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メタ解析
非ST上昇型ACS患者におけるルーチン侵襲治療と選択的侵襲治療の長期転帰
Long-term outcome of a routine versus selective invasive strategy in patients with non-ST-segment elevation acute coronary syndrome a meta-analysis of individual patient data
結論 ルーチン侵襲治療は長期の心血管死または非致死的心筋梗塞(MI)を抑制し,特に高リスク例において顕著な絶対効果が認められた。

目的 ルーチン侵襲治療の短期のベネフィットは先行解析により示されているが,長期の結果は一貫していない。本論文では,ルーチン侵襲治療が長期の心血管死または非致死的MI発生率を抑制するか,さらに転帰はベースライン時のリスクに影響されるかどうか検討する。
方法 MEDLINE,Cochraneデータベースにて,1970年~2009年に出版された論文について,検索語;“invasive strategy”“conservative strategy”“selective invasive strategy”“intervention”“acute coronary syndromes”“non-ST-segment elevation myocardial infarction”“unstable angina”を用い,長期転帰を報告しているRCTを検索。
対象 3試験(FRISC-II,RITA-3,ICTUS)が該当。
5467例(ルーチン侵襲治療群2721例+選択的侵襲治療群2746例)。
【患者背景】患者数はFRISC-II:2457例,RITA-3:1810例,ICTUS:1200例。平均年齢64.6±9.1歳,62.4±10.3歳,61.9±10.6歳。女性30.5%,37.7%,26.7%。BMI 26.8±3.8kg/m2,27.7±4.7kg/m2,27.1±3.7kg/m2。現喫煙30.3%,32.4%,41.0%。高血圧30.2%,34.9%,38.8%。高コレステロール血症10.7%,32.0%,34.8%。糖尿病12.2%,13.5%,13.8%。MI既往22.2%,27.7%,23.2%。PCI歴3.3%,5.1%,11.7%。CABG歴0.4%,0%,8.8%。
主な結果 ・血行再建術実施率
血行再建術実施率は初回入院中:ルーチン侵襲治療群64.1% vs. 選択的侵襲治療群17.6%,1年後:71.8% vs. 41.6%,3年後:73.3% vs. 47.8%。

・冠血管死または非致死的MI発生率
5年後の冠血管死または非致死的MI発生率はルーチン侵襲治療群389例(14.7%)と,選択的侵襲治療群475例(17.9%)に比し抑制された(HR 0.81, 95%CI 0.71-0.93,p=0.002)。不均一性は認められなかった(交互作用p=0.37)。
MI:10.0% vs. 12.9%,HR 0.77, 95%CI 0.65-0.90,p=0.001。
冠血管死:6.8% vs. 8.1%,HR 0.83, 95%CI 0.68-1.01,p=0.068。
全死亡:10.6% vs. 11.7%,HR 0.90, 95%CI 0.77-1.05,p=0.19。

・5年後の冠血管死または非致死的MIの予測因子
多変量解析による予測因子は以下の通りであった。
年齢(60歳以上,5歳上昇ごと):HR 1.29,95%CI 1.23-1.36。
糖尿病:HR 2.06,95%CI 1.75-2.41。
MI既往:HR 1.83,95%CI 1.59-2.10。
ST下降:HR 1.42,95%CI 1.24-1.63。
高血圧:HR 1.26,95%CI 1.10-1.45。
BMI(<25kg/m2):HR 1.25,95%CI 1.08-1.45。
BMI(≧35kg/m2):HR 1.52,95%CI 1.15-2.01。
ルーチン侵襲治療:HR 0.76,95%CI 0.67-0.87。

・リスク因子と5年後の転帰の関連
ベースライン時のリスク因子(年齢;高血圧,糖尿病,ST低下の有無;BMI)より算出されたリスク別の心血管死または非致死的MIの絶対減少は以下の通りであった。
低リスク:ルーチン侵襲治療群8.2% vs. 選択的侵襲治療群10.2%,HR 0.80, 95%CI 0.63-1.02,リスク差-2.0%。
中等度リスク:17.3% vs. 21.1%,HR 0.81, 95%CI 0.66-1.01,リスク差-3.8%。
高リスク:33.0% vs. 44.1%,HR 0.68, 95%CI 0.53-0.86,リスク差-11.1%。
文献: Fox KA, et al.; FIR Collaboration. Long-term outcome of a routine versus selective invasive strategy in patients with non-ST-segment elevation acute coronary syndrome a meta-analysis of individual patient data. J Am Coll Cardiol 2010; 55: 2435-45. pubmed
関連トライアル ESPRIT 2001, ICTUS, ICTUS 5-year outcomes, OASIS-5 and 6, SYNERGY, SYNERGY angiography, TACTICS-TIMI 18 1998, TACTICS-TIMI 18 2001, TIMI IIIB 1995, VANQWISH, 非ST上昇型急性冠症候群に対する初期侵襲的治療および保存的治療の性差
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