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SAINT postthrombolysis ICH
結論 脳梗塞患者において,National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア高値,広範囲に及ぶ早期のCT変化,ベースライン時の抗血小板薬使用(特に2剤併用)は血栓溶解療法後の症候性脳内出血(SICH)リスク上昇と関連していた。臨床転帰と関連していたのはNIHSSスコアのみであった。
コメント SAIT IおよびIIの臨床試験におけるプラセボアームの患者データからtPA静注療法の頭蓋内出血に関与する因子を検討した論文である。治療前の抗血小板薬2剤併用が症候性頭蓋内出血のリスクを著しく上昇(OR 9.29)させることを明らかにした点が注目される。一方,これまで指摘されてきた高血糖との関連は認めていない。血糖上昇に関するストレス反応との因果関係,抗血小板薬使用と予後との関連について,更なる検討がまたれる。(岡田靖

目的 血栓溶解療法後のSICHには数多くの因子が関わっているが,試験によりその内容は異なる。本論文では,脳梗塞患者において神経保護薬NXY-059の有効性を検討したSAINT I(N Engl J Med 2006;354:588- 600)およびII(N Engl J Med 2007;357:562-571)のデータを用い,血栓溶解療法後の症候性脳内出血(SICH)に関連する因子を検討。
デザイン SAINT両試験はランダム化。
セッティング SAINT両試験は多施設(520施設),複数国。
期間 SAINT両試験の登録期間は2003年5月~2006年6月。
対象患者 965例。SAINT両試験対象者(急性脳梗塞と診断;NIHSSスコア≧6[うち2点は四肢麻痺];18歳以上;非昏睡;重篤な腎疾患の既往がない)のうち,症状発現後3時間以内にtPA静注を受け,プラセボ群に割り付けられた症例。
【除外基準】―
【患者背景】平均年齢はSICH群72.9±12.3歳,無症候性ICH群71.0±11.8歳,非発生群67.0±13.3歳。各群の男性56%,59%,56%。高血圧70%,74%,71%。糖尿病19%,25%,19%。脳卒中の既往4%,12%,14%。心房細動37%,29%,27%。虚血性心疾患31%,30%,28%。うっ血性心不全15%,10%,9%。抗血小板薬の使用;なし43%,73%,65%,単剤44%,24%,31%,2剤併用13%,3%,4%。症状発現から治療まで141±24分,143±31分,145±34分。NIHSSスコア中央値(範囲)17(12~19),16(12~19),13(9~17)。
治療法
追跡完了率
結果

●評価項目
SICHは54例(5.6%),無症候性ICHは167例(17.3%)に発生した。
多変量解析によると,SICHリスク上昇は以下と関連していた;ベースライン時の抗血小板薬使用(単独使用OR 2.04;1.07-3.87,p=0.03,2剤併用OR 9.29;3.28-26.32,p<0.001),NIHSSスコア高値(1点上昇ごと)(OR 1.09;1.03-1.15,p=0.002),Alberta Stroke Program Early CT Score(ASPECTS)低値(ASPECTS 8~9 OR 2.26;0.63-8.10,p=0.21,ASPECTS≦7 OR 5.63;1.66-19.10,p=0.006)。脳卒中の既往とは逆相関が認められた(OR 0.13;0.03-0.60,p=0.009)。
抗血小板薬の使用と全ICHリスクとの関連は認められなかった(単独使用OR 0.77;0.52-1.14,p=0.19,2剤併用OR 1.56;0.75-3.27,p=0.24)。これは主に無症候性ICHリスクで減少したためと考えられた(単独使用OR 0.59;0.38-0.93,p=0.02,2剤併用OR 0.76;0.28-2.07,p=0.59)。
転帰良好は以下と関連して減少した;高齢(OR 0.96;0.95-0.98,p<0.001),うっ血性心不全の既往(OR 0.47;0.25-0.87,p=0.02),SBP高値(10mmHg上昇ごと)(OR 0.91;0.84-0.99,p=0.03),NIHSSスコア高値(OR 0.82;0.79-0.85,p<0.001)。抗血小板薬の使用とは関連がみられなかった(単独使用OR 0.98;0.68-1.43,p=0.93,2剤併用OR 0.74;0.32-1.73,p=0.49)。

●有害事象

文献: Cucchiara B, et al.; SAINT Investigators. Factors associated with intracerebral hemorrhage after thrombolytic therapy for ischemic stroke: pooled analysis of placebo data from the Stroke-Acute Ischemic NXY Treatment (SAINT) I and SAINT II Trials. Stroke 2009; 40: 3067-72. pubmed
関連トライアル CASES elderly patients, ECASS, ECASS III, ECASS III additional outcomes, GWTG-Stroke time to treatment, Helsinki Stroke Thrombolysis Registry, J-ACT, Kellert L et al, MELT Japan, Mikulik R et al 2009, NINDS rt-PA Stroke Study 1995, PREVAIL subanalysis, RESTORE, SAMURAI, SAMURAI CT versus DWI, Saqqur M et al, Schellinger PD et al, Seet RC et al, SITS-ISTR, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SITS-ISTR blood pressure, SITS-ISTR elderly, SITS-MOST multivariable analysis, Toni D et al, TPA Bridging Study, Tsivgoulis G et al, TTT-AIS, ultrasound-enhanced thrombolysisの安全性および有効性, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法
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