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Jaffer AK et al Variations in perioperative warfarin management: outcomes and practice patterns at nine hospitals
結論 長期抗凝固療法中の患者において,侵襲的手技後の抗凝固管理は多岐にわたったが,患者の臨床的特徴のみでは説明できなかった。大出血リスクは手技後のheparinまたは低分子量heparinの治療用量使用と強く関連していた。

目的 抗凝固療法中の患者が外科手術を受ける際,大部分では手術前に抗凝固療法の一時中止を必要とし,heparinまたは低分子量heparinが代替とされる(橋渡し療法)。本論文は橋渡し療法実施率を調査し,実施率がどの程度臨床的特徴により説明できるか,また30日後の血栓および出血合併症発症率を検討する。
デザイン 前向き観察研究。
セッティング 多施設(9施設),米国。
期間 試験期間は2002年8月~2005年10月。追跡期間は30日。
対象患者 492例。既知の適応により長期warfarin投与を受けている;warfarinの周術期投与中止の予定をともなう待機的手技を必要とする。
【除外基準】妊娠。
【患者背景】[出血合併症の有無別]平均年齢は出血合併症あり70±11.3歳,なし67±13歳。男性58.1%,53.6%。併存疾患:高血圧74.2%,60.3%,冠動脈疾患58.1%,35.4%(p=0.01),糖尿病16.1%,20.4%,脳卒中/一過性脳虚血性発作(TIA)の既往12.9%,16.3%,クレアチニン1.21±0.36mg/dL,1.17±0.85mg/dL(p<0.001)。抗凝固療法の適応:心房細動または粗動(脳卒中/TIAの既往なし)32.3%,34.5%,心房細動または粗動(脳卒中/TIAの既往あり)3.2%,9.1%,静脈血栓塞栓症(VTE)22.6%,29.1%,機械弁25.8%,9.3%,複数の適応6.5%,8.2%。
[橋渡し療法のタイプ別]
>65歳は非実施61.6%,予防用量投与58.8%,治療用量投与55.9%。男性56.3%,44.1%,54.0%。クレアチニン>2mg/dL 13.3%,10.3%,6.8%。消化管出血既往5.7%,7.4%,4.4%。脳卒中既往12.9%,19.1%,19.9%。抗凝固関連出血既往10.3%,2.9%,7.5%。機械弁6.5%,10.3%,28.0%。VTE既往30.0%,55.9%,29.2%。
治療法 手術前のheparinまたは低分子量heparinによる橋渡し療法は,非実施270例(54.9%),予防用量投与32例(6.5%),治療用量投与190例(38.6%),手術後は非実施263例(53.5%),予防用量投与68例(13.8%),治療用量投与161例(32.7%)であった。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
大出血は16例(3.2%)に発生した;橋渡し療法非実施3例(1.1%),予防用量投与2例(2.9%),治療用量投与11例(6.8%)。
小出血は15例(3.0%)に発生した;橋渡し療法非実施4例(1.5%),予防用量投与0例,治療用量投与11例(6.8%)。
周術期のheparinまたは低分子量heparinの治療用量投与は大出血リスク上昇と関連していた(調整後OR 4.4,95%CI 1.5-14.7)。
血栓塞栓事象は4例(0.8%)に発生した;橋渡し療法非実施3例(1.1%),予防用量投与1例(1.5%),治療用量投与0例。4例の内訳は,動脈血栓塞栓症2例(脳卒中1例,上肢動脈塞栓症1例),VTE 2例。動脈血栓塞栓症の2例はいずれも手術後1週間以上経過後に発症し,発症時のINRは1.5未満であった。VTEの2例はいずれもVTE既往を有していた。
死亡は1例(0.2%,治療用量投与)であった。
橋渡し療法実施率は施設間に差がみられ,本施設参加9施設のうち,2施設では85%の患者に治療用量の橋渡し療法が実施されたが,残りの7施設における治療用量の橋渡し療法実施率は22%であった(p<0.001)。

●有害事象

文献: Jaffer AK, et al. Variations in perioperative warfarin management: outcomes and practice patterns at nine hospitals. Am J Med 2010; 123: 141-50. pubmed
関連トライアル ACE , AFASAK 2 1999, ATC, BRUISE CONTROL, Dresden NOAC registry, FCSA, FIDO, Fontan Anticoagulation Study, Garcia DA et al, PROSPECT , RE-LY periprocedural bleeding, Skeith L et al, Tafur AJ et al, THRIVE, Yokoshiki H et al, 長期VKA療法患者における周術期橋渡し療法
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