抗血栓トライアルデータベース
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KAMIR Korea Acute Myocardial Infarction Registry
結論 薬剤溶出性ステント(DES)によるprimary冠動脈インターベンション(PPCI)を受けるST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者において,抗血小板薬3剤併用は2剤併用に比し優れていると考えられる。
コメント 欧米ではシロスタゾールは末梢血管疾患の下肢症状を改善する薬物とされている。日本では脳梗塞予防効果から抗血小板薬と理解されていた。本研究は冠動脈ステント後の心血管イベントに対してシロスタゾールが予防効果を有することを示した価値ある研究である。(後藤信哉

目的 DESによるPPCIを受けるSTEMI患者において,aspirin+clopidogrel併用にさらにcilostazolを追加することの安全性および有効性を検討。
デザイン 前向き登録研究。
セッティング 多施設(41施設),韓国。
期間 登録期間は2005年11月~2007年12月。
対象患者 4203例。症状発現から24時間以内にDESによるPPCIを受けたSTEMI患者(新規または新規と推定される1mm以上のST上昇[部位は問わない],または1つ以上の心筋壊死マーカー[CK-MB,トロポニンI,Tを含む]陽性を伴い,インデックスまたはその後のECGにて左脚ブロックが認められる)。
【除外基準】非STEMI;ベアメタルステントまたはバルーン血管形成術のみのPPCI,選択的PCIまたはPCI以外の保存療法を施行したSTEMI;Killip分類IV;既知の出血性疾患;血小板減少症(<10万/μL);経口抗凝固薬投与;STEMIのための血栓溶解薬または線溶薬投与;グラフト血管に関連する梗塞;重篤な肝/腎機能障害(血清クレアチニン>2mg/dL)など。
【患者背景】平均年齢は2剤併用群62.01±12.91歳,3剤併用群61.97±12.41歳。各群の男性74.6%,74.9%。高血圧45.3%,43.8%,糖尿病24.5%,23.9%。標的血管;LAD 54.0%,53.0%,RCA 35.1%,35.3%,LCx 9.4%,10.3%,LMT 0.8%,1.4%。病変数(p=0.005);1枝47.1%,49.4%,2枝30.8%,28.8%,3枝21.0%,19.4%,LMT 1.2%,2.4%。ステントのタイプ(p<0.001);sirolimus 52.0%,39.0%,paclitaxel 26.2%,46.8%,zotarilimus 8.0%,5.6%。
治療法 患者を抗血小板薬2剤併用群(2569例。aspirin+clopidogrel),3剤併用群(1634例。aspirin+clopidogrel+cilostazol)に分割(非ランダム化)。
患者がPCI施行を同意後,すぐにaspirin(負荷用量200mg,1日1回,維持用量100mg,1日1回),およびclopidogrel(負荷用量300~600mg,1日1回,維持用量75mg,1日1回)投与。cilostazolはPCI手技終了直後に負荷用量200mg,1日2回,維持用量100mg,1日2回投与。
aspirinおよびclopidogrelは全例に6ヵ月以上投与。3剤併用群では,cilostazolは当該手技から最低1ヵ月投与し,中止後はaspirinおよびclopidogrelのみ投与。
診断的血管造影およびPCIは未分画heparin(UFH)50~70U/kg投与後施行。手技中はACTが>350秒となるようUFHを投与。GP IIb/IIIa受容体拮抗薬の投与は術者の裁量とした。
入院中はβ遮断薬,ACE阻害薬,AII受容体拮抗薬,Ca拮抗薬,スタチンを含む薬物療法を実施。退院後は静注薬や一時的使用の薬剤を除き,入院中と同じ薬物療法を継続した。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
院内において,3剤併用群では2剤併用群に比し,大出血発生率は3例(0.2%)vs 10例(0.4%)(p=0.242)と有意差は認められなかったが,心臓死は21例(1.3%)vs 61例(2.4%)(p=0.013)と抑制された。
8ヵ月後においては,主要心臓有害事象(MACE)は124例(7.6%)vs 240例(9.3%)(p=0.049),心臓死は33例(2.0%)vs 83例(3.2%)(p=0.019),全死亡は51例(3.1%)vs 125例(4.9%)(p=0.006)と3剤併用群で抑制されたが,MI再発は7例(0.4%)vs 9例(0.4%)と有意差は認められなかった(p=0.689)。
多変量解析によると,3剤併用群では心臓死(補正後OR 0.52,95%CI 0.32-0.84,p=0.007),全死亡(補正後OR 0.60,95%CI 0.41-0.89,p=0.010),MACE(補正後OR 0.74,95%CI 0.58-0.95,p=0.019)が抑制された。
サブグループ解析によると,年齢65歳超,女性,糖尿病で3剤併用のベネフィットが得られた。

●有害事象

文献: Chen KY, et al.; Korea Acute Myocardial Infarction Registry Investigators. Triple versus dual antiplatelet therapy in patients with acute ST-segment elevation myocardial infarction undergoing primary percutaneous coronary intervention. Circulation 2009; 119: 3207-14. pubmed
関連トライアル 3T/2R, ADAPT-DES, APEX-AMI atrial fibrillation, CLARITY-TIMI 28, CREDO, DECLARE-DIABETES, DECLARE-LONG II, DES LATE, DES留置後のDAPT延長投与, EXCELLENT, KAMIR no-reflow phenomenon, KAMIR triple vs. dual antiplatelet therapy, Lamberts M et al, Lamberts M et al, MINAP-GPRD, Mishkel GJ et al, MULTISTRATEGY, PRODIGY, PRODIGY in-stent restenosis, REAL-LATE / ZEST-LATE, Sarafoff N et al, Sørensen R et al, TOSS-2, TRILOGY ACS secondary analysis , TRITON-TIMI 38 PCI, Yoon Y et al
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