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Poli D et al Bleeding risk during oral anticoagulation in atrial fibrillation patients older than 80 years
結論 warfarin投与を受けている高齢の心房細動患者において,出血リスクは容認できる低さであった。慎重な抗凝固管理が得られれば,80歳以上でもwarfarin予防療法のベネフィットを享受することが可能である。

目的 今後高齢の心房細動患者の増加が見込まれていることから,高齢患者における出血リスクの定量化,修正可能なリスク因子の同定が非常に重要となっている。本論文では,warfarin投与を受けている心房細動患者において,80歳を境とする年齢別出血リスク,抗凝固の質,出血事象に関連する因子を検討。
デザイン 観察研究。
セッティング イタリア。
期間 試験期間は1998年6月~2007年12月。追跡期間は2567患者・年。
対象患者 783例(≧80歳327例+<80歳456例)。経口抗凝固薬(warfarin)投与を受けるため照会された非弁膜症性心房細動外来患者。全例とも経口抗凝固薬投与開始時(主に退院時)に登録。
【除外基準】―
【患者背景】年齢中央値(IQR)は≧80歳群83(80~99)歳,<80歳群 73(34~79)歳。各群の男性/女性194/133例,313/143例。長期心房細動 83%,80%。高血圧62.2%,64%。糖尿病18%,21%。脳卒中/TIAの既往36%,25%(p=0.001)。CHADS2スコア0:0%,12%,1:12%,29%,2:32%,27%,3:28%,18%,4:21%,9%,5:6%,3.5%,6:1%,1.5%。
治療法 warfarinはPT-INRが2~3となるよう投与。aspirinの使用は急性冠症候群の最近の発作があった症例,または再発が起きた時に限定された。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
全体として,PT-INRが治療域内に留まったのは71%(中央値),治療域未満は14%,超過は15%であった。≧80歳群,<80歳群の間に有意差は認められなかった。
大出血は≧80歳群21例(2.5/100例・年)と,<80歳群16例(0.9/100例・年)(RR 1.9,95%CI 1.2-2.8,p=0.004)に比し多かった。warfarin投与開始から大出血発生までの期間(中央値)は36ヵ月(範囲3~124),PT-INRは<3:25例(67.5%),3~4:7例(19%),>4:5例(13.5%)であった。
小出血も26例(3.1/100例・年)vs 31例(1.8/100例・年)(RR 1.7,95%CI 1.0-3.0,p=0.03)と,≧80歳群の方が多かった。
脳内出血は10例(1.2/100例・年)vs 10例(0.5/100例・年)(RR 2.1,95%CI 0.8-5.5,p=0.1),消化管出血は9例(1.1/100例・年)vs 6例(0.3/100例・年)(RR 3.1,95%CI 1.0-10.7,p=0.03),致死的出血は6例(0.7/100例・年)vs 3例(0.2/100例・年)(RR 4.2,95%CI 0.9-26.0,p=0.04)。
単変量解析によると,以下のものは出血リスクと関連がみられた:≧80歳(OR 3.1,95%CI 1.6-6.2,p=0.002),脳卒中/一過性脳虚血発作の既往(OR 2.5,95%CI 1.3-4.8,p=0.007),CHADS2スコア(OR 1.3,95%CI 1.0-1.7,p=0.03)。
コックス回帰解析によると,≧80歳は出血リスク上昇と関連していた(OR 2.0,95%CI 1.1-4.0,p=0.05)。
aspirinは27例(3.5%)に投与されたが,aspirin投与/非投与において,出血事象発生率に有意差は認められなかった。

●有害事象

文献: Poli D, et al. Bleeding risk during oral anticoagulation in atrial fibrillation patients older than 80 years. J Am Coll Cardiol 2009; 54: 999-1002. pubmed
関連トライアル ACTION, AFASAK 2 1999, AFFIRM subgroup analysis, ARISTOTLE-J, Danish Stroke Registry, EAFT 1995, JNAF-ESP, MOCA, NABOR, Pengo V et al, PROTECT AF, RE-LY risk of bleeding, ROCKET AF renal dysfunction, Roldan V et al, Sadanaga T et al, SPAF II 1996, SPAF III 1996, SPORTIF elderly patients, SPORTIF II , SPORTIF III, SPORTIF INR control, SPORTIF pooled analysis, SPORTIF risk of bleeding, SPORTIF V, Themistoclakis S et al, Veterans Affairs Stroke Prevention
in Nonrheumatic Atrial Fibrillation
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