抗血栓トライアルデータベース
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MERCI and Multi MERCI
結論 血栓除去術を受ける急性脳卒中患者において,最終的な再開通の状態は臨床転帰の最も強力な予測因子であった。血栓除去能は入院時の収縮期血圧(SBP)に悪影響を受けるが,これはおそらく高血圧による動水力のためと考えられた。内頸動脈閉塞は死亡リスク上昇と関連していたが,転帰良好減少とは関連していないようであった。

目的 発症後8時間以内の頭蓋内動脈閉塞患者に対する血栓除去術の有効性と安全性を検討したMERCI試験(Stroke 2005;36:1432)およびMulti MERCI試験(Stroke 2008;39:1205)のデータを結合し,臨床および血管造影上の転帰予測因子を検討。
デザイン MERCI試験,Multi MERCI試験とも前向き,単群臨床試験。
セッティング 多施設。
期間
対象患者 305例。発症後8時間以内に血管内血栓除去術を施行した頭蓋内動脈近位部閉塞患者。
【除外基準】―
【患者背景】年齢中央値(IQR)72歳(58~80)。男性47.9%。ベースライン時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア中央値19(15~23)。血行再建術成功64.6%。発症から治療までの時間中央値4.3時間(3.1~5.5)。内頸動脈閉塞32.5%。M1閉塞49.2%。M2閉塞9.2%。後方循環閉塞9.2%。動脈内血栓溶解薬投与31.8%。SBP中央値147mmHg(130~164)。
治療法 発症後8時間以内に血管内血栓除去術を施行。標的血管の再開通不成功,または近位部血栓除去術成功後,遠位部の塞栓に到達不能の場合は動脈内血栓溶解薬を投与した。
追跡完了率 再開通に関しては追跡完了100%。90日後のmodified Rankin Score(mRS)に関しては追跡不能4.9%,死亡に関しては同1.9%。
結果

●評価項目
[90日後の転帰良好(mRS≦2)]
単変量解析によると,予測因子は最終的な再開通の状態,ベースライン時のNIHSSスコア,年齢,SBP,高血圧,血糖値,心房細動,糖尿病であった。
多変量解析によると,予測因子は以下の通りであった。
最終的な再開通の状態:OR 20.43,95%CI 7.74-53.92,p<0.0001。
ベースライン時のNIHSSスコア:OR 0.86,95%CI 0.81-0.92,p<0.0001。
年齢:OR 0.96,95%CI 0.95-0.98,p=0.0004。
[90日後の死亡]
単変量解析によると,予測因子は最終的な再開通の状態,ベースライン時のNIHSSスコア,年齢,SBP,高血圧,心房細動,内頸動脈閉塞であった。
多変量解析によると,予測因子は以下の通りであった。
最終的な再開通の状態:OR 0.28,95%CI 0.16-0.50,p<0.0001。
ベースライン時のNIHSSスコア:OR 1.09,95%CI 1.04-1.14,p=0.0001。
年齢:OR 1.05,95%CI 1.03-1.07,p<0.0001。
内頸動脈閉塞:OR 2.17,95%CI 1.22-3.86,p=0.0084。
[再開通]
多変量解析によると,予測因子は以下の通りであった。
SBP(≧150 vs <150mmHg):OR 0.42,95%CI 0.26-0.70,p=0.0007。
M2閉塞:OR 3.86,95%CI 1.28-11.67,p=0.0168。

●有害事象

文献: Nogueira RG, et al.; on Behalf of the MERCI; and Multi MERCI Writing Committee. Predictors of Good Clinical Outcomes, Mortality, and Successful Revascularization in Patients With Acute Ischemic Stroke Undergoing Thrombectomy: Pooled Analysis of the Mechanical Embolus Removal in Cerebral Ischemia (MERCI) and Multi MERCI Trials. Stroke 2009; 40: 3777-83. pubmed
関連トライアル ECASS-II blood pressure, Engelter ST et al, Hallevi H et al, ICARO-2, MELT Japan, MERCI and Multi MERCI previous IV tPA, SAINT postthrombolysis ICH, Saqqur M et al, Sarikaya H et al (posterior circulation stroke), Schellinger PD et al, SITS-ISTR blood pressure, SITS-MOST multivariable analysis, 頸動脈解離による虚血性脳卒中に対する血栓溶解療法
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