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APPRAISE Apixaban for Prevention of Acute Ischemic and Safety Events
結論 急性冠症候群(ACS)後の患者において,抗血小板療法にapixabanを追加すると,出血発生率の用量依存的上昇および虚血事象の減少傾向がみられた。apixabanの安全性および有効性は,投与中の抗血小板療法により異なると考えられる。
コメント 当初出血を惹起しないと期待された抗Xa薬が用量依存性に出血性合併症を増加させることを示した画期的な研究である。将来,抗Xa薬の臨床応用にあたっては,抗血栓効果と出血性合併症のバランスに基づいた適応決定が必要であることを示した。(後藤信哉

目的 ACS後の患者において,apixabanの投与量を検討。一次エンドポイント:ISTH大出血,臨床的に関連する非大出血。二次エンドポイント:心血管死,心筋梗塞(MI),重度の虚血の再発,脳梗塞の複合。
デザイン phase II,ランダム化,二重盲検,プラセボ対照,投与量設定試験。intention-to-treat解析。
セッティング 多施設(151施設),14ヵ国(ヨーロッパ,中東,北米)。
期間 ランダム化期間は2006年5月31日~2007年10月26日。追跡終了は2008年5月30日。
対象患者 1715例。年齢18-90歳;7日以内のST上昇型/非ST上昇型ACS患者;臨床的に安定しておりevidence-based-careを受けている;虚血事象の付加的なリスク因子(年齢≧65歳,心マーカー上昇またはST低下,糖尿病,12ヵ月以内のMIの既往,脳血管疾患,末梢血管疾患,うっ血性心不全またはLVEF<40%,非移植多枝冠動脈疾患,軽度~中等度の腎機能不全)を複数保有。ACSの診断は10分以上持続する心筋虚血の症状,かつ心マーカーの上昇または≧1mmのST逸脱のいずれかとした。
【除外基準】カテーテル,PCI,心バイパス術,他の侵襲的手技の予定;重度の持続性高血圧;重度の腎機能不全;活動性出血または出血高リスク;凝血障害;急性心膜炎または心外膜液貯留;3ヵ月以内の脳卒中;NYHA心機能分類IVの心不全;血小板減少症;貧血;継続中の抗凝固療法の適応;長期の非ステロイド性抗炎症薬または高用量aspirin投与;強力なCYP3A4阻害を伴う継続中の治療など。
【患者背景】年齢中央値(IQR)はプラセボ群60(52~69)歳,2.5mgBID群62(53~69)歳,10mgQD群61(52~69)歳,10mgBID群60(52~68)歳,20mgQD群61(52~69)歳。女性25.7%,23.7%,27.0%,18.1%,22.6%。試験参加となった疾患;STEMI:61.2%,62.1%,67.0%,60.5%,63.3%,非STEMI:31.8%,28.1%,26.4%,29.4%,29.0%,不安定狭心症:7.0%,9.8%,6.6%,10.1%,7.7%。当該イベント時の治療;aspirin 99.7%,98.7%,99.0%,99.2%,99.5%,clopidogrel 75.6%,73.0%,76.5%,77.9%,77.5%。試験期間のaspirin併用率:100%,99.7%,99.7%,100%。100%。
治療法 apixaban+抗血小板薬2剤併用の普及度が不明であったため,2段階で行われた。
[phase A]2.5mgBID群(apixaban 2.5mg,1日2回),10mgQD群(同10mg,1日1回),プラセボ群に1:1:1でランダム化。450例が最低30日間の試験薬投与を受けた後,独立データモニタリング委員会が高用量投与群の追加を勧告したため,プロトコールを変更。
[phase B]2.5mgBID群(317例。apixaban 2.5mg,1日2回),10mgQD群(318例。同10mg,1日1回),10mgBID群(248例。同10mg,1日2回),20mgQD群(221例。同20mg,1日1回),プラセボ群(611例)に1:1:2:2:3でランダム化。

全例にaspirin≦165mg/日を投与。clopidogrelおよびその他の治療は担当医の裁量とした。
追跡完了率 追跡不能はプラセボ群1.5%,2.5mgBID群1.9%,10mgQD群1.6%,10mgBID群0.8%,20mgQD群1.4%。
結果

●評価項目
高用量apixaban群にて出血発生率が高かったため,データモニタリング委員会は1498例割り付け後のデータにもとづき高用量apixaban投与の2群の中止を勧告した。有効性の解析はphase A,Bを結合し,プラセボ群(599例),2.5mgBID群(315例),10mgQD群(315例)にて比較を行った。
大出血または臨床的に関連する非大出血のHRは,2.5mgBID群1.78,95%CI 0.91-3.48(p=0.09),10mgQD群2.45,95%CI 1.31-4.6(p=0.005)。
虚血事象のHRは,2.5mgBID群0.73,95%CI 0.44-1.19(p=0.21),10mgQD群0.61,95%CI 0.35-1.04(p=0.07)。
aspirin+clopidogrel併用投与患者では,aspirin単独投与患者に比し,出血事象発生率の上昇がより顕著であった一方,虚血事象発生率の減少がより不明確であった。

●有害事象

文献: Alexander JH, et al.; APPRAISE Steering Committee and Investigators. Apixaban, an oral, direct, selective factor Xa inhibitor, in combination with antiplatelet therapy after acute coronary syndrome: results of the Apixaban for Prevention of Acute Ischemic and Safety Events (APPRAISE) trial. Circulation 2009; 119: 2877-85. pubmed
関連トライアル AAASPS 2003, ACS後の患者における新規経口抗凝固薬の追加効果, ACTIVE A, ACTIVE W, ADOPT, ADVANCE, ADVANCE-2, AMPLIFY, AMPLIFY-EXT, APPRAISE-2, APROPOS, ARISTOTLE, ARISTOTLE risk score, ARISTOTLE-J, ASPIRE, ATLAS ACS 2-TIMI 51, ATLAS ACS 2-TIMI 51 STEMI patients, ATLAS ACS-TIMI 46 , AVERROES, AVERROES bleeding, AVERROES previous stroke/TIA, Botticelli, CAPRIE 1996, CAPRIE 2000, CHAMPION PLATFORM, Chan FK et al, CHANCE, CHARISMA, CHARISMA bleeding complications, CHARISMA subgroup analysis, CLASSICS, COGENT, COMMIT, COMPASS, CREDO, CURE, EARLY, ECLAP, ExTRACT-TIMI 25 clopidogrel, ONSET/OFFSET dyspnea, PCI-CLARITY, PCI-CURE, PLATO, PLATO history of stroke, PLATO invasive strategy, PLATO renal function, PLATO total events, PLATO undergoing CABG, PRoFESS, RUBY-1, SEPIA-ACS1 TIMI 42, SPS3, SPS3 post hoc analysis, TAO, Tompkins C et al, TRA 2P-TIMI 50, TRACER, TRILOGY ACS, TRITON-TIMI 38, TRITON-TIMI 38 early and late benefits, TRITON-TIMI 38 PCI, Turpie AG et al 1993, WARSS, WAVE, WOEST, 急性脳梗塞/TIA患者への抗血小板療法:2剤併用療法と単剤療法の比較, 抗血小板療法中のACS後の患者に対する新規抗凝固薬の使用
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