抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
MM-WES Medco-Mayo Warfarin Effectiveness Study
結論 warfarin療法を開始する外来患者において,通常の治療に遺伝子型検査を追加することは,出血/血栓塞栓症による入院のリスクを低減させる。

目的 CYP2C9およびVKORC1遺伝子型変異は個々の患者のwarfarinに対する反応性を予測することが示されているが,遺伝子型検査の臨床的有効性を検討する大規模研究はまだ行われていない。本試験は米国における初の全国規模の研究として,典型的な診療所の環境にてwarfarin療法を開始する患者において,warfarin感受性遺伝子型の影響を検討する。一次エンドポイント:6ヵ月後の入院発生率。
デザイン 前向きコホート研究。NCT00830570。
セッティング 多施設,米国。
期間 登録開始は2007年7月。
対象患者 3584例(遺伝子型検査群896例+過去対照群2688例)。
遺伝子型検査群:新規にwarfarin療法を開始した40~75歳の外来患者を,本試験への参加協力が得られた民間医療保険の加入者から抽出。
過去対照群:遺伝子型検査群と年齢,性別を合致させた,前年にwarfarin療法を新規に開始した患者を,遺伝子型検査群1例につき原則として3例抽出。
【除外基準】登録前180日以内にwarfarin投与を受けている,warfarin投与開始前の7日以上の入院,短期間のwarfarin処方,以前にwarfarin投与のため遺伝子型検査を受けている,warfarinに対する既知の過敏症など。
【患者背景】平均年齢は遺伝子型検査群65.2±8.3歳,過去対照群65.2±8.0歳。各群の男性60.5%,60.5%。心房細動41.1%,40.4%。肺塞栓症11.8%,11.0%。深部静脈血栓症25.8%,24.6%。消化管出血4.0%,3.6%。高血圧54.2%,47.0%(p<0.001)。糖尿病11.6%,15.3%。出血/血栓塞栓症による入院歴24.8%,23.6%,全入院歴52.8%,54.4%。
治療法 遺伝子型検査群:CYP2C9およびVKORC1遺伝子型検査を行い, warfarinに対する感受性を示す表現型の検査結果のほか,臨床に考慮すべきこと,warfarinの薬物・薬物相互作用についての情報を記した報告書*を担当医に送付。報告書送付後は介入を行わず,通常の治療が行われた。担当医は検査結果にもとづいてwarfarinの用量調整を行うオプションを有していたが,実際の治療は試験プロトコールにより制限されることはなかった。
*:遺伝子型にもとづき,warfarin感受性を正常(VKORC1 G/AかつCYP2C9 *1/*1),非常に高い,高い,中等度,軽度,正常より低いに分類し,報告書には臨床に考慮すべきことを以下のように記載。正常:warfarinに対する反応性が正常である可能性が高い,非常に高い/高い/中等度:用量を減量し頻回にPT-INRをモニタリング,軽度:頻回にPT-INRをモニタリング,正常より低い:至適PT-INRを維持するためには用量の増量が必要と考えられる。
追跡完了率
結果

●評価項目
遺伝子型検査群において,遺伝子型別のwarfarin感受性は正常29.2%,非常に高い2.6%,高い4.0%,中等度26.6%,軽度12.2%,正常より低い25.4%であった。
遺伝子型検査群では過去対照群に比し,全入院が31%減少した(HR 0.69,95%CI 0.58-0.82,p<0.001)。
出血/血栓塞栓症による入院は28%減少した(HR 0.72,95%CI 0.53-0.97, p=0.029)。
per-protocol解析では,全入院は33%減少(HR 0.67,95%CI 0.55-0.81,p<0.001),出血/血栓塞栓症による入院は43%減少した(HR 0.57,95%CI 0.39-0.83, p=0.003)。

●有害事象

文献: Epstein RS, et al. Warfarin genotyping reduces hospitalization rates results from the MM-WES (Medco-Mayo Warfarin Effectiveness study). J Am Coll Cardiol 2010; 55: 2804-12. pubmed
関連トライアル Couma-Gen, EXULT A, SPORTIF risk of bleeding, Takeuchi F et al
関連記事