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Poli D et al Incidence of recurrent venous thromboembolism and of chronic thromboembolic pulmonary hypertension in patients after a first episode of pulmonary embolism
結論 初回肺塞栓症(PE)後の静脈血栓塞栓症(VTE)再発は経口抗凝固療法中止後の凝固マーカー上昇と関連していた。しかし,VTE再発と凝固マーカーの上昇は,慢性血栓塞栓性肺高血圧の発症とは関連していなかった。

目的 PE初回発症後の患者において,VTEおよび慢性血栓塞栓性肺高血圧の再発率を評価し,リスク因子を検討する。
デザイン 観察研究。
セッティング 単施設,イタリア。
期間 追跡期間中央値は36ヵ月(9~192ヵ月)。
対象患者 239例。急性PEの初回発症後の患者連続例。深部静脈血栓症(DVT)合併の有無は問わない。
【除外基準】VTE既往,活動性癌,肺動脈高血圧をきたす可能性のある疾患(全身性硬化症,重症肺気腫など)。
【患者背景】年齢中央値59歳(16~89)。男性49.4%。初回PEの病型:弧発性PE 37%,DVT/PE 63%,特発性PE 67%,一時的なリスク因子を有するPE 33%。血栓性素因20%。高ホモシステイン血症26%。抗リン脂質抗体症候群1.7%。
治療法 未分画heparinまたは用量調整低分子量heparin静注後,PT-INRが2~3となるよう経口抗凝固療法を開始した。期間は,一時的なリスク因子(最近の外傷,90日以内の手術,臥床の延長,妊娠/産褥)を有するVTEの場合は最低3ヵ月,特発性VTEの場合は最低6ヵ月とした。その後経胸壁心エコー検査を行い,経三結節圧較差(右心室-右心房圧較差)が30mmHg以下で他の経口抗凝固療法継続の適応がない場合はwarfarinを中止,30~35mmHgの場合は経口抗凝固療法を継続し6ヵ月後に再評価,35mmHg超の場合は肺動脈高血圧を除外するため追加検査を行った。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
経口抗凝固療法期間中央値は12ヵ月(3~108ヵ月)であった。
経口抗凝固療法を中止した患者206例のうち,VTE再発は23例(11.2%)に認められた。内訳は,孤発性PE 8例(35%),DVT/PE 3例(13%),DVT 12例(52%)。VTE再発例では右心室-右心房圧較差の上昇はみられなかった。
経口抗凝固療法中止後のD-dimerおよびF1+F2値の上昇はVTE再発と関連していた(D-dimer上昇:VTE再発例56.5% vs 非再発例26.5%,p=0.006,F1+F2値の上昇:60% vs 23%,p=0.002)。
経口抗凝固療法継続例ではVTE再発は認められなかった。

経胸壁心エコー検査は223例に行われ,右心室-右心房圧較差が30~35mmHgであったのは9例,35mmHg超は1例であった(37mmHg)。
右心室-右心房圧較差正常例のうち,1例がPE初回発作の55ヵ月後に持続性呼吸困難を発症し,慢性血栓塞栓性肺高血圧と確認された。したがって,初回PE後の慢性血栓塞栓性肺高血圧発生率は0.4%(95%CI 0.0-2.7)であった。

●有害事象

文献: Poli D, et al. Incidence of recurrent venous thromboembolism and of chronic thromboembolic pulmonary hypertension in patients after a first episode of pulmonary embolism. J Thromb Thrombolysis 2010; 30: 294-9. pubmed
関連トライアル DURAC, Palareti G et al, REVERSE, VTE再発予防療法の至適期間
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