抗血栓トライアルデータベース
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Helsinki Stroke Thrombolysis Registry
結論 中等度~重度の虚血性脳卒中患者において,超早期血栓溶解療法は転帰良好と関連していた。治療が早いほど,転帰良好の可能性も高くなる。
コメント 中等度以上の虚血性脳卒中患者に対して,発症から治療開始まで70分未満の超早期の血栓溶解療法の顕著な有効性を,大規模なコホート研究で明らかにした点が意義深い。治療のtime windowが3時間から4.5時間へと拡大する時流の中で,“The earlier, the better”の病院前救急医療推進のエビデンスを高める論文として注目される。(岡田靖

目的 大規模プラセボ対照試験のプール解析にて,虚血性脳卒中後の血栓溶解薬投与が早いほど転帰も良好であると示唆されている。本研究では超早期血栓溶解療法に主眼を置き,alteplase静注を受けた患者において,発作から治療までの時間(OTT)が転帰良好と関連するか検討する。
デザイン コホート研究。
セッティング 単施設,フィンランド。
期間 治療期間は2003年1月1日~2008年12月31日。
対象患者 878例。2003年1月1日~2008年12月31日の間に,発症から4.5時間以内にalteplase静注を受けた虚血性脳卒中患者連続例。
【除外基準】発症から4.5時間経過後に治療を受けた患者。
【患者背景】[OTT別]年齢はOTT<70分66.0歳(OTT≧70分に比しp<0.01),OTT≦90分69.0歳,全例70.5歳。National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコアは10,10(OTT>90分に比しp<0.01),9。血糖値6.7mmol/L,6.7 mmol/L,6.6 mmol/L。血圧152/83mmHg,152/82mmHg,155/82mmHg。
治療法 全例に発症から4.5時間以内にalteplase 0.9mg/kgを投与。
追跡完了率 追跡不能は18例(2.1%)。
【脱落理由】フィンランド居住者でない5例,フィンランド国内の他の病院から搬送6例,連絡不能7例。
結果

●評価項目
全例のうち,OTT≦90分は257例(29%),OTT<70分は87例(10%)であった。

[OTT<70分]
ベースライン時の脳卒中重症度を調整後,OTT<70分群は≧70分群に比し,中等度~重度の症例で転帰が良好(3ヵ月後のmRS 0~2)であった;NIHSSスコア7~12:OR 5.15;95%CI 1.50-27.5,NIHSSスコア≧13:OR 2.74,95%CI 1.26-5.90。NIHSSスコア≦6では有意差は認められなかった;OR 0.83,95%CI 0.29-2.99。

[OTT≦90分]
OTT≦90分群はOTT>90分に比し,NIHSSスコア7~12で転帰が良好であった;OR 1.72,95%CI 1.00-2.96。NIHSSスコア≧13,≦6では有意差は認められなかった;NIHSSスコア≧13:OR 1.54,95%CI 0.90-2.63,NIHSSスコア≦6:OR 1.00,95%CI 0.49-2.05。
またNIHSSスコア≧13では,OTT≦90分群はOTT>90分に比し,3ヵ月後の死亡率が低かった;16.4% vs 29.5%,p=0.01。

多変量モデルによると,ベースライン時の血糖値低値,若年齢,NIHSSスコア低値,OTT<70分は転帰良好と関連していた。
血糖値:OR 0.88,95%CI 0.82-0.94,p<0.0001。
年齢:OR 0.96,95%CI 0.94-0.97,p<0.0001。
NIHSSスコア:OR 0.83,95%CI 0.78-0.85,p<0.0001。
OTT<70分:OR 2.20,95%CI 1.24-3.90,p=0.007。

●有害事象
症候性脳内出血(SITS基準)はOTT<70分群は3例(3.4%),≧70分群では16例(2.0%)で,有意差は認められなかった。

文献: Strbian D, et al.; Helsinki Stroke Thrombolysis Registry Group. Ultraearly thrombolysis in acute ischemic stroke is associated with better outcome and lower mortality. Stroke 2010; 41: 712-6. pubmed
関連トライアル Alshekhlee A et al, Bern Stroke Project, ECASS III additional outcomes, ECASS-II blood pressure, GWTG-Stroke time to treatment, Mattle HP et al, Prefasi D et al, SAINT postthrombolysis ICH, Saqqur M et al, Sarikaya H et al, Sarikaya H et al (posterior circulation stroke), Schellinger PD et al, SITS-ISTR, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SITS-ISTR blood pressure, SITS-ISTR early neurological improvement, SITS-MOST multivariable analysis, Strbian D et al Ultra-Early Thrombolysis, Toni D et al, VISTA baseline severity, VISTA influence of age
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