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Rost NS et al Unsuspected coagulopathy rarely prevents IV thrombolysis in acute ischemic stroke
結論 凝固障害の疑いのない虚血性脳卒中患者において,凝固障害に関する結果が出る前に血栓溶解療法を開始することは安全である。本結果により現行のガイドラインが支持され,また早期投与のベネフィットは出血性素因の疑いによるリスクを上回ることが確認された。

目的 AHA/ASAガイドラインでは,凝固障害の疑いのない急性虚血性脳卒中患者においては,凝固障害に関する検査結果を待たずしてtPA静注を開始するよう推奨しているが,本件に関するデータはほとんどない。本論文では,Get With the Guidelines Stroke(GWTG-Stroke)の一端として,凝固障害によりtPA静注を差し控えた頻度を調査する。
デザイン 後ろ向き研究。
セッティング 単施設,米国。
期間 登録期間は2003年1月1日~2008年4月1日。
対象患者 470例。発症後3時間以内に来院した虚血性脳卒中患者。
【除外基準】3時間以上経過後に来院,一過性脳虚血発作(TIA),tPA静注を院外または入院中に実施,発症からの詳細な経過時間が不明。
【患者背景】平均年齢(IQR)はtPA静注実施群72.6歳(66~82),非実施群69歳(60~81)。男性46%,52.4%。開始時National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア中央値(IQR)15(9~21),4(2~11)(p=0.0001)。入院前の独立歩行93%,87.2%。病歴:頸動脈狭窄0%,4.8%,脂質異常症38.8%,35.4%,脳卒中/TIAの既往19.7%,23.5%,心房細動30.6%,27.5%,喫煙17.7%,15.6%,うっ血性心不全/弁膜症0%,1.1%,冠疾患/心筋梗塞25.2%,23.5%,糖尿病25.8%,18.7%,高血圧70%,66%。
治療法 該当患者にtPA静注を実施。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
全例のうち,tPA静注実施例は147例(31.3%),絶対的禁忌例は102例(21.7%),tPA静注を実施しない理由を有していた例は221例(47%)であった。221例の内訳は,症状が軽症/速やかに改善136例(61.5%),来院の遅れ48例(21.7%),適格性判定不可能8例(3.6%),高血圧コントロール困難6例(2.7%),家族の拒否6例(2.7%),院内の遅れ4例(1.8%),症状が重篤2例(0.9%),高齢2例(0.9%),余命1年未満2例(0.9%)。
血栓溶解療法実施対象患者のうちINR≧1.7または血小板≦10万/μLは30例(6.4%)で,治療/発症により事前に凝固障害が認められた疑い例は28例であった(warfarin使用92.8%,血小板減少症3.6%,血液悪性疾患3.6%)。
最終的に血栓溶解療法を行わなかった凝固障害を有していた患者は2例(0.4%,95%CI -0.16-1.02)のみであった。

●有害事象

文献: Rost NS, et al. Unsuspected coagulopathy rarely prevents IV thrombolysis in acute ischemic stroke. Neurology 2009; 73: 1957-62. pubmed
関連トライアル Chernyshev OY et al, Guillan M et al, GWTG-Stroke Registry risk of sICH, Kruetzelmann A et al, Pervez MA et al, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血
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