抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
Georgiadis D et al, 2009 Aspirin vs anticoagulation in carotid artery dissection: a study of 298 patients
結論 非ランダム化試験における検討ではあるが,自発性頭蓋外内頸動脈解離(sICAD)患者において,新規の脳および網膜虚血事象の頻度は低く,抗血栓療法の種類(aspirin/warfarin)との関連はみられなかった。

目的 頸部頸動脈の自発性解離患者においてaspirinおよびwarfarinの有効性,安全性を検討したランダム化比較試験はまだ行われていない。本論文では,初期診断から3ヵ月以上aspirin単独または抗凝固薬単独療法を受けたsICAD患者において,虚血事象および有害事象の発生率,予測因子を検討。エンドポイント:新規の脳または網膜虚血事象,症候性頭蓋内出血,頭蓋外大出血。
デザイン 前向き登録研究。本論文は後ろ向き解析。
セッティング 単施設,スイス。
期間 治療期間は1987年12月~2005年11月。追跡期間は3ヵ月。
対象患者 298例。1987年12月~2005年11月に初回sICADと診断されaspirin単独または抗凝固薬単独を受けた患者連続例。脳梗塞/TIA/網膜虚血(一過性黒内障または網膜梗塞)患者は症状発現後24時間以内に抗血栓療法を開始した場合のみ検討した(抗血栓療法終了後24時間以内に血栓溶解療法静注を行った患者は除外)。
【除外基準】aspirin投与後抗凝固薬投与を受けた患者,aspirin使用中にsICADと診断され抗凝固薬投与を受けた患者,抗血栓薬非投与,sICAD再発,試験期間中外科治療かつ/または血管内治療を実施。
【患者背景】平均年齢は抗凝固薬群46±10歳,aspirin群46±11歳。各群の性別(男/女)115/87例,53/43例。高血圧27.7%,26%。糖尿病1%,0%。高コレステロール血症30.2%,35.4%。冠動脈疾患0.5%,1%。脳梗塞58.4%,49%。一過性脳虚血発作12.4%,12.5%。
治療法 抗血栓薬の種類は担当医により選択された。抗凝固薬(96例)は患者がheparin静注(目標トロンビン時間I>200秒,II 10~20秒)を受けている間に開始。heparin静注はINRが連続2日間治療域内になった後中止した。aspirin(202例)は, IST試験発表前は100~300mg/日が用いられたが,発表後は最初の2週間は300mg/日,その後は100mgとした。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
入院時の診断は脳虚血事象210例(脳梗塞165例[55%],TIA 37例[12%],網膜虚血8例[3%]),局所または無症候性88例(局所症状[頭痛,頸部疼痛,ホルネル症候群,脳神経麻痺]80例[27%],自発性椎骨動脈解離を伴う無症候性sICAD 8例[3%])であった。

追跡期間中,虚血事象の発生は抗凝固薬群12例(5.9%),aspirin群2例(2.1%)と有意差は認められなかった(OR 3.0;0.7-13.5)。内訳は脳梗塞1例(0.3%)vs 0例,TIA 8例(4%)vs 2例(2.1%),網膜虚血3例(1.5%)vs 0例。
入院時の診断別の検討では,新規の虚血事象発症は脳虚血事象群13例(6.2%)と,局所症状または無症候性群1例(1.1%)に比し多い傾向がみられた(OR 5.7;0.7-44.6)。

●有害事象
出血性有害事象の発生は抗凝固薬群4例(2%),aspirin群1例(1%)と有意差は認められなかった。内訳は症候性頭蓋内出血2例(1%)vs 0例,頭蓋外大出血2例(1%)vs 1例(1%)。

文献: Georgiadis D, et al. Aspirin vs anticoagulation in carotid artery dissection: a study of 298 patients. Neurology 2009; 72: 1810-5. pubmed
関連トライアル Asymptomatic Cervical Bruit Study, Dutch-TIA Trial, ESPRIT , FISS-tris, German Stroke Study Collaboration, Gherli T et al, JAST, JETS-1, SPIRIT, WASID subgroup analysis, 脳卒中/TIA既往患者におけるaspirin+dipyridamole併用とaspirin単独投与の比較
関連記事