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単回の下肢全体CUSで結果が陰性であった患者のVTEリスク
Risk of deep vein thrombosis following a single negative whole-leg compression ultrasound
結論 単回の下肢全体圧迫超音波検査(CUS)にて陰性の結果が出た後,抗凝固療法を行わなくても,3ヵ月の追跡期間中の静脈血栓塞栓症(VTE)リスクは低いことが示された。

目的 深部静脈血栓症(DVT)の疑いのある患者において,DVTを確診するための初期検査としては一般的にCUSが用いられているが,遠位部の精度についての懸念から,結果が陰性であっても5~7日後の連続撮影が推奨されている。しかし,下肢全体のCUSにより,単回の実施でDVTを確診できる可能性がある。本論文では,単回の下肢全体CUSで結果が陰性であった後に抗凝固療法を行わないことの安全性を,3ヵ月の追跡期間中の症候性VTE発症率を調査することにより検討する。
方法 MEDLINE,EMBASE,CINAHL,LILACS,Cochrane,Health Technology Assessments databaseにて,1970年1月~2009年11月に出版された論文について,(1)単回の下肢全体CUSにより症候性下肢DVTを評価したRCTまたは前向きコホート研究,(2)下肢全体CUSで結果が陰性であった後に抗凝固療法を行わず,患者を90日以上追跡,(3)追跡期間中に起きたVTEを客観的に確認,の3つの条件を満たした研究を検索。インターネット(Google,Google Scholar),clinicaltrials.gov,学術集会アブストラクトの検索,参考文献一覧のハンドサーチも行った。英語以外の文献も対象とした。
対象 本解析の対象は4731例。
7試験(前向きコホート研究6件,RCT 1件[Bernardi et al])が該当。
表記は順に登録患者数,年齢,女性,VTE既往,活動性癌,4週以内の大手術)
Sevestre et al(2010)
1926例,中央値67(52~78)歳,61.2%,6.5%,15.5%,22.7%。
Sevestre et al(2009)
3871例,中央値60(47~74)歳,69.9%,10.7%,4.8%,4.2%。
Bernardi et al(2008)
1053例,平均62.5±16.2歳,59.2%,該当なし,29.9%,11.9%。
Subramaniam et al(2005)
526例,平均55.8±20.3歳,68.0%,8.7%,4.4%,報告なし。
Stevens et al(2004)
445例,平均56.1±17.3歳,68.8%,該当なし,4.8%,20.5%。
Elias et al(2003)
623例,平均53歳(SD報告なし),67.8%,該当なし,報告なし,報告なし。
Schellong et al(2003)
1646例,平均58±16歳,65.7%,12%,12%,28%。
主な結果 対象7試験の登録患者の合計は10090例,下肢全体CUSの結果が陰性,かつ抗凝固療法を行わなかった症例は7626例であった。このうち追跡期間中に抗凝固療法を開始した症例などを除外し,4731例を本解析の対象とした。
全例のうち活動性癌は647例(13.7%),4週以内に大手術を受けた患者は最大725例(15.3%)であった。なお,対象患者の大部分が外来患者であった。

・VTE発症率
VTEまたはVTE死の疑いは34例 (0.7%)であった;遠位部DVT 11例(32.4%),近位部DVT 7例 (20.6%),非致死的肺塞栓症7例 (20.6%),VTE死の可能性9例 (26.5%)。
3ヵ月の統合VTE発生率は0.57%(95%CI 0.25-0.89)であった。
3ヵ月のVTE発症率に関して,試験間の不均一性は認められなかった(I2=34.2%,p=0.17)。
文献: Johnson SA, et al. Risk of Deep Vein Thrombosis Following a Single Negative Whole-Leg Compression Ultrasound: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA 2010; 303: 438-45. pubmed
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