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Sørensen R et al Risk of bleeding in patients with acute myocardial infarction treated with different combinations of aspirin, clopidogrel, and vitamin K antagonists in Denmark: a retrospective analysis of nationwide registry data
結論 心筋梗塞患者において,出血による入院は投与されている抗血栓薬の併用数により上昇した。clopidogrel+ビタミンK拮抗薬併用,またはこれにaspirinを加えた3剤併用は,詳細なリスク評価を行った患者にのみ処方すべきである。
コメント 抗血栓療法中の出血性副作用を調査した成績である。対象は初回急性心筋梗塞患者,PCI施行は37%。当然のことながら,抗血栓薬の併用で入院を要するようなmajorな出血リスクが3~4倍まで増加した。出血患者は,同時に心筋梗塞再発率や死亡率も高いハイリスク患者であった。PCIの有無には関係しない。本研究は前向き臨床試験ではない,レジストリーから得られたreal worldの結果である。従ってこれから薬剤の優劣を云々することは不可能である。しかし,我々が実際に診療している患者のトータルのリスクが反映されている。すなわち,テイクホーム・メッセージとしては,アスピリン単独では年間の出血リスクが2~3%、クロピドグレルあるいはワルファリン単独,もしくはクロピドグレル+ワルファリンを除く併用療法では4~5%,クロピドグレル+ワルファリンの2剤併用あるいは3剤併用(アスピリン+クロピドグレル+ワルファリン)は12%と高率であった。(島田和幸

目的 心筋梗塞後の患者ではaspirin,clopidogrel,ビタミンK拮抗薬の併用投与が広く行われている。このような抗血栓薬併用は出血リスクを上昇させるが,安全性に関する臨床試験は行われていない。本論文では,抗血栓薬投与を受けている心筋梗塞患者において,出血リスクを全国規模で調査する。
デザイン 後ろ向き登録研究。
セッティング 多施設,デンマーク。
期間 登録期間は2000年~2005年。平均追跡期間は476.5±142.0日。
対象患者 40812例。新規の心筋梗塞のため入院した患者;30歳以上;退院後90日以内にaspirin,clopidogrel,ビタミンK拮抗薬の処方を受けている(デンマークの全国患者登録のデータを使用)。
【除外基準】移住,死亡の日付が無効。
【患者背景】平均年齢は男性65.3±12.7歳,女性72.6±12.7歳。男性63%。合併症:脳血管疾患5%,合併症を伴う糖尿病5%,不整脈10%,出血の既往5%,PCI 37%。併用薬:β遮断薬81%,ARB 48%,スタチン68%,ループ利尿薬38%,血糖降下薬12%,NSAIDs 10%,プロトンポンプ阻害薬19%。
治療法 登録時の治療法の内訳はaspirin単独18763例,clopidogrel単独7250例,ビタミンK拮抗薬単独1320例,aspirin+clopidogrel併用12219例,aspirin+ビタミンK拮抗薬併用749例,clopidogrel+ビタミンK拮抗薬併用196例,3剤併用315例。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
非致死性出血のための入院は1852例(4.5%),致死性出血は115例(0.3%)であった。出血の内訳は脳内:非致死性152件(8.2%),致死性35件(30.4%),消化管:733件(39.6%),34件(29.6%),気道:220件(11.9%),1件(0.9%),泌尿生殖器:282件(15.2%),2件(1.7%),大腿部仮性動脈瘤の治療:39件(2.1%),39件(33.9%),出血による貧血:426件(23.0%),4件(3.5%)。

出血の年間発生率はaspirin単独群2.6%,clopidogrel単独群4.6%,ビタミンK拮抗薬単独群4.3%,aspirin+clopidogrel併用群3.7%,aspirin+ビタミンK拮抗薬併用群5.1%,clopidogrel+ビタミンK拮抗薬併用群12.3%,3剤併用群12.0%であった。

aspirin単独を対照とした出血の調整HRは以下の通りであった。
clopidogrel単独群:HR 1.33,95%CI 1.11-1.59。
ビタミンK拮抗薬単独群:HR 1.23,95%CI 0.94-1.61。
aspirin+clopidogrel併用群:HR 1.47,95%CI 1.28-1.69。
aspirin+ビタミンK拮抗薬併用群:HR 1.84,95%CI 1.51-2.23。
clopidogrel+ビタミンK拮抗薬併用群:HR 3.52,95%CI 2.42-5.11。
3剤併用群:HR 4.05,95%CI 3.08-5.33。

1年間の抗血栓療法による致死性/非致死性出血のNNH(有害必要数)はaspirin+clopidogrel併用群81.2,aspirin+ビタミンK拮抗薬併用群45.4,clopidogrel+ビタミンK拮抗薬併用群15.2,3剤併用群12.5。

[非致死性出血発生1852例および非発生38960例の比較]
試験期間中の心筋梗塞発症または死亡は,非致死性出血発生例では702例(37.9%)と,非発生例の7178例(18.4%)に比し多かった(HR 3.00,95%CI 2.75-3.27,p<0.0001)。

●有害事象

文献: Sørensen R, et al. Risk of bleeding in patients with acute myocardial infarction treated with different combinations of aspirin, clopidogrel, and vitamin K antagonists in Denmark: a retrospective analysis of nationwide registry data. Lancet 2009; 374: 1967-74. pubmed
関連トライアル ACTION Registry-GWTG stratified analysis, ACTIVE A, ACTIVE W, AFASAK 2 1999, AFIJI CYP2C19, Andersson C et al, CAPRIE 1999, CAPRIE 2000, Chan FK et al, CHARISMA, CHARISMA bleeding complications, CHARISMA post hoc analysis, CHARISMA subgroup analysis, CLASSICS, clopidogrel追加による死亡率抑制効果, COMMIT, CREDO, Danish National Patient Registry clopidogrel discontinuation, EXPRESS risk of bleeding, ExTRACT-TIMI 25 clopidogrel, FAST-MI CYP2C19 and PPI, Hansen ML et al, KAMIR, KAMIR triple vs. dual antiplatelet therapy, Lamberts M et al, Lamberts M et al, Lamberts M et al, MATCH, MINAP-GPRD, Palla A et al, Palnum KH et al, PCI-CLARITY, PCI-CURE, RIKS-HIA, Sarafoff N et al, Sorensen R et al (2011), TRIUMPH nuisance bleeding, WOEST
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