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Engelter ST et al Intravenous Thrombolysis in Stroke Attributable to Cervical Artery Dissection
結論 静注血栓溶解療法を受けた頸動脈解離(CAD)患者は,非CAD患者に比し機能回復率が低かった。しかし頭蓋内出血および虚血性脳卒中再発率は同程度であり,これらは機能回復率の低さの原因ではなかった。したがって,CAD患者においても静注血栓溶解療法は安全に施行可能であることが示唆された。

目的 急性虚血性脳卒中患者に対する静注血栓溶解療法のベネフィットは脳卒中の病型とは無関係のようであるが,CAD患者においても同様であるかは明確となっていない。本論文では,CAD患者における同療法の転帰および合併症を非CAD患者と比較する。主要評価項目:3ヵ月後の転帰良好(modified Rankin Score(mRS)≦1),全死亡。複合評価項目:頭蓋内出血(無症候性,症候性,致死性)+3ヵ月後の虚血性脳卒中再発。
デザイン 登録研究。
セッティング 多施設(9施設),スイス。
期間 治療期間は2007年12月31日まで。追跡期間は3ヵ月。
対象患者 1062例。参加施設にて2007年12月31日までに現行のガイドラインに従い静注血栓溶解療法を受けた脳卒中患者連続例。
【除外基準】3ヵ月後の転帰が不明,頭蓋内動脈解離単独。
【患者背景】平均年齢はCAD群50±10歳,非CAD群67±13歳(p<0.001)。各群の男性66%,61%。National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア中央値(IQR)14(8~19),13(8~18)。SBP 137±22.6mmHg,157±27.0mmHg(p<0.001)。治療までの時間中央値152.5(124~175)分,156(130~180)分。脳卒中の病型:心原性脳塞栓0%,47%,アテローム血栓性0%,16%,小血管閉塞0%,7%,その他(CAD以外)0%,4%,CAD 100%,0%,原因不明0%,26%。血管リスク因子:高血圧36%,63%(p<0.01),高コレステロール血症15%,30%(p=0.03),糖尿病6%,15%,冠動脈心疾患6%,17%(p=0.03)。
治療法 現行のガイドラインに従い静注血栓溶解療法を施行。
追跡完了率 追跡不能は1.8%(すべて非CAD群)。
結果

●評価項目
CADが認められた患者は55例(5.2%)であった。内訳はCAD 52例,椎骨動脈解離3例。
3ヵ月後の転帰良好(mRS≦1)はCAD群20例(36.4%)で,非CAD群447例(44.4%)と同等であった(OR 0.72,95%CI 0.41-1.26,p=0.25)。しかし,年齢,性別,NIHSSスコアを調整するとCAD群の方が低かった(OR 0.50,95%CI 0.27-0.95,p=0.030)。
3ヵ月後の全死亡はCAD群3例(5.5%)vs 109例(10.8%)と同等であった(OR 0.47,95%CI 0.15-1.55,p=0.22)。
頭蓋内出血発生率はCAD群8例(14.5%)vs 非CAD群143例(14.2%)と同等であった(OR 1.0,95%CI 0.46-2.20,p=0.99)。無症候性:CAD群4例(7%)vs 非CAD群90例(9%),症候性:4例(7%)vs 53例(5%),致死性:1例(2%)vs 16例(2%)。
虚血性脳卒中の再発も1例(1.8%)vs 24例(3.7%)と,有意差は認められなかった(OR 0.48,95%CI 0.06-3.63,p=0.71)。

●有害事象

文献: Engelter ST, et al. Intravenous Thrombolysis in Stroke Attributable to Cervical Artery Dissection. Stroke 2009; 40: 3772-6. pubmed
関連トライアル Bern Stroke Project, Gensicke H et al, Gensicke H et al, Mattle HP et al, MELT Japan, MERCI and Multi MERCI, Mikulik R et al 2009, Prefasi D et al, Sarikaya H et al, Sarikaya H et al (posterior circulation stroke), Schellinger PD et al, SITS-ISTR blood pressure, SITS-MOST multivariable analysis, Toni D et al, 頸動脈解離による虚血性脳卒中に対する血栓溶解療法
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