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German Stroke Study Collaboration
結論 右左シャントが認められる原因不明の脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)患者において,脳卒中再発率は低く,現在の治療法は多岐にわたった。科学的根拠が確立されていないにもかかわらず,3割の患者が脳卒中二次予防のための経皮的デバイス閉鎖を施行されていた。

目的 右左シャントは特に55歳未満において脳卒中のリスク因子と考えられている。本論文では右左シャントが認められる脳血管疾患患者における現在の治療法および予後を検討し,また予測因子や高リスク患者を同定する。
デザイン コホート研究。
セッティング 多施設(17施設),ドイツ。
期間 平均追跡期間は28.4ヵ月。
対象患者 1126例。精密検査にて右左シャントの可能性がある/推定される,もしくは経食道心エコーを含む精密検査で原因がわからない脳卒中またはTIA患者。試験参加21施設,対象1438例のうち,選択バイアスを小さくするため17施設,1126例を対象とした。
【除外基準】―
【患者背景】年齢中央値は右左シャントあり53歳,なし62歳(p<0.001)。女性35.6%,38.8%。糖尿病12.7%,19.2%(p=0.006)。高血圧43.2%,61.5%(p<0.001)。脳卒中の既往8.9%,11.2%,TIAの既往6.0%,5.6%。冠血管疾患または心筋梗塞6.2%,11.5%(p=0.003)。片頭痛6.3%,1.7%(p<0.001)。入院時のNIHSSスコア中央値2,3(p=0.012)。退院時のmRSスコア中央値0,1(p<0.001)。
治療法 退院時の右左シャントの有無別の抗血栓療法の状況は下記の通りであった。
経口抗凝固薬:右左シャントあり26.2%,なし2.6%(p<0.001)。
ヘパリン11.6%,1.1%(p<0.001)。
抗血小板薬54.7%,92.9%(p<0.001)。
抗血栓薬非投与7.2%,2.2%(p<0.001)。
追跡完了率 右左シャントあり87.1%,なし75.9%。
結果

●評価項目
全例のうち右左シャントは404例(35.9%),卵円孔開存はそのうち355例(87.9%)に認められた。
右左シャントは脳卒中再発の独立予測因子ではなかった(経皮的デバイス閉鎖施行患者は除外。補正後HR 1.56,95%CI 0.89-2.72)。
右左シャントが認められた患者において,脳卒中再発は22例(6.3%)であった(うち致死性4例,障害を伴う重症脳卒中4例)。
脳卒中の年間リスクは,最初の年は4.1%/年(95%CI 1.9-6.3),翌年以降は1.7%/年(95%CI 0.9-2.4)であった。年齢/右左シャントの有無別では,18~54歳:右左シャントあり0.7%/年(95%CI 0-1.4),なし2.2%/年(95%CI 0.6-3.9),55~64歳:あり2.6%/年(95%CI 0.5-4.7),なし1.8%/年(95%CI 0.5-3.1),65歳以上:あり6.1%/年(95%CI 1.9-10.2)なし4.2%/年(95%CI 2.4-6.0)。
脳卒中再発/試験終了前の最終フォローアップにおいて,右左シャントが認められた患者における治療状況は,経皮的デバイス閉鎖117例(33.3%),抗血小板療法154例(43.9%),抗凝固療法63例(17.9%),治療なし17例(4.8%)であった。経皮的デバイス閉鎖施行の独立予測因子は年齢(1年ごとのOR 0.9,95%CI 0.9-1.0),多量のシャント(OR 4.4,95%CI 2.4-7.8)であった。
脳卒中と二次予防レジメンの間に関連は認められなかった。

●有害事象

文献: Weimar C, et al. Current Management and Risk of Recurrent Stroke in Cerebrovascular Patients with Right-to-Left Cardiac Shunt. Cerebrovasc Dis 2009; 28: 349-56. pubmed
関連トライアル CISRS, CLOSURE I, FORI, Georgiadis D et al, 2009, Koton S et al, Palnum KH et al, PC Trial, PICSS aortic arch plaques, PROTECT AF, RESPECT, 薬物療法中の卵円孔開存患者における脳梗塞再発
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