抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
RE-COVER
結論 急性静脈血栓塞栓症(VTE)治療において,dabigatranはwarfarinと同様に有効であり,安全性プロフィールも同等であった。
コメント 選択的経口抗トロンビン薬によりINR 2~3に調節したワルファリンと同様のDVT予防を示した意味では画期的研究である。RE-LY同様INR 2~3のワルファリンは出血が多い。日本でのINRを下げた使用が安全性の観点から意味があることが示された。(後藤信哉

目的 急性VTE患者において,dabigatran 150mg,1日2回投与の有効性および安全性をwarfarinと比較。有効性の一次エンドポイント:6ヵ月の症候性VTE再発+関連死。安全性のエンドポイント:出血事象,急性冠症候群,他の有害事象,肝機能検査。
デザイン ランダム化,二重盲検,ダブルダミー,非劣性試験,intention-to-treat解析(有効性),on-treatment解析(安全性)。NCT00291330。
セッティング 多施設(228施設),29ヵ国。
期間 登録期間は2006年4月~2008年11月。追跡期間は6ヵ月。
対象患者 2564例。年齢18歳以上;6ヵ月間の抗凝固療法の適応と考えられる確診された急性症候性深部静脈血栓症(下肢)または肺塞栓症(PE)患者。
【除外基準】症状持続期間が14日以上,血行動態が不安定/線溶療法を要するPE,他のwarfarinの適応,最近の不安定な冠血管疾患,出血高リスク,アミノトランスフェラーゼが正常値上限の2倍を超える肝疾患,クレアチンクリアランス<30mL/分,長期抗血小板療法の必要(ASA≦100mgは許可)など。
【患者背景】平均年齢はdabigatran群55.0±15.8歳,warfarin群54.4±16.2歳。各群の女性42.0%,41.1%。BMI 28.9±5.7,28.4±5.5(p=0.03)。病型:深部静脈血栓塞栓症(DVT)69.1%,68.6%,PE単独21.2%,21.4%,DVT+PE 9.5%,9.8%。癌5.0%,4.5%。VTEの既往25.7%,25.4%。ランダム化前の治療期間中央値3.0日,3.0日。シングルダミーフェーズ:ランダム化後の治療期間中央値6.0日,6.0日,未分画heparin(UFH)11.3%,13.0%,低分子量heparin(LMWH)89.4%,90.7%,fondaparinux 3.9%,2.8%。ダブルダミーフェーズ:試験薬投与期間163.4±50.3日,163.9±50.2日,INRが治療域内であった時間 NA,59.9±22.9%。
治療法 症状(PEまたは症候性PEを伴わないDVT),活動性癌の有無により層別化後,dabigatran群(1274例。150mg,1日2回投与),warfarin群(1265例)にランダム化。
ランダム化前に非経口抗凝固薬(UFH静注またはLMWH皮下注)の投与を開始した。ランダム化当日よりwarfarin/プラセボの投与を開始し,INR 2.0~3.0を達成するよう用量を調整(シングルダミーフェーズ)。dabigatran/プラセボは,非経口抗凝固薬を5日以上投与し,かつINRが2日以上連続して≧2.0となった時点で投与を開始(初回投与は非経口抗凝固薬投与の2時間前またはUFH静注中止時点)し,非経口抗凝固薬は投与を中止した。その後6ヵ月間試験薬/プラセボを投与(ダブルダミーフェーズ)。
追跡完了率 試験薬早期中止はdabigatran群16.0%,warfarin群14.5%。
【脱落理由】有害事象126例 vs 102例,服薬不履行21例 vs 35例,追跡不能9例 vs 6例。
結果

●評価項目
VTE再発はdabigatran群30例(2.4%),warfarin群27例(2.1%)で,非劣性基準に合致した(リスク差0.4%,95%CI -0.8-1.5,非劣性p<0.001 ,HR 1.10,95%CI 0.65-1.84)。優位性の基準には達しなかった。
症候性DVT:16例(1.3%)vs 18例(1.4%)(HR 0.87,95%CI 0.44-1.71)。
症候性非致死性PE:13例(1.0%)vs 7例(0.6%)(HR 1.85,95%CI 0.74-4.64)。
VTE関連死:1例(0.1%)vs 3例(0.2%)(HR 0.33,95%CI 0.03-3.15)。
全死亡:21例(1.6%)vs 21例(1.7%)(HR 0.98,95%CI 0.53-1.79)。
ACS:5例(0.4%)vs 3例(0.2%)(p=0.73)。

●有害事象
大出血はdabigatran群20例(1.6%),warfarin群24例(2.9%)(HR 0.82,95%CI 0.45-1.48)と同等であった。失血死各群1例,頭蓋内出血0例vs 3例,関節血症1例 vs 5例,喀血0例 vs 1例。
全出血は205例(16.1%)vs 277例(21.9%)(HR 0.71,95%CI 0.59-0.85)。
ASTの正常値上限3倍超の上昇は3.1% vs 2.1%(p=0.14)。
ALTの正常値上限3倍超の上昇は3.4% vs 3.8%(p=0.68)。
試験薬中止となった有害事象は9.0% vs 6.8%とdabigatran群の方が多かった(p=0.05)。

文献: Schulman S, et al.; RE-COVER Study Group. Dabigatran versus warfarin in the treatment of acute venous thromboembolism. N Engl J Med 2009; 361: 2342-52. pubmed
関連トライアル AMPLIFY, AMPLIFY-EXT, ARISTOTLE, ASPIRE, BISTRO II , CASSIOPEA, Crowther MA et al, dabigatran,rivaroxaban,apixabanの間接比較, EINSTEIN-DVT and EINSTEIN-Extension, EINSTEIN-PE, ELATE, EXULT A, Hokusai-VTE, Lakkireddy D et al, Larsen TB et al, Majeed A et al, PREVENT 2003, RE-ALIGN, RE-COVER, RE-COVER II , RE-LY, RE-LY concomitant use of antiplatelet, RE-LY exposure of VKA, RE-LY intracranial hemorrhage, RE-LY periprocedural bleeding, RE-LY previous TIA or stroke, RE-LY quality of INR control, RE-LY risk of bleeding, RE-MEDY & RE-SONATE, RE-MODEL, RE-NOVATE, ROCKET AF, SPORTIF II , SPORTIF V, THRIVE, THRIVE III, VTE治療における新規経口抗凝固薬, WAPS, WARFASA, WARP, Witt DM et al, 人工股関節,膝関節全置換術施行患者のVTE予防におけるdabigatranの有効性および安全性
関連記事