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Martin-Schild S et al Intravenous tissue plasminogen activator in patients with cocaine-associated acute ischemic stroke
結論 コカイン関連脳梗塞患者において,tPA療法は安全に施行可能であった。しかし安全性および有効性を明確に評価するためには,更なる検討が必要である。

目的 コカインが脳血管障害を引き起こす潜在的機序としては,薬物乱用者における不整脈,心筋症,心内膜炎からの敗血症性塞栓などがあげられる。このうちのいくつかはtPA投与後の脳内出血(ICH)リスク上昇をもたらす可能性が指摘されており,コカイン関連脳梗塞患者に対するtPA療法施行は注意するよう推奨されている。本論文では,(1)tPA療法を受けたコカイン関連脳梗塞患者の安全性および転帰を,発症から3時間以内にtPA投与を受けた非コカイン関連脳梗塞患者と比較。(2)コカイン関連脳梗塞患者における安全性および転帰をtPA投与/非投与で比較。
デザイン 後ろ向きコホート研究。
セッティング
期間 治療期間は2004~2007年。
対象患者 162例(コカイン関連脳梗塞患者87例+非コカイン関連脳梗塞患者75例)。[コカイン関連脳梗塞患者]2004~2007年に脳卒中病棟に入院した患者のうち,尿中毒物スクリーニング検査でベンゾイルエクゴイン(コカイン代謝物)が陽性であった患者。
[非コカイン関連脳梗塞患者]同時期にtPA投与を受けた,尿中毒物スクリーニング検査でコカイン代謝物が陰性であった患者。
(尿中毒物スクリーニング検査は,脳梗塞患者の全例には施行せず)
【除外基準】表記なし。
【患者背景】年齢*はtPA投与を受けたコカイン関連脳梗塞患者48(19~67)歳,tPA投与を受けた非コカイン関連脳梗塞患者55(32~91)歳(p=0.001)。男性82.8%,61.3%(p=0.039)。初回SBP * 166(101~257),164(96~223)。初回DBP * 99(67~173),89(63~141)(p=0.022)。血糖値* 103.5(81~286),123(62~354)(p=0.003)。クレアチンキナーゼ* 192.5(43~637),135(25~937)(p=0.037)。CK-MB * 3.2(1.4~67),3.1(0.8~10.5)。トロポニン* 0.01(0.01~2.41),0.01(0.01~3.84)。tPA静注までの時間* 116.5(69~173)分,141(65~180)分。
*:中央値[最小~最大]を示す)
治療法 (1)コカイン関連脳梗塞患者87例のうちtPA投与29例を非コカイン関連脳梗塞患者75例と比較。(2)コカイン関連脳梗塞患者87例のうちtPA投与29例と非投与58例を比較。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
tPA投与を受けたコカイン関連脳梗塞患者において,合併症は認められなかった。
tPA投与を受けたコカイン関連脳梗塞患者と非関連脳梗塞患者の比較において,脳卒中重症度(開始時のNIHSSスコア)は13(4~23)vs 11(3~35),症候性はICH 0% vs 1.3%,退院時の転帰良好(mRSスコア≦2)は50.0% vs 52.0%,死亡は3.4% vs 12.0%と,いずれも有意差は認められなかった。
tPA投与を受けたコカイン関連脳梗塞患者は,投与を受けなかった同患者に比し,脳卒中の程度が重度であった(開始時のNIHSSスコア:13[4~23]vs 5[0~40],p<0.0001)。症候性ICHは0% vs 3.4%,退院時の転帰良好(mRSスコア≦2)は50.0% vs 60.4%,死亡は3.4% vs 1.8%と,いずれも有意差は認められなかった。

●有害事象

文献: Martin-Schild S, et al. Intravenous tissue plasminogen activator in patients with cocaine-associated acute ischemic stroke. Stroke 2009; 40: 3635-7. pubmed
関連トライアル CASES elderly patients, Cronin CA et al, ECASS, GWTG-Stroke Registry risk of sICH, ICARO, Machumpurath B et al, Madrid Stroke Network, NINDS rt-PA Stroke Study 1995, Pervez MA et al, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI, SAMURAI CT versus DWI, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SITS-ISTR elderly, SITS-ISTR young patients, TASCC, Toni D et al, TPA Bridging Study, Tsivgoulis G et al, TTT-AIS
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