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Palla A et al The clinical course of pulmonary embolism patients anticoagulated for 1 year: results of a prospective, observational, cohort study
結論 再発予防のため標準的抗凝固療法を受けている急性肺塞栓症(PE)患者において,PE再発の大部分は最初の数日間に発症し,6ヵ月後以降の出血事象は認められなかったことより,抗凝固療法を1年間に延長することの安全性および有用性が示された。

目的 急性PE発症後1年間は再発リスクが持続するとされているが,臨床試験の多くが6ヵ月で追跡を終了しているため,リスク因子を考慮せずPE患者全例に抗凝固療法を継続することのベネフィットは不明である。本論文では,標準的抗凝固療法を1年間継続することの有用性および安全性を検討する。一次エンドポイント:致死性/非致死性PE再発,出血。
デザイン 前向きコホート研究。
セッティング 単施設,イタリア。
期間 登録期間は2001年5月~2005年5月。追跡期間は1年(または2006年5月まで)。
対象患者 497例。客観的方法(スパイラルCT,肺動脈造影法,非診断的肺スキャン,またはスパイラルCT+下肢静脈圧迫超音波検査)でPEと診断された患者連続例。入院/外来,誘発要因不明/二次性PEの別は問わない。
【除外基準】表記なし。
【患者背景】平均年齢(範囲)68.9(17~95)歳。男性44.9%。入院中61.8%。特発性PE 42.7%。リスク因子:癌25.6%,手術歴33.0%,固定(不動化)>7日36.0%,エストロゲンの使用(女性274例中)5.5%,PE既往7.0%,深部静脈血栓症(既往8.4%,現症36.2%),脈管炎0.4%。心肺疾患の既往38.4%。症状:呼吸困難63.0%,持続性の呼吸困難12.1%,失神14.3%。
治療法 全例に院内にて十分量の未分画/低分子量heparinを投与し,その後ビタミンK拮抗薬(INR 2.0~3.0)をあわせて1年間投与。血行力学的に不安定な臨床症状を有する患者には線溶薬を短時間静注。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
PE再発は48例(9.6%),このうち致死性は36例であった(致死率75%)。PE再発による年間死亡率は9.4/100人。
再発時期は10日以内39例(81.2%),6ヵ月以降2例(いずれも非致死性)であった。
PE再発のリスク因子は持続性重症呼吸困難(HR 3.64,95%CI 1.42-9.37,p=0.007),灌流欠損スコア(PDI)高値(HR 1.18,95%CI 1.06-1.31,p=0.003),心肺合併症(HR 2.59,95%CI 1.34-5.02,p=0.005)であった。
致死性PE再発のリスク因子は特発性PE(HR 2.11,1.07-4.15,p=0.030),持続性重症呼吸困難(HR 3.55,95%CI 1.33-9.45,p=0.011),PDI高値(HR 1.30,95%CI 1.16-1.46,p=0.001)であった。

全死亡は136例(27.4%)であった。PE以外の死因は癌59例(43.4%),心肺疾患41例(30.1%)。

●有害事象
出血事象は17例(3.4%)に認められた。内訳は大出血1例(10日以内の頭蓋内出血),小出血16例(10~30日後:4例,30~180日後:12例)で,6ヵ月以降の発生はなかった。
出血のリスク因子は特定できなかった。

文献: Palla A, et al. The clinical course of pulmonary embolism patients anticoagulated for 1 year: results of a prospective, observational, cohort study. J Thromb Haemost 2010; 8: 68-74. pubmed
関連トライアル AFASAK 2 1999, Hestia Study, Palareti G et al, Sørensen R et al, van Gogh Studies prophylaxis
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