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Chernyshev OY et al Safety of tPA in stroke mimics and neuroimaging-negative cerebral ischemia
結論 急性脳虚血の疑いの患者におけるtPA静注は,最終診断が脳卒中ではないか,または画像では梗塞が認められない場合でも安全である。

目的 虚血性脳卒中が疑われる急性神経症状を呈しているが,確定診断が難しい場合のtPA静注の安全性には懸案がある。本論文では,脳卒中ではなくstroke mimics(SM)または神経画像陰性脳虚血(NNCI)であった患者において,発症から3時間以内のtPA静注の安全性および転帰を検討。
デザイン 後ろ向き研究。
セッティング 単施設,米国。
期間 治療期間は2004年6月~2008年10月。
対象患者 512例。症状発現から3時間以内にtPA 0.9mg/kg静注を受けた患者。
【除外基準】表記なし。
【患者背景】平均年齢a, cはSM例55±15歳,NNCI例61±15歳,急性虚血性脳卒中例65±15歳。各群の男性a, b, c 40%,68%,54%。入院時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコアスコア中央値b, c 7(4~11),7(5~12),13(8~19)。脂質異常症a, c 55%,73%,72%。高血圧a 29%,43%,25%。糖尿病0%,0%,26%。心房細動b, c 2%,6%,19%。冠動脈疾患c 4%,12%,10%。最後に正常であるのを目撃されてからtPA静注までの時間中央値156(126~180)分,138(106~156)分,140(114~161)分。入院期間中央値 b, c 3(2~5)日,3(2~5日),6(4~9日)。退院時のmodified Rankin Score(mRS)中央値 b, c 0(0~1),0(0~0),4(2~5)。
ap<0.05(SM例 vs. NNCI例),bp<0.05(NNCI例 vs. 急性虚血性脳卒中例),cp<0.05(SM例 vs. 急性虚血性脳卒中例)。()内はIQRを示す。
治療法 急性脳虚血の疑いで当該病院救急部に来院した患者は全例,脳卒中チームの医師により診断を受けた。NIHSSによる神経学的評価および頭蓋CTにて出血を除外し,治療医により発作から3時間以内の急性脳虚血と診断された患者には,他の診断が検討される場合でもtPA 0.9mg/kg静注を行った。
追跡完了率 追跡不能は12例。
【脱落理由】追跡神経画像非実施。
結果

●評価項目
tPA静注を受けた512例のうち,虚血性脳卒中であったのは406例(79%)であった。残る106例(21%)は,入院1日以内に得られた治療後のDWIおよび入院から24時間後に行われた治療後のCT/MRIにて梗塞が認められず,69例(14%)はstroke mimics(SM),37例(7%)は神経画像陰性脳虚血(NNCI)と診断された。
SM例の主な原因はてんかん発作38%,複雑型偏頭痛37%,転換性障害21%であった。
NNCI例の原因(TOAST分類)は心原性3.3%,大血管6.7%,小血管8.3%,原因不明30%,その他51.7%であった。
退院時のmRS 0~1はSM 例87%,NNCI例 91%,急性虚血性脳卒中例21%であった。

●有害事象
SM例,NNCI例のいずれも症候性脳内出血(NINDS定義),血管性浮腫は認められなかった。急性虚血性脳卒中例では症候性脳内出血が5.8%,血管性浮腫が2.2%に発生した。

文献: Chernyshev OY, et al. Safety of tPA in stroke mimics and neuroimaging-negative cerebral ischemia. Neurology 2010; 74: 1340-5. pubmed
関連トライアル Guillan M et al, Madrid Stroke Network, Pervez MA et al, Rost NS et al, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI CT versus DWI, SAMURAI DWI-ASPECTS, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, Saqqur M et al, Singer OC et al, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SITS-ISTR young patients, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血
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