抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
メタ解析
脳梗塞発症後3~4.5時間の時間枠におけるrt-PA静注の有効性および安全性
Efficacy and Safety of Tissue Plasminogen Activator 3- to 4.5-Hours After Acute Ischemic Stroke
結論 脳梗塞発症後3~4.5時間の時間枠におけるtPA療法は有効であり,死亡率を悪化させることなく転帰良好率を上昇させる。
コメント ECASS-3で示された発症後3~4.5時間の時間枠に治療を開始したrt-PA静注療法の有効性および安全性について,過去のランダム化試験の集積データを加えてメタ解析で検証した報告である。ECASS-3の登録患者が比較的軽症(NIHSSスコア中央値10点)であったのに対し,先行した3試験(同中央値12~15点)を加えても有効性がより明らかになった点で意義深い。tPA静注の死亡率への影響も有意でないことが明らかとなり,今後の各国のガイドラインの見直しに影響を与えうる分析である。(岡田靖

目的 ECASS-3試験において,脳梗塞発症から3時間以上経過した患者におけるtPA療法の有効性が初めて示された。しかし,同試験での有効性がマージナルであったこと,また発症後3~4.5時間の時間枠の有効性についてのランダム化比較試験での確認が不足していることから,この時間枠におけるtPA療法の有効性については疑いが残っている。本論文では,すべての主要関連試験を統合してメタ解析を行い,tPAの有効性についてのより堅固な評価を行う。
方法 PubMedにて,著者の知識にもとづき,tPA静注の転帰を報告しているランダム化比較試験(症例数>100例)から脳梗塞発症後3~4.5時間の時間枠の患者を選定。
対象 4試験から合計1622例が対象患者に該当。
(表記は順に,症例数,対象患者の平均年齢,NIHSSスコア平均値,同中央値,糖尿病,治療までの時間中央値)
ECASS-1:234例,64.7±11.9歳,15.2±5.7,15,15.8%,3時間50分。
ECASS-2:265例,65.5±11.0歳,13.5±5.7,13,17.7%,3時間55分。
ECASS-3:821例,65.2±11.6歳,11.2±5.8,10,15.7%,3時間58分。
ATLANTIS :302例,65.4±11.6歳,13.0±6.2,12,21.2%,4時間1分。
主な結果 ・転帰良好率*
tPA療法は転帰良好と相関していた(OR 1.31,95%CI 1.10-1.56,p=0.002)。
modified Rankin Score[mRS] 0-1のORは1.31,95%CI 1.07-1.59,p=0.01。
*:3つの評価法(90日後のmRS 0-1,NIHSS 0-1,Barthel Index≧95)を勘案。
・死亡率
 tPA療法は死亡率を上昇させなかった(OR 1.04,95%CI 0.75-1.43,p=0.83)。
・tPA 0.9mg/kg静注を行った3試験における解析
 ECASS-1試験ではtPA 1.1mg/kg静注が行われたため,0.9mg/kg静注を行ったそれ以外の3試験でのサブ解析も行ったが,結果は4試験におけるそれと同様であった。
 転帰良好:OR 1.27,p=0.01,mRS 0-1:OR 1.28,p=0.03,死亡率:0.87,95%CI 0.60-1.26,p=0.46。
文献: Lansberg MG, et al. Efficacy and safety of tissue plasminogen activator 3 to 4.5 hours after acute ischemic stroke: a metaanalysis. Stroke 2009; 40: 2438-41. pubmed
関連トライアル J-ACT, Kruetzelmann A et al, SAINT postthrombolysis ICH, Schellinger PD et al, SITS-ISTR antiplatelet therapy, Tsivgoulis G et al, 虚血性脳卒中患者に対するIV/IA併用療法, 発症からalteplase静注までの時間と転帰
関連記事