抗血栓トライアルデータベース
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PICSS aortic arch plaques
結論 脳梗塞,特に原因不明の脳梗塞患者において,warfarinまたはaspirin治療にもかかわらず,4mm以上の大動脈弓プラークは脳梗塞再発または死亡のリスクと関連していた。複雑性プラークでは更なるリスク上昇がわずかに認められた。

目的 大型の大動脈弓プラークは脳梗塞リスク上昇と関連しているが,ランダム化比較試験における抗血栓療法の有効性は示されていない。本論文ではPICSS試験(Circulation 2002;105:2625-31)のデータを用い,warfarinまたはaspirin投与を受けた,大動脈弓プラークが認められる脳梗塞患者において,脳梗塞再発および死亡のリスクを検討。一次エンドポイント:脳梗塞再発または全死亡。
デザイン PICSS試験は WARSS試験(脳梗塞患者をwarfarin群またはaspirin群にランダム化,二重盲検)のサブスタディ。
セッティング WARSS試験は多施設(48施設)。
期間 WARSS試験の登録開始は1993年6月,追跡完了は2000年6月,追跡期間は2年。
対象患者 516例。WARSS試験対象者(年齢30~85歳;warfarin療法を安全に施行可能;グラスゴースケール≧3;発症から30日以内の脳梗塞患者2206例)のうち,臨床目的のために経食道心エコー検査(TEE)が施行され,適切な大動脈弓画像が得られた患者。
【除外基準】WARSS試験の除外基準は,ベースライン時のINR>1.4,手技によるまたは心原性と考えられる脳梗塞,高度の頸動脈狭窄症のための手術を予定など。
【患者背景】平均年齢はプラークなし群51.7±12歳,小型プラーク群62.7±10歳,大型プラーク群66.1±9歳(p<0.0001)。女性43.6%,42.0%,47.5%。原因不明の脳梗塞47.5%,39.0%,36.6%。グラスゴースケール<5 27.4%,35.6%,42.6%(p=0.03)。Barthel Index<95 18.4%,30.5%,35.6%(p=0.003)。高血圧59.1%,60.5%,79.0%(p=0.002),糖尿病21.8%,28.9%,46.5%(p<0.0001),脳卒中の既往9.3%,18.0%,18.1%(p=0.04)。
治療法 WARSS試験は,aspirin群(325mg,1日1回投与)またはwarfarin群(INR が1.4-2.8となるよう2mg分割錠を投与)にランダム化。
追跡完了率 同意撤回または追跡不能は10例(1.9%)。
結果

●評価項目
大動脈弓プラークは337例(65.3%)に認められ,うち大型プラーク(4mm以上)は101例(19.6%),大型かつ複雑性プラーク(潰瘍形成または可動性のある部分を伴う)は46例(8.9%)であった。
脳梗塞再発または死亡について,大型プラークは調整後HR 2.12,95%CI 1.04-4.32と,リスク上昇と関連がみられた。大型かつ複雑性プラークではHR 2.55,95%CI 1.10-5.89。同リスクは原因不明の脳梗塞患者において特に高かった;大型プラークHR 6.42,95%CI 1.62-25.46,大型かつ複雑性プラークHR 9.50,95%CI 1.92-47.10。
治療群別(warfarinまたはaspirin)の検討では,脳梗塞再発または死亡は43例(16.4%)vs 41例(15.8%)と有意差は認められなかった(p=0.43)。この結果はWARSS試験全例におけるそれと同様であった(17.8% vs 16.0%)。warfarin群においてINRの数値別の検討を行ったところ,INR≧1.5は脳梗塞再発および死亡について保護的効果が認められた;全例:調整後HR 0.37,95%CI 0.18-0.77,原因不明の脳梗塞患者:調整後HR 0.14,95%CI 0.03-0.60。

●有害事象
大出血はwarfarin群0.88/100例・年,aspirin群2.16/100例・年と有意差は認められなかった(p=0.13)。小出血はwarfarin群の方が多かった;26.76/100例・年 vs 10.0/100例・年(p<0.001)。

文献: Di Tullio MR, et al.; Patent Foramen Ovale in Cryptogenic Stroke Study Investigators. Aortic arch plaques and risk of recurrent stroke and death. Circulation 2009; 119: 2376-82. pubmed
関連トライアル AAASPS 2003, CAST-IST, CHARISMA subgroup analysis, FORI, German Stroke Study Collaboration, Hylek EM et al, Lee WH et al, OASIS Pilot Study 1998, PRoFESS acute ischemic stroke, RESPECT, SPAF III 1996, SPAF III 1998, WARSS, WASID, WASID antithrombotic failures, WATCH
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