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RE-LY Randomized Evaluation of Long-term Anticoagulant Therapy
結論 心房細動(AF)患者において,dabigatran 110mgの脳卒中および全身性塞栓症予防効果はwarfarinに対し非劣性を示し,大出血は少なかった。同150mgはwarfarinに比し,脳卒中および全身性塞栓症を有意に抑制した。大出血発生率は同等であった。
コメント 21世紀早々,経口抗トロンビン薬キシメラガトランの治験が行われ,ワルファリンと脳梗塞抑制効果は同等であったが,肝毒性のため承認されなかった。今回同種の薬としてダビガトランが開発され,治験での成績が報告された。110mgではワルファリンと同等の効果があり,出血は有意に少ないこと,150mgではワルファリンより脳梗塞抑制効果が優れており,出血は同等であったことが示された。また,頭蓋内出血は両用量でいずれもワルファリンに比し有意に少ないことは大きなメリットであろう。有害事象としての肝毒性は認めず,今後の承認申請が待たれるところである。本論文では,日本人におけるサブ解析の結果は示されておらず,特に出血の面より,全体の傾向と同等であったのか,今後の発表が待たれる。(是恒之宏

目的 AF患者におけるwarfarinの脳卒中予防効果は確立されているが,出血リスクの上昇や頻回なモニタリングが必要などといった問題がある。そこで,新規の抗凝固薬dabigatranの脳卒中予防効果をwarfarinと比較する。一次エンドポイント:脳卒中または全身性塞栓症。二次エンドポイント:脳卒中,全身性塞栓症,死亡。安全性の一次エンドポイント:大出血(ヘモグロビン値の20g/L以上の低下,2ユニット以上の輸血,発症部位/臓器の症候性出血)。
デザイン PROBE(prospective,randomized,open,blinded-endpoint),dabigatranの2群間は盲検化,非劣性試験。NCT00262600。
セッティング 多施設(951施設),44ヵ国(日本を含む)。
期間 登録期間は2005年12月22日~2007年12月15日。追跡期間中央値は2.0年。
対象患者 18113例。6ヵ月以内に心電図でAFを確診,かつ次のリスク因子のうち1つ以上を有する:脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)の既往,LVEF<40%,NYHA分類≧II,6ヵ月以内の心不全の既往,75歳以上(糖尿病,高血圧,冠動脈疾患患者は65歳以上)。
【除外基準】重篤な心臓弁障害,14日以内の脳卒中または6ヵ月以内の重篤な脳卒中,出血リスク上昇の状態,クレアチニンクリアランス<30mL/分,活動性肝疾患など。
【患者背景】平均年齢はdabigatran 110mg群71.4±8.6歳,dabigatran 150mg群71.5±8.8歳,warfarin群71.6±8.6歳。各群の男性64.3%,63.2%。63.3%。AFの病型(持続性/発作性/永続性)32.4/32.1/35.4%,31.4/32.6/36.0%,32.0/33.8/34.1%。CHADS2スコア2.1±1.1,2.2±1.2,2.1±1.1。脳卒中またはTIAの既往19.9%,20.3%,19.8%。心筋梗塞の既往16.8%,16.9%,16.1%。心不全32.2%,31.8%,31.9%。糖尿病23.4%,23.1%,23.4%。高血圧78.8%,78.9%,78.9%。ベースライン時の薬物療法:aspirin 40.0%,38.7%,40.6%,ビタミンK拮抗薬(61日以上)50.1%,50.2%,48.6%。
治療法 以下の3群にランダム化。
dabigatran 110mg群:6015例。dabigatran 110mg,1日2回投与。
dabigatran 150mg群:6076例。dabigatran 150mg,1日2回投与。
warfarin群:6022例。INR測定(月1回以上実施)でINR 2~3を維持するようwarfarinを投与。
aspirin(<100mg/日)またはその他の抗血小板薬の使用は許可。quinidineは,dabigatranとの潜在的相互作用の疑いのため試験開始の2年後にプロトコールが変更されるまで許可されていた。
追跡完了率 99.9%。
結果

●評価項目
1年後の試験薬投与中止はdabigatran 110mg群14.5%,同150mg群15.5%,warfarin群10.2%。warfarin群において,INRが治療域に留まったのは試験期間の64%であった。
一次エンドポイント(脳卒中または全身性塞栓症)はdabigatran 110mg群183例(1.54%/年),同150mg群135例(1.12%/年)と,warfarin群203例(1.72%/年)に比し非劣性基準に合致した(いずれも非劣性p<0.001)。さらに150mg群はwarfarin群に比し優位性が認められた(RR 0.65;0.52-0.81,p<0.001)。110mg群とwarfarin群間には有意差は認められなかった(RR 0.89;0.73-1.09,p=0.27)。
脳卒中の内訳は以下の通り。出血性脳卒中:110mg群0.12%/年(RR 0.31;0.17-0.56,p<0.001),150mg群0.10%/年(RR 0.26;0.14-0.49,p<0.001),warfarin群0.38%/年。脳梗塞または病型不明:110mg群1.34%/年(RR 1.10;0.88-1.37,p=0.42),150mg群0.93%/年(RR 0.76;0.59-0.97,p=0.03),warfarin群1.22%/年。
大出血は,dabigatran 110mg群はwarfarin群に比し抑制されたが,150mg群では同等であった:110mg群2.92%/年(RR 0.80;0.70-0.93,p=0.003),150mg群3.40%/年(RR 0.94;0.82-1.08,p=0.41),warfarin群3.61%/年。
生命を脅かす出血,脳内出血,大/小出血はいずれも,dabigatran 110mg群(1.27%,0.23%,14.62%),150mg群(1.52%,0.30%,16.42%)はwarfarin群(1.87%,0.74%,18.15%)に比し抑制された。消化管出血は,dabigatran 150mg群は1.51%/年と,warfarin群1.02%/年に比し多かった(p<0.001)。110mg群は1.12%/年(p=0.43)。
全死亡について,有意差は認められなかった:dabigatran 110mg群3.75%/年(p=0.13),150mg群3.64%/年(p=0.051),warfarin群4.13%/年。
正味のエンドポイント(主要血管事象,大出血,死亡)はdabigatran 110mg群7.09%/年(RR 0.92;0.84-1.02,p=0.10),150mg群6.91%/年(RR 0.91;0.82-1.00,p=0.04),warfarin群7.64%/年。
[N Engl J Med 2014; 371: 1464-5にもとづき数値を訂正] Pubmed

●有害事象
dabigatran群でwarfarin群に比し多くみられた有害事象は上腹部痛,不快感のみであった。dabigatranの肝毒性は認められなかった。

文献: Connolly SJ, et al.; RE-LY Steering Committee and Investigators. Dabigatran versus warfarin in patients with atrial fibrillation. N Engl J Med 2009; 361: 1139-51. pubmed
関連トライアル ACTIVE A, AFASAK 2 1999, AMADEUS, ARISTOTLE, ARISTOTLE previous stroke/TIA, ARISTOTLE risk score, ARISTOTLE time in therapeutic range, ARISTOTLE type and duration of AF, AVERROES, BAATAF, dabigatran,rivaroxaban,apixabanの間接比較, ENGAGE AF-TIMI 48, Hokusai-VTE, J-ROCKET AF, J-ROCKET AF renal impairment, JNAF-ESP, Lakkireddy D et al, Larsen TB et al, Majeed A et al, PROTECT AF, RE-ALIGN, RE-COVER, RE-COVER II , RE-LY Asian subgroup, RE-LY concomitant use of antiplatelet, RE-LY exposure of VKA, RE-LY intracranial hemorrhage, RE-LY Japanese population, RE-LY periprocedural bleeding, RE-LY previous TIA or stroke, RE-LY quality of INR control, RE-LY risk of bleeding, RE-MEDY & RE-SONATE, RELY-ABLE, ROCKET AF, ROCKET AF post hoc analysis, ROCKET AF previous stroke/TIA, ROCKET AF renal dysfunction, SPAF, SPAF II 1996, SPAF III 1996, SPORTIF II , SPORTIF III, SPORTIF INR control, SPORTIF pooled analysis, SPORTIF risk of bleeding, SPORTIF V, WARCEF, warfarinによるNVAF患者の脳卒中予防, warfarin投与中のAF患者における脳卒中/全身性塞栓症リスク, 心房細動患者の脳卒中予防におけるwarfarinの心筋梗塞保護効果, 新規経口抗凝固薬4剤のwarfarinに対する有効性・安全性
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