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CISRS China Ischemic Stroke Registry Study
結論 急性虚血性脳卒中後の中国人患者において,抗血小板療法は全死亡および脳血管イベント再発リスクを減少させた。
コメント 中国人虚血性脳卒中患者の登録研究で,抗血小板療法群の約90%はアスピリン単独投与であり,対象は異なるがCAST 試験の長期観察版の観がある。本研究は1~6ヵ月以内の比較的早期の登録患者が対象であるにもかかわらず,全死亡1.56/100人・年(調整HR 0.42),脳血管イベント再発3.83/100人・年(調整HR 0.58)と従来の報告より良好な成績であり,独立した保護因子として抗血小板療法の長期投与の有用性を示した点が注目される。(岡田靖

目的 中国における急性虚血性脳卒中患者に対するaspirin早期投与の有用性はCAST 試験により示されているが,長期投与の有用性のエビデンスは乏しい。本論文では,急性虚血性脳卒中発症後1~6ヵ月の中国人患者において,抗血小板療法が全死亡または脳血管イベント再発リスクを減少させるか検討。臨床評価項目:全死亡,致死性/非致死性脳血管イベント再発(一過性脳虚血発作[TIA],虚血性脳卒中,出血性脳卒中)。
デザイン 前向き登録研究。
セッティング 多施設(23施設),中国。
期間 登録期間は2004年1月~2006年。平均追跡期間は14.0±2.8ヵ月。
対象患者 1951例。18歳以上;臨床症状およびCT/MRIにより確定診断された急性虚血性脳卒中発症後1~6ヵ月の患者。
【除外基準】CT/MRIにより確診された脳内出血。
【患者背景】平均年齢62.7±10.4歳。男性64.6%。脳卒中発症後の平均期間2.7±1.4ヵ月。BMI≧25 38.3%。mRS 2.0±1.4。National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア4.0±4.1。リスク因子:喫煙33.5%,糖尿病24.0%,高血圧41.5%,高脂血症51.0%,早発性脳血管/心血管病家族歴12.3%,アテローム血栓性疾患合併24.0%。
治療法 最初の脳卒中発症後の治療は以下の通り。抗血小板薬78.2%*,降圧薬67.2%,糖尿病治療薬74.0%,スタチン17.7%。なお抗血小板療法非実施の理由は,脳卒中発症後の治療に対する無関心であった。
*:aspirin単独(中央値100mg/日)89%,その他11%(clopidogrel 75~150mg/日,cilostazol 200mg/日,ticlopidine 250mg/日,dipyridamole 75~150mg/日)
追跡完了率 追跡不能は12%。
【脱落理由】転居または患者の追跡拒否。
結果

●評価項目
[例数の後の( )は/100人・年を示す]
全死亡は40例(1.88)であった。抗血小板療法実施例は27例(1.56)で,非実施例13例(3.26)に比し少なかった(p=0.027)。
最初の脳卒中による死亡:全例12例(0.56),抗血小板療法実施例8例(0.46),非実施例4例(1.00)。
脳卒中再発死:15例(0.71),11例(0.64),4例(1.00)。
急性心筋梗塞死:8例(0.38),6例(0.35),2例(0.50)。
その他の心血管死:4例(0.19),2例(0.12),2例(0.50)。
抗血小板療法は全死亡の独立保護因子であった(調整HR 0.42,95%CI 0.21-0.86,p=0.017)。

致死性/非致死性脳血管イベント再発は90例(4.24)であった。抗血小板療法実施例は66例(3.83)で,非実施例24例(6.03)に比し少なかった(p=0.018)。
抗血小板療法は脳血管イベント再発の独立保護因子であった(調整HR 0.58,95%CI 0.36-0.92,p=0.021)。

非致死性脳血管イベント再発は75例(3.53),抗血小板療法実施例は55例(3.19),非実施例は20例(5.02)であった。
TIA:全例15例(0.71),抗血小板療法実施例11例(0.64),非実施例4例(1.00)。
虚血性脳卒中:56例(2.64),40例(2.32),16例(4.02)。
出血性脳卒中:4例(0.19),4例(0.23),0例(0)。

生存例において,抗血小板療法はNIHSSスコア改善(HR 1.27,95%CI 1.07-1.51,p=0.006)およびmodified Rankin Score(mRS)スコア改善(HR 1.25,95%CI 1.02-1.52,p=0.031)の独立予測因子であった。

●有害事象

文献: Ding D, et al.; China Ischemic Stroke Registry Study (CISRS) investigators. Association of antiplatelet therapy with lower risk of death and recurrent cerebrovascular events after ischemic stroke--results from the China Ischemic Stroke Registry Study. Circ J 2009; 73: 2342-7. pubmed
関連トライアル CAPRIE 2000, CAST-IST, CSPS post hoc analysis, Flynn RW et al, German Stroke Study Collaboration, Kim WJ et al, Koton S et al, Palnum KH et al, SAINT postthrombolysis ICH
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