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Allou N et al Incidence and risk factors of early thromboembolic events after mechanical heart valve replacement in patients treated with intravenous unfractionated heparin
結論 僧帽弁置換術(機械弁)施行後の患者において,未分画heparin(UFH)使用にもかかわらず,置換術後の早期血栓塞栓事象出現率は上昇した。本解析では,置換術施行3日後の不適切な抗凝固と早期血栓塞栓事象出現率との間に相関がみられ,早期の有効な抗凝固の必要性が示唆された。

目的 標準的プロトコールにしたがってUFH静注を受けた機械弁置換術施行後の患者において,早期血栓塞栓事象出現率およびリスク因子を検討。一次エンドポイント:置換術施行後第1~30日の動脈血栓塞栓事象出現率。
デザイン 前向き観察研究。
セッティング 単施設,フランス。
期間 実施期間は2005年12月~2007年5月。
対象患者 300例。機械弁置換術施行患者(St-JudeおよびOn-X二葉型)。
【除外基準】―
【患者背景】年齢中央値(四分位範囲)は大動脈弁群59(47-65)歳,僧帽弁単独群57(45-65)歳,僧帽弁-大動脈弁群55(47-63)歳,女性31%,68%,71%。高血圧50%,26%,32%。糖尿病27%,12%,15%。塞栓症の既往5%,11%,2%。発作性心房細動(AF)13%,20%,24%。永続性AF 7%,34%,49%。
治療法 抗凝固薬が投与されていた場合は機械弁置換術施行5日前に中断。INRが2.5を下回る場合,代替療法はUFH静注とした。
術後は,手術の6時間後にUFH静注を開始(開始用量100IU/kg/日)。第1日は倍量とし,第2日のAPTT比(患者/コントロール)が2~3,かつ/または抗Xa活性が0.3~0.6IU/mLとなるよう漸増した。APTT比が3を超える場合は抗Xa活性が0.3~0.6IU/mLとなるよう調整した。ビタミンK拮抗薬は通常術後第3日より開始し,UFH静注はINRが連続2日間治療域内に留まった場合に中止した。低用量aspirinは,術前に投与されていた場合,第1日または第2日に再開した。
追跡完了率 解析からの除外は6例(早期死亡など)。
結果

●評価項目
機械弁置換部位は大動脈弁151例,僧帽弁単独108例,僧帽弁-大動脈弁41例であった。
早期の血栓塞栓事象を呈したのは,大動脈弁群2例(1.3%,95%CI 0-3;脳梗塞1例,無症候性1例),僧帽弁群22例(14.8%,95%CI 9-20)であった。僧帽弁群の内訳は,僧帽弁単独群15例(13.9%,95%CI 7-20;脳梗塞3例,一過性脳卒中2例,肺水腫1例,無症候性9例),僧帽弁-大動脈弁群7例(17.1%,95%CI 10-24;脳梗塞1例,網膜中心動脈閉塞1例,無症候性5例)(p=0.005)。
僧帽弁群における血栓塞栓事象出現率が大動脈弁群に比し顕著に高かったことから,リスク因子の解析は僧帽弁群149例についてのみ行った。多変量解析によると,僧帽弁群における早期の血栓塞栓事象の独立予測因子は糖尿病(補正後OR 3.3,95%CI 1.0-10.9,p=0.049),誘発因子(ヘパリン誘発性血小板減少症,ペースメーカー植込みを必要とする徐脈)(補正後OR 12.8,95%CI 3.1-53.3,p=0.0005)であり,手術施行3日後の有効な抗凝固は保護因子であった(補正後OR 0.28,95%CI 0.1-0.8,p=0.018)。

●有害事象
大出血は4例,遅発性心膜液貯留(第4-20日)による置換術再施行は16例であった。
胸腔ドレナージおよび出血性合併症の合計について,大動脈弁群,僧帽弁群の群間差はみられなかった。

文献: Allou N, et al. Incidence and risk factors of early thromboembolic events after mechanical heart valve replacement in patients treated with intravenous unfractionated heparin. Heart 2009; 95: 1694-700. pubmed
関連トライアル Meurin P et al, Torn M et al
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