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メタ解析
虚血性脳卒中患者に対する動注血栓溶解療法の有用性
Efficacy of intra-arterial fibrinolysis for acute ischemic stroke
結論 虚血性脳卒中患者において,動注血栓溶解療法は再開通率および転帰良好率を上昇させた。脳内出血発生率は上昇したが,死亡率上昇はもたらさなかった。
コメント 虚血性脳卒中患者に対する動注血栓溶解療法の有効性,安全性に関するメタ解析で,日本の MELT Japan を含んで検討されている。tPA静注療法の治療時間ウィンドウの拡大やデバイスを用いた再開通療法の普及により,本研究の蓄積は限定されるかもしれない。(岡田靖

目的 虚血性脳卒中患者に対する動注血栓溶解療法は長年臨床的に利用可能であるが,米国食品医薬品局(FDA)の認可は下りていない。動注血栓溶解療法が有益な効果をもたらすことは1件のRCTにより示唆されたのみで,対照群に比し転帰良好(modified Rankin Score(mRS) 0~2),優良(同0~1)を増加させたというRCTはない。本論文では,メタ解析により動注血栓溶解療法を対照群と比較検討する。
方法 Cochrane Central Register,PubMed,WHO国際臨床試験レジストリー,Internet Stroke Center stroke trials,clinical trials.govにて,1966~2009年8月に出版された論文について,検索語;“intra-arterial”,“local”,“fibrinolysis”,“thrombolysis”,“urokinase”,“prourokinase”,“tissue plasminogen activator”,or “streptokinase”と“stroke”,“cerebrovascular disease”,“cerebrovascular attack”,“brain attack”,or “brain infarct”を組み合わせて検索し,(1)RCT,(2)動注血栓溶解療法からなる積極的治療(静注療法追加の有無は問わない),(3)90日後の転帰良好かつ/または優良を含むエンドポイントを報告している論文を検索。参考文献一覧のハンドサーチも行った。言語の制限は設けなかった。
除外:対照群に積極的治療が行われた試験。
対象 5試験,395例(積極的治療群224例,対照群171例)が該当。
表記は順に症例数,平均年齢,ベースライン時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア,閉塞部位,治療時間ウィンドウ,インターベンション;
PROACT(1998)
40例,68歳,18,中大脳動脈,<6時間,prourokinase動注+heparin静注 vs. heparin静注
PROACT II(1999)
180例,64歳,17,中大脳動脈,<6時間,prourokinase動注+heparin静注 vs. heparin静注
Keris et al(2001)
45例,61歳,25,内頸動脈/中大脳動脈,<6時間,tPA静注+tPA動注+heparin静注 vs. heparin静注
Macleod et al(2005)
16例,64歳,20.5,脳底動脈/椎骨動脈,<24時間,urokinase動注+heparin静注 vs. heparin静注
MELT Japan(2007)
114例,67歳,14,中大脳動脈,<6時間,urokinase動注+heparin静注 vs. heparin静注
主な結果 ・臨床転帰
動注血栓溶解療法は転帰良好(mRS 0~2:OR 2.05;1.33-3.14,p=0.001)および転帰優良(mRS 0~1:OR 2.14;1.31-3.51,p=0.003)を増加させた。

・神経学的欠損
 動注血栓溶解療法は最も軽微な神経学的欠損(NIHSSスコア0~1)の割合を増加させた(OR 2.24;1.27-3.95,p=0.005)。

・日常生活動作
 動注血栓溶解療法は最も軽微な日常生活動作障害(Barthel Index 90~100または95~100)の割合を増加させた(OR 1.60;1.01-2.51,p=0.04)。

・再開通
 動注血栓溶解療法は一部または完全再開通(TIMIグレード2~3:OR 6.42;3.67-11.24,p<0.00001)および完全再開通(TIMIグレード3:OR 4.62;2.02-10.56,p=0.0003)を増加させた。

・脳内出血
動脈内血栓溶解療法により脳内出血が増加した(造影上;OR 3.37;1.90-5.95,p<0.0001,症候性:OR 2.87;1.21-6.83,p=0.02)。

・死亡率
死亡率は増加しなかった(OR 0.83;0.48-1.39,p=0.46)。
全項目について,試験間の不均一性は認められなかった。
文献: Lee M, et al. Efficacy of intra-arterial fibrinolysis for acute ischemic stroke: meta-analysis of randomized controlled trials. Stroke 2010; 41: 932-7. pubmed
関連トライアル ECASS III, MELT Japan, MERCI and Multi MERCI, NINDS rt-PA Stroke Study 1995, PREVAIL subanalysis, SAINT postthrombolysis ICH, Schellinger PD et al, SITS-ISTR, SITS-MOST multivariable analysis, Toni D et al, ultrasound-enhanced thrombolysisの安全性および有効性
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