抗血栓トライアルデータベース
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REAL-LATE / ZEST-LATE Correlation of Clopidogrel Therapy Discontinuation in Real-World Patients Treated with Drug-Eluting Stent Implantation and Late Coronary Arterial Thrombotic Events / Evaluation of the Long-Term Safety after Zotarolimus-Eluting Stent, Sirolimus-Eluting Stent, or Paclitaxel-Eluting Stent Implantation for Coronary Lesions - Late Coronary Arterial Thrombotic Events
結論 薬剤溶出性ステント(DES)植込みを受けた患者において,12ヵ月を超えるclopidogrel+aspirin併用はaspirin単独に比し,心筋梗塞(MI)および心臓死を抑制しなかった。
コメント 韓国では臨床情報のデータベース化が本邦より進んでいる。特に,冠動脈インターベンション症例に対する抗血小板治療については意義のある臨床研究結果を次々に発表している。本研究は,薬剤溶出ステント植え込み後長期の抗血小板併用療法の意義を検証した。われわれ日本の臨床家は,冠動脈インターベンション後の症例の血栓イベントが少ないことを実感している。韓国のこの試験は,われわれ日本人医師の実感を数値データとして示した意義のある試験である。冠動脈内膜を損傷させる急性期を過ごせば,抗血小板薬の有用性は減少する。出血リスクも考えれば,抗血小板併用療法を長期に継続する意義のある症例は限局されるのであろう。将来の臨床試験では,ある一定の条件を満たす少数のhigh riskの症例に限局して抗血小板併用療法の意義の有無を検証すべきであろう。(後藤信哉

目的 DES植込み患者において,2種類の抗血小板薬併用の至適期間,および長期併用についてのリスク/ベネフィットは明確となっていない。本試験では,初回DES植込みを受けた患者において,12ヵ月以上のclopidogrel+aspirin併用療法の有用性を検討。一次エンドポイント:治療群に割付後のMIまたは心臓死の初発。
デザイン REAL-LATE,ZEST-LATEの2つの試験が計画されたが,登録の遅れのため2試験を結合して解析を行った。2試験ともPROBE(prospective,randomised,open,blinded endpoints),intention-to-treat解析。
REAL-LATE:NCT00484926,ZEST-LATE:NCT00590174。
セッティング 多施設(22施設),韓国。
期間 登録期間は2007年7月~2008年9月。追跡期間中央値は19.2ヵ月(IQR 13.2~24.1)。
対象患者 2701例。[REAL-LATE]登録の12ヵ月以上前にDES植込みを施行;植込み後主要有害心イベント(MI,脳卒中,血行再建術再施行),大出血が発生していない;登録時に2種類の抗血小板薬併用療法を受けている。
[ZEST-LATE]REAL-LATEと同様,ただしZEST試験*1登録者に限る。
*1:冠動脈病変患者においてzotarolimus溶出性ステント vs sirolimus溶出性ステント,paclitaxel溶出性ステントを比較(NCT00418067)
【除外基準】抗血小板薬禁忌(出血性素因,大出血の既往など);clopidogrelを必要とする血管疾患合併(最近のACS)など。
【患者背景】平均年齢はclopidogrel+aspirin併用群62.0±9.8歳,aspirin単独群61.9±9.9歳。男性70.0%,69.4%。糖尿病25.1%,27.1%。高血圧57.1%,56.9%。脂質異常症43.2%,43.5%。多枝疾患49.2%,47.1%。当該手技施行の適応:安定狭心症37.9%,37.2%,不安定狭心症40.0%,41.6%,非ST上昇型MI 10.7%,10.7%,ST上昇型MI 11.4%,10.5%。標的血管:左前下行枝48.7%,49.9%,左回旋枝19.9%,18.1%,右冠動脈28.5%,29.6%,左主幹部2.9%,2.4%。DESのタイプ:sirolimus 56.5%,57.0%,paclitaxel 24.4%,23.8%,zotarolimus 18.7%,18.8%。2年後のaspirin使用率98.2%,98.4%。2年後のclopidogrel使用率82.9%,4.4%(p<0.001)。
治療法 clopidogrel+aspirin併用群*2,aspirin単独群*3にランダム化。
全例に,スタチン,β遮断薬,ACE阻害薬などの標準的薬物療法を医師の裁量にて実施。
*2:1357例。clopidogrel 75mg/日+低用量aspirin 100~200mg/日併用。
*3:1344例。
追跡完了率 一次エンドポイントに関する追跡終了はclopidogrel+aspirin併用群99.4%,aspirin単独群99.3%。
結果

●評価項目
2年後の一次エンドポイント累積発生率はclopidogrel+aspirin併用群1.8%,aspirin単独群1.2%で,有意差は認められなかった(HR 1.65,95%CI 0.80-3.36,p=0.17)。
二次エンドポイント(MI,脳卒中,全死亡およびMI,脳卒中,心臓死)について,clopidogrel+aspirin併用群の方が多い傾向がみられた。
(2年後の累積発生率)
全死亡:1.6% vs 1.4%(HR 1.52,95%CI 0.75-3.50,p=0.24)。
MI:0.8% vs 0.7%(HR 1.41,95%CI 0.54-3.71,p=0.49)。
脳卒中:1.0% vs 0.3%(HR 2.22,95%CI 0.68-7.20,p=0.19)。
ステント血栓症(ARC基準definite):0.4% vs 0.4%(HR 1.23,95%CI 0.33-4.58,p=0.76)。
血行再建術再施行:3.1% vs 2.4%(HR 1.37,95%CI 0.83-2.27,p=0.22)。
MIまたは全死亡:2.3% vs 1.7%(HR 1.57,95%CI 0.85-2.88,p=0.15)。
MI,脳卒中,全死亡:3.2% vs 1.8%(HR 1.73,95%CI 0.99-3.00,p=0.05)。
MI,脳卒中,心臓死:2.7% vs 1.3%(HR 1.84,95%CI 0.99-3.45,p=0.06)。

●有害事象
TIMI大出血:0.2% vs 0.1%(HR 2.96,95%CI 0.31-28.46,p=0.35)。
致死性出血は認められなかった。

文献: Park SJ, et al. Duration of dual antiplatelet therapy after implantation of drug-eluting stents. N Engl J Med 2010; 362: 1374-82. pubmed
関連トライアル ACDC, ACTIVE A, ADAPT-DES, APPRAISE-2, Berger PB et al 1999, CHAMPION PHOENIX, CHAMPION PLATFORM, CHARISMA, CHARISMA bleeding complications, CHARISMA post hoc analysis, CHARISMA subgroup analysis, COGENT, COURAGE, CREDO, DECLARE-DIABETES, DECLARE-LONG II, DES LATE, DES留置後のDAPT延長投与, ECLAP, EVENT, EXCELLENT, EXCITE, FAST-MI genetic determinants, ISAR, KAMIR, KAMIR triple vs. dual antiplatelet therapy, Lamberts M et al, Mega JL et al, Migliorini A et al, Müller C et al, OPTIMIZE, PCI-CURE, PLATO, PRODIGY, PRODIGY type of stent, PRODIGY in-stent restenosis, PRoFESS, RECLOSE antiplatelet nonresponsiveness, Sarafoff N et al, SPIRIT III, SPS3, STARS, TRILOGY ACS, TRITON-TIMI 38, TRITON-TIMI 38 PCI, WAVE, WHS, WOEST, Yoon Y et al, 急性脳梗塞/TIA患者への抗血小板療法:2剤併用療法と単剤療法の比較
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