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Gao F et al Comparison of different antithrombotic regimens for patients with atrial fibrillation undergoing drug-eluting stent implantation
結論 DES植込みを受けた心房細動患者において主要有害心・脳事象(MACCE)が抑制されたことにより,抗血栓薬3剤併用の心血管ベネフィットが支持された。PT-INRを注意深くモニターすれば,大出血リスクも容認できる程度かもしれない。
コメント Ethnic differenceには注意しなければならないが,本研究は中国からの報告であり,欧米人の結果より参考になるかもしれない。DES留置患者において,PT-INR目標を1.8~2.5としたワルファリン+アスピリン+クロピドグレル3剤併用療法が,抗血小板薬2剤あるいはワルファリン+抗血小板薬1剤に比し,大出血を増加させることなくMACCEを有意に減少させたことが示されたことは,今後の診療にも貢献する結果と考える。
本研究では,PT-INRコントロールは72%が目標内に入っており,比較的良好にコントロールされていた。また,大出血時のPT-INRはすべて2.5以上であった。(是恒之宏

目的 DES植込みを受けた心房細動患者に対する至適抗血栓レジメンは明確ではない。本研究では,このような症例における抗血栓療法の現状および長期転帰を評価する。一次エンドポイント:12ヵ月のMACCE(死亡+心筋梗塞+標的血管血行再建術+ステント血栓症+脳卒中)。
デザイン 前向き登録研究。
セッティング 単施設,中国。
期間 PCI施行期間は2005年1月~2008年8月。追跡期間は12ヵ月。
対象患者 622例。DES植込みを受けた患者連続例のうち,心房細動の既往がある,または新規に心房細動と診断された患者。
【除外基準】機械的人工弁。
【患者背景】平均年齢はTT群(抗血栓薬3剤併用)70.97±5.56歳,DT群(抗血小板薬2剤併用)71.70±5.40歳,WS群(warfarin+抗血小板薬単剤併用)72.81±5.22歳(p=0.021)。各群の男性72.2%,71.2%,69.0%。発作性心房細動30.4%,45.8%,27.6%(p=0.006)。現在の喫煙33.9%,36.9%,28.7%。糖尿病38.3%,35.7%,40.2%。脂質疾患71.3%,67.4%,66.7%。高血圧73.0%,68.0%,69.0%。以前の経口抗凝固薬服用73.9%,31.4%,79.3%(p<0.0001)。脳卒中/一過性脳虚血発作の既往16.5%,12.1%,18.4%。CHADS2スコア2点以上49.6%,37.8%,60.9%(p=0.002)。退院時の薬物療法:β遮断薬42.6%,39.5%,48.3%,脂質異常症治療薬71.3%,68.3%,63.2%,ACE阻害薬/ARB 67.8%,64.3%,57.5%,プロトンポンプ阻害薬53.0%,35.7%,40.2%(p=0.005)。
治療法 待機的PCI施行前にwarfarin投与を受けていた症例では,手技前およびPT-INRが<1.5となるまで同薬を中止した。緊急PCI施行患者では,warfarinは手技当日に中止した。手技中は用量を調整した未分画heparin(80IU/kg)をACTが250~300秒となるようボーラス投与し,目標値を達成できない場合は2000~5000IUの追加ボーラス投与を行った。PCI手技後は,退院後に長期経口抗凝固薬の適応と考えられる症例に対しては低分子量heparinおよびwarfarinを3日間併用投与した。症例ごとの治療の管理はインターベンション心臓医かつ/または担当医により決定され,退院時の抗血栓レジメンにより3群に分割された。
TT群:142例。抗血栓薬3剤併用;aspirin 100mg+clopidogrel 75mg+warfarin。
DT群:355例。抗血小板薬2剤併用;aspirin+clopidogrel
WS群:125例。warfarin+抗血小板薬単剤併用(clopidogrel 109例,aspirin 16例)。
warfarin投与患者では目標PT-INRを1.8~2.5とし,退院後注意深くモニターを行った。退院後初めのうちは毎週PT-INRを測定し,3連続の測定でPT-INRが目標値を達成した症例では,PT-INR測定は毎月とした。DT群およびWS群においては,抗血小板薬は12ヵ月継続するよう指示された。
追跡完了率 追跡終了は95.0%。
結果

●評価項目
warfarin投与例におけるPT-INR測定において,PT-INR値が目標域内であったのは72.0%であった。
一次エンドポイントはTT群8.8%,WS群14.9%,DT群20.1%で,TT群で抑制された(p=0.010)。
死亡:4.4% vs 5.8% vs 9.0%。
心筋梗塞:2.9% vs 5.8% vs 5.4%。
標的血管血行再建術:3.7% vs 4.1% vs 4.5%。
ステント血栓症:0.7% vs 1.7% vs 0.9%。
脳卒中:0.7% vs 0.8% vs 3.6%。
MACCEの独立予測因子はwarfarin投与(HR 0.49,95%CI 0.31-0.77,p=0.002),開始時のCHADS2スコア2点以上(HR 2.09,95%CI 1.27-3.45,p=0.004)であった。
正味の臨床転帰(MACCEかつ/または大出血)は11.0% vs 16.5% vs 21.6%とTT群が最も少なく(p=0.024),Kaplan-Meier解析によると正味の臨床ベネフィットはTT群が最もすぐれていた(log-rank test p=0.030)。

●有害事象
大出血(TIMI基準)はTT群2.9%,WS群2.5%,DT群1.8%で,有意差は認められなかった(p=0.725)。
大出血発生時のPT-INRはすべて>2.5であった。
小出血は8.8% vs 5.0% vs 3.3%とTT群が最も多かった(p=0.042)。

文献: Gao F, et al. Comparison of different antithrombotic regimens for patients with atrial fibrillation undergoing drug-eluting stent implantation. Circ J 2010; 74: 701-8. pubmed
関連トライアル ACTIVE A, AFASAK 2 1999, Hansen ML et al, REAL-LATE / ZEST-LATE, Ruiz-Nodar JM et al, SPAF II 1994, SPAF III 1998, STARS
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