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OXVASC Oxford Vascular Study
結論 本研究は,50%以上の無症候性頸動脈狭窄患者の予後について,この10年の間に開始された初めての研究である。本研究において,集中的薬物併用療法中の同側性脳卒中リスクは低かった。この結果が一般化可能かどうか決定するためには,より大規模な研究が必要である。

目的 初期の研究では,50%以上の無症候性頸動脈狭窄より遠位の虚血性脳卒中の年間リスクは~2から3%とされていた。このリスクは近年の薬物療法の改善により低下した可能性があるが,ここ10年の間に開始された研究の発表はない。本研究では,別の領域の一過性脳虚血発作(TIA)または軽症虚血性脳卒中の調査後に50%以上の無症候性頸動脈狭窄が確認され,集中的薬物併用療法中の患者において,同側性脳卒中のリスクを検討する。
デザイン 地域住民をベースにした前向き研究。
セッティング 多施設(9施設),英国。
期間 登録期間は2002年4月1日~2009年3月31日。追跡期間は平均3.0年(範囲1~84ヵ月)。
対象患者 101例。National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア≦5を呈するTIA*1または脳卒中*2のため入院あるいは来院した患者連続例のうち,50%以上の無症候性頸動脈分岐部狭窄患者全例。後方循環のTIAまたは脳卒中で,かつ両方の頸動脈に無症候性狭窄がある患者では,最重度の狭窄をともなう動脈を解析に含めた。
*1:脳卒中様発作の継続が24時間未満。
*2:局所神経障害が突然発症し,神経障害を引き起こす可能性のある他の基礎疾患(脳腫瘍など)の証拠がなく24時間超継続。
【除外基準】頸動脈閉塞,総頸動脈近位部狭窄,内頸動脈遠位部狭窄。
【患者背景】平均年齢75.2±9.6歳。女性39%。高血圧68%。糖尿病16%。現喫煙15%,過去喫煙60%。心房細動(既往または現症)12%。当該イベント:脳卒中52%,TIA 48%。末梢血管疾患既往22%。心筋梗塞既往14%。TIA既往17%。脳卒中既往26%。頸動脈狭窄率;50~69%:69例,70~99%:32例。
治療法 全例に集中的併用薬物療法を行った。抗血小板薬は,最初の30日間は通常aspirinかつ/またはclopidogrelとし,その後は通常aspirin+dipyridamoleとした。さらに,スタチンを全例に投与(禁忌のない場合,最も一般的な処方はsimvastatin 40mg/日)。降圧薬は開始時または追跡期間中の血圧が>130/80mmHgの場合,全例に開始または増量した。全例で血糖値を測定し,必要に応じて詳細検査または治療を行った。全例にライフスタイルについてのアドバイス(特に,関連のある場合は禁煙の必要性)がされた。抗血小板薬または抗凝固薬の投与率:1ヵ月後97%,12ヵ月後97%,24ヵ月後96%。
追跡完了率 24ヵ月の追跡終了は79例。
【脱落理由】死亡,データ不完全。
結果

●評価項目
NIHSSスコア≦5を呈したTIAまたは虚血性脳卒中患者1256例のうち,1153例に頸動脈イメージングが行われ,101例(8.8%)に50%以上の無症候性頸動脈狭窄が認められた。
301患者・年の追跡において,無症候性狭窄領域における虚血イベントは6例に発症した;軽症脳卒中1例(初期の狭窄率:50%),TIA 5例(初期の狭窄率;50~69%:2例,70~99%:3例)。このうち3例はその後動脈内膜切除術施行に至った。
薬物療法中の平均年間イベント発症率は,同側性虚血性脳卒中0.34%(95%CI 0.01-1.87),障害をきたす同側性虚血性脳卒中0%(95%CI 0.00-0.99),同側性TIA 1.78%(95%CI 0.58-4.16),他領域の脳卒中8.32%(95%CI 5.08-12.85),他領域のTIA 5.15%(95%CI 2.74-8.81)であった。

●有害事象

文献: Marquardt L, et al. Low risk of ipsilateral stroke in patients with asymptomatic carotid stenosis on best medical treatment: a prospective, population-based study. Stroke 2010; 41: e11-7. pubmed
関連トライアル NASCET 1998
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