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Home-LITE Long-term Innovations in Treatment
結論 発症時から在宅療法を受ける近位部の深部静脈血栓症(DVT)患者において,静脈血栓塞栓症(VTE)再発,死亡,出血の発生率は長期tinzaparin 療法と通常の治療法(低分子量ヘパリン[LMWH]/warfarin)で同等であった。血栓後症候群および下肢潰瘍はtinzaparin群で抑制された。

目的 本試験はLITEプログラム* の1つで,発症時から在宅療法を受ける近位部DVT患者において,長期のtinzaparin 1日1回投与が通常の治療法(LMWH/warfarin)に比しすぐれているか検討。有効性の一次エンドポイント:12週および1年後の症候性VTE再発。他のエンドポイント:12週および1年後の死亡率,試験期間中の患者自己申告による治療の満足度(Medical Outcome Study Short Form-20[MOS-SF-20]による),血栓後症候群,下肢潰瘍。安全性の一次エンドポイント:試験期間中の出血。他のエンドポイント:血小板減少症,骨折。
* :近位部DVT患者における長期LMWH療法を検討する。本試験のほか, Main-LITE Main-LITE Cancer の3試験から成る。
デザイン PROBE(prospective,randomized,open,blinded-endpoint)。
セッティング 多施設(22施設),カナダ。
期間 スクリーン期間は1997年4月~1998年11月。
対象患者 480例。18歳以上で,静脈造影法または圧迫超音波検査法で確認された,入院を必要としない急性近位部DVTの初発または再発患者(膝窩,大腿,腸骨静脈血栓症)。院外での治療を妨げる疾患のない肺塞栓症(PE)患者は対象に含めた。
【除外基準】出血体質または抗凝固療法に禁忌を示す出血;ヘパリン関連血小板減少症の既往;悪性高血圧または血圧≧250/130mmHg;肝性脳症;透析を必要とする腎不全;14日以内の神経学/眼科手術;血栓溶解療法/血栓切除術/大静脈遮断を必要とするPE;24時間以内の腰椎穿刺;他の疾患により経口抗凝固療法中;ASA投与中止困難;照会時に2日以上ヘパリン,LMWH,経口抗凝固薬投与を受けていたなど。
【患者背景】年齢(<60歳,≧60歳)はtinzaparin群118/122例,通常治療群122/118例。男性/女性は139/101例,138/102例。平均体重は82.4±19.1kg,82.1±19.0kg。登録時の状態:症候性DVT 97.5%,95.8%,PEの症状5.0%,10.0%。病歴:6ヵ月以内の手術34.2%,26.7%,6ヵ月以内の外傷19.6%,16.7%,第V因子Leiden変異16.7%,20%,癌24.6%,23.3%,VTEの既往20.4%,23.3%。
治療法 施設,近位部DVT初発/再発,癌の有無により層別化後,以下の2群にランダム化。
tinzaparin群:240例。tinzaparin 固定用量(175国際抗Xa単位/kg)を1日1回,12週間皮下注。試験薬は診療所にて初回投与後,患者本人,家族,訪問看護師により自宅で投与。
通常治療群:240例。tinzaparin 固定用量(175国際抗Xa単位/kg)を1日1回,最低5日以上皮下注。warfarinは照会後24時間以内に5~10mg/日から投与開始し,INRを毎日測定して安定するまで用量を調整。tinzaparinはINRが2日連続で2.0~3.0を達成後中止。
両群ともASAは禁止。ticlopidine,sulfinpyrazone,dipyridamole,非ステロイド性抗炎症薬は強く中止。
追跡完了率 12ヵ月後の追跡完了は97.5%。
結果

●評価項目
VTE再発発症は,12週後は両群とも8例(3.3%)(絶対差0%,95%CI -3.2-3.2%,p=1),1年後はtinzaparin群25例(10.4%),通常治療群20例(8.3%)(絶対差2.1%;-3.1-7.3%,p=0.43)で,有意差は認められなかった。
死亡,出血の有意差は認められなかった。死亡:12週後3.8% vs 3.8%(p=1),1年後9.2% vs 8.8%(p=0.87),12週後の出血:全出血9.2% vs 9.2%(p=1),大出血0.4% vs 1.2%(p=0.32),小出血8.8% vs 7.9%(p=0.74)。
tinzaparin群では,特に血液モニタリングの煩わしさがないことについて患者の満足度が高かった(p=0.0024)。
tinzaparin群では腫脹,歩行困難などの血栓後症候群の兆候/症候(OR 0.66~0.90,統合OR 0.77;0.67-0.90,p=0.001),下肢潰瘍(0.5% vs 4.1%,p=0.02)が抑制された。
12週後の血小板減少症は,<10万/μL:1.3% vs 0.4%(p=0.32),<15万/μL:5.8% vs 1.3%(p=0.01),12ヵ月後の骨折は0.8% vs 2.1%(p=0.25)。

●有害事象

文献: Hull RD, et al., LITE Trial Investigators Home therapy of venous thrombosis with long-term LMWH versus usual care: patient satisfaction and post-thrombotic syndrome. Am J Med 2009; 122: 762-769. e3. pubmed
関連トライアル Botticelli, DURAC, ELATE post-thrombotic syndrome, FIDO, fondaparinux によるVTE予防療法における大出血および死亡, González-Fajardo JA et al, LMWH長期投与による血栓後症候群予防, Main-LITE, Main-LITE Cancer, PREVAIL subanalysis, PREVENT gender , Wells PS et al
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