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Torn M et al Optimal level of oral anticoagulant therapy for the prevention of arterial thrombosis in patients with mechanical heart valve prostheses, atrial fibrillation, or myocardial infarction: a prospective study of 4202 patients
結論 今後の臨床試験における標的INR値のスターティングポイントは,機械弁および心房細動(AF)患者では3.0,心筋梗塞(MI)既往患者では3.5と示唆された。
コメント 心房細動患者における至適PT-INRが3.0~3.4であるという結果については慎重に評価する必要がある。まず,非弁膜症性に限定していないこと,CHADS2スコア分布が明確でないことから,血栓塞栓のリスクがどの程度の症例が対象であったかが明らかでない。また,症例エントリーが10年以上前であり,現在のガイドラインで推奨されているINRとは異なる範囲をターゲットにしていることも結果に影響を与えた可能性がある。さらに,オランダの単施設でのデータであり,ethnic differenceや施設間較差なども考慮する必要があろう。(是恒之宏

目的 抗凝固療法を受けている機械弁,AF,MI既往の患者において,最適な抗凝固強度(出血および血栓塞栓事象発生率が最も低い)を特定。
デザイン コホート研究。
セッティング 単施設,オランダ。
期間 治療期間は1994~1998年,追跡期間は3年。
対象患者 4202例。1994~1998年にライデン抗凝固クリニックにてビタミンK拮抗薬投与を受けた機械弁(483例,1149患者・年),AF(2111例,3476患者・年),MI既往(1608例,3163患者・年)外来患者全例。
【除外基準】―
【患者背景】年齢は<60歳:機械弁群34%,AF群13%,MI既往群26%,60~70歳34%,24%,33%,>70歳32%,63%,41%。各群の男性55%,57%,78%。
治療法 試験開始時の標的INRは機械弁患者3.6~4.8,MI既往およびAF患者3.0~4.5であったが,1996年に機械弁およびMI既往患者3.0~4.0,AF患者2.5~3.5に変更された。
追跡完了率
結果

●評価項目
対象者のうち2820例(67%)は試験開始時にすでにビタミンK拮抗薬投与を受けていた。追跡期間のうちINRが標的範囲内に留まっていたのは63%,標的範囲未満は19%,標的範囲超過は18%であった。
出血事象および血栓塞栓症の発生は,機械弁群47例(4.3%/100患者・年,95%CI 3.1-5.6),AF群146例(4.3%/100患者・年,95%CI 3.7-5.1),MI既往群113例(3.6%/100患者・年,95%CI 3.0-4.4)であった。
出血事象の発生は機械弁群38例(3.4%/100患者・年,95%CI 2.4-4.6),AF群97例(2.9%/100患者・年,95%CI 2.3-3.5),MI既往群53例(1.7%/100患者・年,95%CI 1.3-2.2)であった。致死的または生命にかかわる出血は,機械弁群:致死的出血4例(すべて頭蓋内),生命にかかわる出血9例(頭蓋内2例,頭蓋外7例),AF群:致死的出血14例(頭蓋内11例,頭蓋外3例),生命にかかわる出血17例,MI既往群:致死的出血5例(頭蓋内4例,頭蓋外1例),生命にかかわる出血11例(頭蓋内3例,頭蓋外8例)。
血栓塞栓症の発症は機械弁群9例(0.8%/100患者・年,95%CI 0.4-1.4),AF群49例(1.4%/100患者・年,95%CI 1.0-1.9),MI既往群60例(1.9%/100患者・年,95%CI 1.5-2.4)であった。内訳は,機械弁群:致死的MI 2例,脳梗塞4例,MI 2例,末梢血栓塞栓症1例,AF群:致死的MI 9例,脳梗塞15例,MI 24例,末梢血栓塞栓症1例,MI既往群:致死的MI 13例,脳梗塞4例,MI 42例,末梢血栓塞栓症1例。

最適な抗凝固強度(イベント発生率が最も低い)は,機械弁群INR 2.5~2.9(全イベント発生率2.0%/100患者・年,95%CI 0.2-5.7;生命にかかわる,または致死的イベント発症率1.0%/100患者・年,95%CI 0.1-4.4),AF群INR 3.0~3.4(2.4%/100患者・年,95%CI 1.5-3.5;1.0%/100患者・年,95%CI 0.5-1.8),MI既往群 INR 3.5~3.9(1.1%/100患者・年,95%CI 0.5-1.9;0.6%/100患者・年,95%CI 0.2-1.2)であった。

●有害事象

文献: Torn M, et al. Optimal level of oral anticoagulant therapy for the prevention of arterial thrombosis in patients with mechanical heart valve prostheses, atrial fibrillation, or myocardial infarction: a prospective study of 4202 patients. Arch Intern Med 2009; 169: 1203-9. pubmed
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