器や装置を用いた血栓破砕療法,新たなtPAを用いて今後実施される臨床試験の動向に,本論文の分析が与える影響は小さくないであろう。(岡田靖

目的 虚血性脳卒中患者において,rtPA早期静注は転帰を改善する。先行解析(Lancet 2004;363:768-74)で脳卒中発症からの経過時間が3時間を超えた後の投与でも潜在的ベネフィットがあると示唆されているが,本解析では最近発表された ECASS III EPITHET のデータを加え,alteplase静注における発症から治療までの時間(OTT)の影響を再評価する。
方法
対象 急性脳卒中患者に対するalteplaseの効果を検討した大規模プラセボ対照ランダム化比較試験8件*。小規模試験(異なるエンドポイントを評価している),ITAIS(画像に基づいた血栓溶解療法)は除外した。
*:ATLANTIS(A,B),ECASS( I ,II, III ), EPITHET NINDS(part 1,2)
3670例(alteplase群1850例,プラセボ群1820例)。
【患者背景】男性はalteplase群60%,プラセボ群60%。平均年齢66±12歳,66±11歳。National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア中央値(IQR)11(7~16),11(7~16),OTT別:0~90分15(10~20),15(10~19),91~180分11(7~18),13(9~19),181~270分10(7~15),11(7~16),271~360分10(7~16),10(7~15)。平均OTT 233±72分,232±73分。脳卒中既往14%,15%。心房細動既往19%,19%。
主な結果 ・90日後の転帰良好(mRS 0~1)
90日後の転帰良好はOTTが長くなるにつれ減少し(p=0.0269),alteplaseのベネフィットは約270分後に消失した。
0~90分:alteplase群67例(41.6%)vs. プラセボ群44例(29.1%)(OR 2.55,95%CI 1.44-4.52,p=0.0013)。
91~180 分:127例(41.9%)vs. 91例(28.9%)(OR 1.64,95%CI 1.12-2.40,p=0.0116)。
181~270分:361例(44.6%)vs. 306例(37.7%)(OR 1.34,95%CI 1.06-1.68,p=0.0135)。
271~360分:215例(37.4%)vs. 193例(35.6%)(OR 1.22,95%CI 0.92-1.61,p=0.1628)。
0~360分:770例(41.6%)vs. 634例(34.8%)(OR 1.40,95%CI 1.20-1.63,p<0.0001)。

・死亡率とOTTの関連
死亡率はOTTが長くなるにつれ上昇した(p=0.0444)。
0~90分:alteplase群30例(18.6%)vs. プラセボ群31例(20.5%)(OR 0.78,95%CI 0.41-1.48,p=0.4400)。
91~180 分:51例(16.8%)vs. 49例(15.6%)(OR 1.13,95%CI 0.70-1.82,p=0.6080)。
181~270分:89例(11.0%)vs. 82例(10.1%)(OR 1.22,95%CI 0.87-1.71,p=0.2517)。
271~360分:86例(15.0%)vs. 55例(10.2%)(OR 1.49,95%CI 1.00-2.21,p=0.0501)。
0~360分:257例(13.9%)vs. 217例(11.9%)(OR 1.19,95%CI 0.96-1.47,p=0.1080)。

・頭蓋内大出血とOTTの関連
頭蓋内大出血(実質性血腫タイプ2)とOTTの相互作用は認められなかった(p=0.4140)。
0~90分:alteplase群5例(3.1%)vs. プラセボ群0例。
91~180 分:17例(5.6%)vs. 3例(1.0%)(OR 8.23,95%CI 2.39-28.32,p<0.0008)。
181~270分:35例(4.3%)vs. 10例(1.2%)(OR 3.61,95%CI 1.76-7.38,p<0.0004)。
271~360分:39例(6.8%)vs. 5例(0.9%)(OR 4.32,95%CI 2.84-18.9,p<0.0001)。
0~360分:96例(5.2%)vs. 18例(1.0%)(OR 5.37,95%CI 3.22-8.95,p<0.0001)。
文献: Lees KR, et al.; ECASS, ATLANTIS, NINDS and EPITHET rt-PA Study Group. Time to treatment with intravenous alteplase and outcome in stroke: an updated pooled analysis of ECASS, ATLANTIS, NINDS, and EPITHET trials. Lancet 2010; 375: 1695-703. pubmed
関連トライアル Bravo Y et al, ECASS, ECASS III, ECASS III additional outcomes, EPITHET, IPSS use of alteplase, J-ACT, RECANALISE, rtPA血栓溶解療法の転帰における性差, SAINT postthrombolysis ICH, SITS-ISTR, SITS-MOST, SITS-MOST multivariable analysis, Toni D et al, 脳梗塞発症後3~4.5時間の時間枠におけるrt-PA静注の有効性および安全性
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