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メタ解析
抗血栓薬使用,脳内微小出血および脳内出血
Antithrombotic Drug Use, Cerebral Microbleeds, and Intracerebral Hemorrhage
結論 warfarin使用の脳内出血患者で脳内微小出血が多かったことより,脳内微小出血はwarfarin関連脳内出血を増加させる。
コメント 脳内微小出血と抗血栓薬使用,とりわけワルファリン使用者の脳内出血のリスクとの関連についてメタ解析した意義ある研究である。依存症の影響や非アジア人種での更なる検討が必要であろう。(岡田靖

目的 脳内微小出血は脳内出血の潜在的リスク因子であるが,抗血栓薬使用の禁忌であるかは不明である。本論文では,脳内微小出血の有無について,(1)脳内出血患者において抗血栓薬使用と非使用を比較,(2)虚血性脳卒中/一過性脳虚血発作(TIA)患者において抗血栓薬使用と非使用を比較,(3)抗血栓薬投与の有無により層別化して脳内出血と虚血性イベントを比較し,抗血栓薬使用と脳内微小出血の関連を検討する。
方法 2009年9月30日,MEDLINEにて,検索語;“microbleed”“microh(a)emorrhage”“h(a)emorrhagic lacune”and “stroke” or “TIA”を用い,脳内微小出血を検出するためにGRE MRIを行った脳卒中またはTIA患者のコホート研究を検索。参考文献一覧のハンドサーチも行った。
対象:10例以上の急性脳卒中またはTIA患者において脳内微小出血を同定しており,発病前の抗血栓薬の使用を脳内微小出血の有無により明らかにしている試験。
除外:血管性認知症,慢性脳血管疾患,ビンスワンガー病患者の試験。
対象 脳内出血患者コホート6件(1461例),虚血性脳血管患者コホート8件(3817例)*が該当。
*:Imaizumi(北海道:脳内出血202例,ラクナ梗塞135例),Lee(韓国:脳内出血149例,虚血性脳卒中143例),Nishikawa(大阪:脳内出血106例),Jeong(韓国:脳内出血107例),Copenhaver(米国:脳内出血87例),Alemany(スウェーデン:脳内出血45例,虚血性脳卒中45例),Soo(香港:虚血性脳卒中908例),Schonewille(オランダ:ラクナ梗塞42例),Boulanger(カナダ:虚血性脳卒中/TIA 236例),Ovbiagele(米国:虚血性脳卒中/TIA 164例),Nighogossian(フランス:虚血性脳卒中100例),Orken(トルコ:虚血性脳卒中141例),Naka(広島:虚血性脳卒中183例,脳内出血83例),Fan(香港:虚血性脳卒中121例)
主な結果 ・warfarin使用の有無による検討
脳内出血例ではwarfarin使用により脳内出血リスクが上昇した(OR 2.7,95%CI 1.6-4.4,p<0.001,不均一性p=0.61)。虚血性脳卒中/TIA例ではリスク上昇は認められなかった(OR 1.3,95%CI 0.9-1.7,p=0.14,不均一性p=0.33)(p difference=0.01)。

・抗血小板薬使用の有無による検討
脳内出血例,虚血性脳卒中/TIA例とも抗血小板薬使用により脳内出血リスクが上昇した(脳内出血例:OR 1.7,95%CI 1.3-2.3,p<0.001,不均一性p=0.002;虚血性脳卒中/TIA例:OR 1.4,95%CI 1.2-1.7,p<0.001,不均一性p=0.07)(p difference=0.25)。脳内出血例で不均一性が認められたことから原因となったコホート(広島)を除外して再解析を行ったところ,有意差は消失した(OR 1.3,95%CI 0.9-1.8,p=0.10)。

・全例における検討
脳内微小出血は全治療群において脳内出血例の方が虚血性脳卒中/TIA例に比し多かったが,抗血栓薬使用,種類によりリスクが増加した。抗血栓薬非使用:OR 2.8,95%CI 2.3-3.5,p=0.05,不均一性p=0.91,抗血小板薬使用:OR 5.7,95%CI 3.4-9.7,p<0.001,不均一性p=0.02,warfarin使用:OR 8.0,95%CI 3.5-17.8,p<0.001,不均一性p=0.91(p difference=0.01)。抗血小板薬使用例で不均一性が認められたことから,原因となったコホート(広島)を除外して再解析を行ったところ,ORは低下し(OR 2.6,95%CI 1.4-4.9),抗血栓薬非使用との有意差は消失した(p difference=0.83)。

・前向きコホートにおける検討
抗血栓薬使用者において,ベースライン時の脳内微小出血は続発性脳内出血リスク上昇と関連していた(OR 12.1,95%CI 3.4-42.5,p<0.001,不均一性p=0.74)。
文献: Lovelock CE, et al.; Edinburgh Stroke Study Group. Antithrombotic drug use, cerebral microbleeds, and intracerebral hemorrhage: a systematic review of published and unpublished studies. Stroke 2010; 41: 1222-8. pubmed
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