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IPSS use of alteplase
結論 小児脳梗塞患者においてalteplase投与はまれであり,症状発現から治療までの時間は成人用ガイドラインの規定としばしば異なる。本解析ではalteplase関連死および症候性脳内出血は報告されなかったが,神経学的転帰不良が多くみられた。小児脳梗塞患者におけるalteplaseの用量および安全性,有効性を評価する臨床試験が求められる。

目的 小児脳梗塞患者のコホート研究である IPSS試験(Stroke 2009; 40: 52-7)の患者データを用い,alteplase静注/動注を受けた全例における現状の医療および結果を検討。
デザイン 前向きコホート研究。
セッティング IPSS試験は多施設(30施設),10ヵ国(オセアニア,アジア,北米,南米,ヨーロッパ)。
期間 本解析対象者の登録は2003-2007年。
対象患者 687例。乳児~小児の動脈性脳梗塞(動脈領域と一致し20分以上持続する急性局所神経障害,神経学的兆候と一致する動脈領域における急性梗塞であるとCTまたはMRIで確認)。
【除外基準】―
【患者背景】alteplaseの投与を受けた15例の年齢中央値は8.9(0.2-15.0)歳,男児6例/女児9例。梗塞部位;前方(頸動脈)循環14例,脳底動脈血栓症1例。
治療法 治療は成人に対する脳梗塞治療ガイドラインに適応した個々の方法または施設のプロトコールにもとづき,患者選択,投与量,治療のタイミングは担当医の裁量とした。なお,本解析対象患者は全例,AHA小児脳梗塞ガイドライン(Stroke 2008; 39: 2644-91)発行前に治療が行われた。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
IPSS試験登録患者のうち,15例(2%,静注9例+動注6例)がalteplaseの投与を受けた。2例が死亡したが,alteplaseとの関連は認められなかった。退院時の状態は,神経学的欠損なし1例,神経学的欠損あり12例(軽症6例,中等度2例,重度3例,不明1例)。
[静注患者9例における検討]
症状発現からalteplase投与までの時間中央値は3.3(2.0-52.0)時間,3時間以内の開始は4例であった。総投与量は0.02-0.9mg/kg。
alteplase投与後の脳内出血は2例に発症し,いずれも無症候性であった。
転帰は死亡1例(脳ヘルニア合併の中大脳動脈解離および脳卒中),神経学的欠損あり8例。
[動注患者6例における検討]
症状発現からalteplase投与までの時間中央値は4.5(3.8-24.0)時間,6時間以内の開始は4例であった。
alteplase投与後の脳内出血は2例に発症し,いずれも無症候性であった。
転帰は死亡1例(脳幹梗塞),神経学的欠損なし1例,神経学的欠損あり8例。

IPSS試験登録患者のうち,alteplase投与を受けなかった動脈性脳梗塞患者610例の転帰は,神経学的欠損なし135例(22%),死亡21例(3%),神経学的欠損あり454例(75%)。
IPSS試験登録外の症例報告(10例)との比較では,本解析対象者は多くが若く,治療までの時間が長く,転帰不良であり,これは出版バイアスがあるものと考えられた。

●有害事象

文献: Amlie-Lefond C, et al.; for the International Pediatric Stroke Study. Use of alteplase in childhood arterial ischaemic stroke: a multicentre, observational, cohort study. Lancet Neurol 2009; 8: 530-6. pubmed
関連トライアル Bravo Y et al, Cappellari M et al, ECASS III, ECASS III additional outcomes, EPITHET, IPSS antithrombotic treatments, IST-3 18-month follow-up, J-ACT, J-MARS, RECANALISE, rtPA血栓溶解療法の転帰における性差, Saqqur M et al, SITS-ISTR, SITS-ISTR 2010, SITS-ISTR weight >100kg, SITS-MOST, Toni D et al, 発症からalteplase静注までの時間と転帰
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