抗血栓トライアルデータベース
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ONSET/OFFSET
結論 安定冠動脈疾患(CAD)患者において,ticagrelorの血小板阻害作用の発現は高負荷用量clopidogrelに比し迅速で大きかった。この作用は維持投与期間中も持続し,投与中止後の作用消失は迅速であった。
コメント 本試験では新しいP2Y12ADP受容体であるticagrelorの抗血小板効果について,ADP惹起血小板凝集率を指標として評価した。ticagrelorは PLATO試験において用いられた用量が選択された。クロピドグレルについては,一般的には高用量とされる600mgのローディングを使用しながら,維持量としては通常量である75mgが使用された。クロピドグレルはプロドラッグであるため薬効にはばらつきがある。平均値にて比較すれば当然ばらつきの少ないticagrelor群において安定した血小板凝集阻害効果がみられる。実際,結果は予測の通りであった。さらに,ticagrelorはP2Y12阻害における可逆性が大きい。服薬終了後の血小板凝集率の正常化はクロピドグレルよりも迅速であることが予測され,本研究成果も予測の通りであった。本研究ではVerifyNowというpoint of care deviceの計測結果を一次エンドポイントとしている。VerifyNowであっても,計測している血小板凝集率の阻害効果と臨床イベント発現の関連も明確にされていない。本研究成果は臨床的に意味があるかもしれないし,全くないかもしれない。今後のデータの蓄積に期待したい。(後藤信哉

目的 PLATO試験において,ticagrelorのclopidogrelに比した臨床効果が示されたが,安定CAD患者における抗血小板作用の発現と消失についての評価はなされなかった。本研究では,aspirin治療中の安定CAD患者において,PLATO試験と同用量のticagrelorの抗血小板作用の発現と消失を,高負荷用量clopidogrelと比較する。一次エンドポイント:ONSET試験;負荷投与2時間後のADP(20μmol/L)誘発性血小板凝集阻害作用(IPA),OFFSET試験;最終投与後4~72時間のIPA傾斜度。
デザイン ランダム化,二重盲検,intention-to-treat解析。NCT00528411。
セッティング 多施設(8施設),米国,英国。
期間 登録期間は2007年10月~2009年3月。維持治療期間は6週±3日間(全試験期間は約10週間)。
対象患者 123例。18歳以上; aspirin(75~100mg/日)治療を受けている安定CAD患者。
【除外基準】急性冠症候群既往(スクリーニング前12ヵ月以内);心房細動,人工心臓弁,冠動脈ステントなど抗血栓療法の適応(warfarin,clopidogrel,aspirin[75~100mg/日は採用]);うっ血性心不全;左室駆出率<35%;1秒量/努力肺活量が正常値未満;出血性素因/重篤な肺疾患;現在喫煙者;中等度/強度のcytochrome P450 3A阻害薬,substrates,強度cytochrome P450 3A誘発因子の併用治療;血小板数<10万/mm3;ヘモグロビン<10g/dL;HbA1c≧10%;過去2年以内の薬物嗜癖/アルコール乱用;NSAIDsの必要性;クレアチニンクリアランス<30mL/分。
【患者背景】平均年齢はticagrelor群62±9歳,clopidogrel群65±8歳,プラセボ群64±8歳。各群の男性75%,74%,83%。既往症:CAD家族歴75%,67%,75%;高血圧77%,72%,75%;高脂血症95%,96%,100%;糖尿病:HbA1c>6.0% 11%,15%,42%,HbA1c≦6.0% 11%,4%,0%;心筋梗塞既往46%,43%,50%;CABG歴40%,39%,25%;PCI歴72%,76%,92%。
治療法 ticagrelor群(57例。負荷用量180mg,同日夜に90mg投与。その後維持用量90mg,1日2回を6週間投与),clopidogrel群(54例。負荷用量600mg投与後,翌日より維持用量75mg,1日1回を6週間投与),プラセボ群(12例)にランダム化。
全例にaspirin 75~100mg/日を併用投与。
追跡完了率 試験完遂はticagrelor群52例,clopidogrel群51例,プラセボ群11例。
【脱落理由】表記なし。
結果

●評価項目
[ONSET試験]
一次エンドポイント(負荷投与2時間後のADP 20μmol/L誘発性IPAはticagrelor群88%と,clopidogrel群38%に比し大きかった(p<0.0001)。
ticagrelor群のIPAは負荷投与後0.5時間では41% vs 8%とclopidogrel群に比し大きく,その後も負荷投与後24時間および維持投与期間にわたり大きかった(すべてp<0.0001)。
負荷投与2時間後の>50%IPA,>70%IPAの患者はticagrelor群の方がclopidogrel群に比し多かった;98% vs 31%,90% vs 16%(いずれもp<0.0001)。
[OFFSET試験]
一次エンドポイント(ADP 20μmol/L誘発性IPAの消失)はticagrelor群の方がclopidogrel群に比し迅速であった(4~72時間後のIPA/時の傾斜度:-1.04 vs -0.48,p<0.0001)。
治療6週間後のIPAはticagrelor群の方がclopidogrel群に比し大きかった(p<0.0001)。治療24時間後(58% vs 52%,p=NS),48時間後の平均IPAに差はみられなかった。
ticagrelor群の治療3日後のIPAはclopidogrel群の5日後のIPAと同等であり,またticagrelor群の治療5日後のIPAはclopidogrel群の治療7日後のIPAと同様であった。プラセボ群との差は認められなかった(p=NS)。

●有害事象
出血関連事象はticagrelor群28.1%と,clopidogrel群13.0%,プラセボ群8.3%に比し多かった。大出血は認められなかった。

文献: Gurbel PA, et al. Randomized Double-Blind Assessment of the ONSET and OFFSET of the Antiplatelet Effects of Ticagrelor Versus Clopidogrel in Patients With Stable Coronary Artery Disease. Randomized Double-Blind Assessment of the ONSET and OFFSET of the Antiplatelet Effects of Ticagrelor Versus Clopidogrel in Patients With Stable Cornonary Disease: The ONSET/OFFSET Study. Circulation 2009; 120: 2577-85. pubmed
関連トライアル 3T/2R, Berger PB et al 1999, Cadroy Y et al, CLASSICS, CREDO, Cuisset T et al, Erlinge D et al, Helft G et al, Mishkel GJ et al, OCLA, ONSET/OFFSET dyspnea, PLATO, PLATO bleeding complications, PLATO cECG substudy, PLATO diabetes, PLATO invasive strategy, PLATO non-invasive management, PLATO renal function, PLATO STE-ACS, PLATO stent thrombosis, PLATO total events, PLATO undergoing CABG, PREPAIR, PRINCIPLE-TIMI 44, RELOAD
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