抗血栓トライアルデータベース
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MUSICA
結論 ステント植込みを受けた経口抗凝固療法(OAT)中の患者において,最も一般的な治療レジメンは抗血小板薬2剤併用であった。血栓塞栓症低リスク患者において,抗血小板薬2剤併用は出血リスクが最も低く,有効性は3剤併用(抗凝固薬+抗血小板薬2剤併用)と同等であった。したがって,3剤併用は中等度~高リスク患者に制限すべきと考えられる。
コメント 本研究は,経口抗凝固療法中の患者がステント植込み後いかなる抗血栓療法を行うべきかを観察研究により検討したものである。残念ながら症例数が405例と少なく,しかも治療はnon-randomizedであることから,治療の選択にはバイアスがある。結論として,3剤併用は中~高リスク患者に制限すべきとなっているが,この結論が信頼できるものとなるためには,より大規模な前向き研究が必要と考えられる。(是恒之宏

目的 ステント植込みを受ける患者の約10%がOAT中であるが,最適な治療法は不明確である。本論文では,(1)ステント植込みを受けたOAT中の患者における退院時の治療法を同定し,(2)血栓塞栓症リスクの程度により,種々の治療法に関連する安全性および有効性を評価。
デザイン 前向き登録研究。
セッティング 多施設(10施設),2ヵ国(スペイン,英国)。
期間 ステント植込み期間は2003年11月~2006年6月,追跡期間は6ヵ月。
対象患者 405例。18歳以上;2003年11月~2006年6月にステント植込みを受けたOAT中の患者。
【除外基準】余命3ヵ月未満,追跡不能。
【患者背景】平均年齢はTT群*170±9歳,AC+AT群*272±9歳,DAT群*372±8歳。各群の男性82%,78%,80%。血栓塞栓症リスク;低リスク(p=0.003):33.8%,41.3%,54.3%,中等度リスク:34.9%,21.7%,30.9%,高リスク:31.3%,37.0%,14.8%。抗凝固療法の適応;心房細動(p=0.0001):64.7%,58.7%,82.7%,機械弁:17%,27.7%,0%,脳卒中の既往:1.4%,2.1%,6%,その他:15.5%,10.7%,14.4%。
*1:抗凝固薬+抗血小板薬2剤併用(warfarin+抗血小板薬2剤併用248例,低分子量heparin[LMWH]+抗血小板薬2剤併用30例)。
*2:抗凝固薬+抗血小板薬1剤併用(warfarin+clopidogrel 37例,warfarin+aspirin 6例,LMWH+clopidogrel 2例,LMWH+aspirin 1例)。
*3:抗血小板薬2剤併用(aspirin+clopidogrel)。
治療法 退院時の治療法によりTT群(278例[68.6%]),AC+AT群(46例[11.4%]),DAT群(81例[20%])を同定し,比較。治療法の選択は担当医の裁量によった。
血栓塞栓症リスクは以下の通り。低リスク:CHADS2スコア<2の心房細動,深部静脈血栓症または心室機能障害を伴う拡張型心筋症の既往。中等度リスク:肺血栓塞栓症または左室血栓の既往,CHADS2スコア2~3の心房細動または心房細動を伴わない僧帽弁疾患。高リスク:CHADS2スコア>3の心房細動,機械的人工心臓弁または脳卒中の既往。
追跡完了率 追跡不能はAC+AT群1例。
結果

●評価項目
6ヵ月後の出血事象発生率は,TT群15.5%,AC+AT群13%,DAT群3.7%とTT群が最も高かった(p=0.020)。大出血は4.3% vs 6.5% vs 1.3%と,有意差は認められなかった(p=0.290)。
心血管事象発生率は7.9% vs 15.2% vs 1.2%とAC+AT群が最も高かった(p=0.013)。
血栓塞栓症低リスク患者における解析では,DAT群では出血事象,心血管事象とも発生しなかった;出血事象発生率:14.8% vs 11.8% vs 0%(p=0.033),大出血発生率:3.4% vs 11.8% vs 0%(p=0.078),心血管事象発生率:6.7% vs 0% vs 0%(p=0.126)。
中等度~高リスク患者においては,出血事象は有意差が認められなかったが,心血管事象発生率はAC+AT群が最も高かった;出血事象発生率:15.9% vs 13.8% vs 7.7%(p=0.414),大出血発生率:4.8% vs 3.4% vs 5.1%(p=0.804),心血管事象発生率:8.5% vs 24.1% vs 2.6%(p=0.007)。

●有害事象

文献: Sambola A, et al. Therapeutic strategies after coronary stenting in chronically anticoagulated patients: the MUSICA study. Heart 2009; 95: 1483-8. pubmed
関連トライアル ACUITY gastrointestinal bleeding, BAT, CHARISMA body mass index, CIAO, Denas G et al, Garcia DA et al, GRACE warfarin and antiplatelet therapy, HAT 1, ISAR-REACT 3 bleeding and MI, Olson KL et al, PROTECT AF
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