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PREVAIL subanalysis
結論 脳梗塞後の静脈血栓塞栓症(VTE)予防において,enoxaparinの臨床ベネフィットは,未分画heparin(UFH)に比し,長期の神経学的転帰悪化もしくは症候性頭蓋内出血リスク上昇をもたらさなかった。

目的 脳梗塞既往患者においてVTEは重要な合併症であり,低分子量heparin(LMWH)またはUFHによる予防療法が推奨されている。しかし IST試験で,脳梗塞再発予防のためのUFH投与により頭蓋内出血リスクが上昇し,正味のベネフィットが消失することが示唆された。本論文は PREVAIL試験のサブ解析として,LMWHによるVTEリスク抑制が,UFHに比し,神経学的転帰に悪影響を与えるか検討。
デザイン PREVAIL試験はランダム化,オープン。
セッティング
期間 追跡期間は90日。
対象患者 1762例。年齢18歳以上,補助なしでの歩行が不可能な脳梗塞患者。
【除外基準】―
【患者背景】年齢<65歳はenoxaparin群(National Institute of Health stroke scale[NIHSS]スコア<14)41.4%,同(NIHSS≧14)43.6%,UFH群(NIHSS<14)44.4%,同(NIHSS≧14)37.3%,65~75歳36.0%,33.5%,29.4%,32.1%,>75歳22.7%,22.9%,26.2%,30.6%。男性58.3%,60.6%,54.0%,53.6%。人種:白人61.7%,52.1%,60.9%,56.3%,黒人7.6%,8.1%,6.9%,4.8%,アジア系20.2%,21.6%,21.7%,22.6%,ヒスパニック系6.9%,11.9%,6.7%,10.3%,その他3.5%,6.4%,3.7%,6.0%。
治療法 PREVAIL試験はenoxaparin群(877例。40mg,1日1回投与),UFH群(872例。12時間間隔で5000U投与)にランダム化。
追跡完了率
結果

●評価項目
90日後の脳梗塞の悪化*はenoxaparin群45例(5.1%),UFH群42例(4.8%)と同等であった。その大部分は最初の14日間に起こった(14日後の脳梗塞の悪化:4.9% vs 4.5%)。
90日後のNIHSSスコア,mRSスコアの改善は両群とも同等であった(90日後のmRS 0~2は42.7% vs 45.0%)。
90日後の脳梗塞再発は12例(1.5%)vs 12例(1.7%)と同等であった(HR 0.913,95%CI 0.416-2.000,p=0.819)。
頭蓋内出血の発生は20例(2.28%)vs 22例(2.52%)と同等であった。内訳は,無症候性14例 vs 15例,症候性4例 vs 6例,原発性2例 vs 1例。
頭蓋外大出血は7例(0.8%)vs 0例とenoxaparin群の方が多かった(p<0.05)。
以下は脳梗塞悪化の独立予測因子であった;開始時のNIHSSスコア(14以上18未満 vs 10以上14未満:OR 3.9,95%CI 1.9-8.1,18以上22未満vs 10以上14未満:OR 4.1,95%CI 1.8-9.2,22以上vs 10以上14未満:OR 9.0,95%CI 3.8-21.5),脂質異常症(OR 3.3,95%CI 1.8-5.9),ヒスパニック系(vs 白人:OR 2.0,95%CI 1.1-3.9)。
逆に,アジア系では脳梗塞悪化リスクの低下がみられた(vs 白人:OR 0.4,95%CI 0.2-0.9)。
*:開始時から治療期間および追跡期間中のNIHSSスコア最低点から4点以上の上昇。

●有害事象

文献: Kase CS, et al.; PREVAIL Investigators. Neurological outcomes in patients with ischemic stroke receiving enoxaparin or heparin for venous thromboembolism prophylaxis: subanalysis of the Prevention of VTE after Acute Ischemic Stroke With LMWH (PREVAIL) study. Stroke 2009; 40: 3532-40. pubmed
関連トライアル ACUITY switching to bivalirudin, ECASS III additional outcomes, ECASS-II blood pressure, ExTRACT-TIMI 25 renal dysfunction, FISS-tris, Hallevi H et al, IST 2001, MELT Japan, PREVAIL, RECORD2, SAINT postthrombolysis ICH, SITS-ISTR blood pressure, SITS-MOST multivariable analysis, SYNERGY elderly, SYNERGY long-term outcomes, Toni D et al, Tsivgoulis G et al, 虚血性脳卒中患者に対する動注血栓溶解療法の有用性, 内科患者における静脈血栓塞栓症予防:enoxaparinとUFHの比較
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