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Ryan F et al Randomized controlled trial of supervised patient self-testing of warfarin therapy using an internet-based expert system
結論 長期warfarin療法を受けている患者において,INRの患者自己測定(PST)管理のためのインターネットを使ったシステムは,通常の抗凝固管理サービス(AMS)に比し,経口抗凝固療法の管理を改善した。

目的 長期warfarin療法を必要とする患者において,患者の遠隔管理を可能にする,インターネットを使った患者自己管理システムの有用性を評価。一次転帰変数:各治療期間におけるINR治療域内時間(TTR)の差。二次転帰変数:過度の抗凝固または不足(INR>5.0または<1.5)を示すINR測定値の数,6ヵ月間の重篤な有害事象(出血または血栓塞栓症)。
デザイン PROBE(prospective,randomised,open,blinded endpoints),クロスオーバー。
セッティング 単施設,アイルランド。
期間 登録期間は2006年7月~2007年4月。試験期間は12ヵ月。
対象患者 162例。最低2ヵ月間warfarinの投与を受けており,試験期間中も投与継続予定で,インターネット接続が可能な患者。
【除外基準】自宅でINR測定機器使用不可能,6ヵ月以内に2回以上通院予約に現れず,warfarin以外の抗凝固薬を服用,6ヵ月以内にINR治療域内または治療域未満にて出血性合併症を発症,急な通知による通院が不可能。また,PST治療開始前,薬剤師の管理下で最低2回のINR自己測定を行い,検査室での測定値と大きく異なった場合(INR>0.5)も除外。
【患者背景】平均年齢は58.7±14.3歳。男性61.6%。経口抗凝固療法の適応;心房細動32.6%,人工弁37.1%,深部静脈血栓塞栓症/肺塞栓症22.0%,その他8.3%。標的INR範囲;2.0~3.0:50.8%,2.5~3.5:38.6%,3.0~4.0:10.6%。
治療法 抗凝固の理論,warfarinの作用メカニズムなどを説明する教育プログラムを実施後,対象者をPST群*1またはAMS群*2にランダム化し,6ヵ月後クロスオーバー。
*1:最初は週2回のINR自己測定を行い,2または3回連続でINRが治療域内であった場合は,測定間隔を最高2週間とした。患者はインターネット上の指示に従い,関連データ(出血または血栓症の兆候など)およびINR値をサイトに入力。問題がなければ用量や検査機器に関する即時のフィードバックが与えられたが,INRが治療域から大きく外れていた場合は,用量調整の指示(INR<1.5ではwarfarinボーラス投与,>5.0では投与中止)かつ/または追加の指示を受けるため同日再ログインするように求められた。INR測定値の報告,予定通りのログインがなかった患者には電話でコンタクトを行った。通院は2ヵ月に1度とした。
*2:患者は4~6週間隔でAMSに通院し,薬剤師または医師によりwarfarin用量の調整を受けた。
追跡完了率 試験完了は81.5%。
【脱落理由】warfarin投与中止8例,PSTはストレスが多い5例,インターネットの接続が困難4例など。
結果

●評価項目
PST期間におけるTTRは74%(四分位範囲64.6~81%)で,AMS期間の58.6%(同45.6~73.1%)に比し高かった(z=5.67,p<0.001)。
PST→AMSの順番で割り付けられた症例と,AMS→PSTの順番で割り付けられた症例において,順序効果は認められなかった(p=0.412)。
過度の抗凝固または不足(INR>5.0または<1.5)は1.7% vs 6%と,PST期間の方が少なかった(p<0.001)。
PST期間におけるイベント発症は2例(いずれも深部静脈血栓塞栓症),AMS期間においては2例(消化管出血,一過性脳虚血発作)であった。

●有害事象

文献: Ryan F, et al. Randomized controlled trial of supervised patient self-testing of warfarin therapy using an internet-based expert system. J Thromb Haemost 2009; 7: 1284-90. pubmed
関連トライアル ACTION, Couma-Gen, de Assis MC et al, Fitzmaurice DA et al, IN-RANGE, Staresinic AG et al
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