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メタ解析
灌流/拡散ミスマッチに基づいた遅延血栓溶解療法
Mismatch-based Delayed Thrombolysis
結論 灌流/拡散ミスマッチが認められた虚血性脳卒中・患者における遅延血栓溶解療法は,有用な臨床ベネフィットがある可能性は残るものの,臨床転帰の改善は確認されなかった。血栓溶解療法は症候性頭蓋内出血リスクを上昇させ,死亡率上昇の可能性が示唆された。遅延血栓溶解療法は,ミスマッチにより選択されても,ルーチンケアの一部としては推奨できない。

目的 虚血性脳卒中患者に対する血栓溶解療法のベネフィットは,発症から治療までの時間が経過するにつれ小さくなる。しかし,時間が経過しても同療法のベネフィットを得られる患者が存在する可能性があり,ミスマッチ画像を用いてそのような患者を同定する試みがいくつかの臨床試験にて行われている。本論文では,関連試験のメタ解析により,ミスマッチが認められる患者では治療時間のウィンドウを延長することが可能かどうか検討する。
方法 遅延血栓溶解療法(脳卒中発症から3時間超経過後)に適したミスマッチを有する脳卒中患者連続例の前向き登録を行ったか,または無作為割付デザインでミスマッチに基づいた遅延血栓溶解療法を検討した試験を検索。検索語“clinical trial*”“prospective study”“stroke trial*”“thrombolytic agent”“desmoteplase”“tissue plasminogen activator”“recanalization in stroke”“reperfusion therapy in stroke”“penumbra in stroke”“mismatch hypotheses”を用いて検索し,結果を絞り込んだ。最終サーチは2009年3月1日に行い,タイトル,抄録を再検査して関連試験についても検索した。
除外:症例報告,特定の解剖学的脳部位に限定した試験。
対象 5試験*1,502例が該当。
*1:DIAS(104例),DIAS II(186例),DEDAS(37例),DEFUSE(74例), EPITHET (101例)。
主な結果 ・再灌流かつ/または再開通
 再灌流かつ/または再開通率は血栓溶解療法施行群の方が高かった(統合調整OR 3.0,95%CI 1.6-5.8,p<0.05,不均一性p=0.26,I2=25.7%)。

・臨床転帰良好率
 臨床転帰良好率は再灌流が得られた患者の方が高かった(統合調整OR 5.2,95%CI 3-9.1,不均一性p=0.60,I2=0%)。
 血栓溶解療法施行による臨床転帰のベネフィットは得られなかった(統合調整OR 1.28,95%CI 0.84-1.97,不均一性p=0.28,I2=20.9%)。

・死亡率
 血栓溶解療法施行群の死亡率は上昇したが(統合調整OR 2.4,95%CI 1.2-4.9,p=0.02,不均一性p=0.67,I2=0%),血栓溶解療法薬の用量を承認されたかまたは臨床試験中のものを用いた試験*2に限定すると,有意差は認められなかった(統合調整OR 1.6,95%CI 0.7-3.7,p=0.28,不均一性p=0.56,I2=0%)。

・症候性脳内出血
 血栓溶解療法後,症候性脳内出血発生率は上昇したが(統合調整OR 6.5,95%CI 1.2-35.4,不均一性p=1.0,I2=0%),血栓溶解療法薬の用量を承認されたかまたは臨床試験中のものを用いた試験*2に限定すると,有意差は認められなかった(統合調整OR 5.4,95%CI 0.9-31.8,不均一性p=0.97,I2=0%)。プラセボ群では症候性脳内出血は発生しなかった。

*2:desmoteplase 90μg/kg,alteplase 0.9mg/kg
文献: Mishra NK, et al. Mismatch-based delayed thrombolysis: a meta-analysis. Stroke 2010; 41: e25-33. pubmed
関連トライアル Bichat Clinical Registry, EPITHET, SAINT postthrombolysis ICH, Schellinger PD et al, SITS-ISTR blood pressure, SITS-MOST multivariable analysis, ultrasound-enhanced thrombolysisの安全性および有効性, 虚血性脳卒中患者に対するIV/IA併用療法
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