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RECORD4 Regulation of Coagulation in Orthopedic Surgery to Prevent Deep Vein Thrombosis and Pulmonary Embolism 4
結論 待機的膝関節全置換術後の患者において,rivaroxaban(リバーロキサバン)10mg,1日1回経口投与は,enoxaparin(エノキサパリン)30mg,1日2回皮下投与に比し,静脈血栓塞栓症を約30%抑制した。出血事象発生率は同程度に低かった。
コメント 本研究は,経口抗Xa阻害薬リバーロキサバンがエノキサパリンよりも,人工膝関節置換術後の深部静脈血栓症,非致死的肺塞栓,総死因死亡を合わせた複合エンドポイントを30%減少させることを明確に示した。米国胸部疾患学会(ACCP)は,10日以上にわたるヘパリンや低分子ヘパリンを用いた静脈血栓塞栓症の予防を推奨している。これまで静脈血栓症予防の効果が確立している低分子ヘパリンであるエノキサパリンの皮下注射に比べ,リバーロキサバン経口投与が,出血合併症を有意に増加させることなく,静脈血栓症をより有効に抑制することを無作為比較二重盲検試験において示した意義は大きい。今後のガイドラインに影響を与える重要な臨床試験である。(苅尾七臣

目的 待機的膝関節全置換術後において,静脈血栓症予防のためのrivaroxaban 10mg,1日1回経口投与の有効性および安全性を,enoxaparin 30mg, 1日2回皮下投与と比較。有効性の一次エンドポイント:手術の16日後までの深部静脈血栓症+非致死的肺塞栓症(PE)+全死亡。有効性の二次エンドポイント:主な静脈血栓塞栓症(近位部の深部静脈血栓症,非致死的PE,静脈血栓塞栓症関連死)。安全性の一次エンドポイント:試験薬初回投与-最終投与2日後の大出血。
デザイン ランダム化,二重盲検,非劣性試験(非劣性限界-4%)。NCT00362232。
セッティング 多施設(131施設),12ヵ国(アジア,北米,ヨーロッパ)。
期間 登録期間は2006年6月-2007年10月。
対象患者 3148例。待機的膝関節全置換術を予定された18歳以上の患者。
【除外基準】活動性出血または出血ハイリスク,enoxaparinの禁忌または用量調整を要する疾患,臨床的に重篤な肝疾患,重度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス<30mL/分),チトクロームP450を強く抑制する薬剤(プロテアーゼ阻害薬,ketoconazoleなど)の併用,間欠的空気圧迫法の予定,経口抗凝固薬継続の必要など。
【患者背景】平均年齢はrivaroxaban群64.4±9.7歳,enoxaparin群64.7±9.7歳。各群の女性66.0%,64.1%。BMI 30.9±6.2kg/m 2,30.7±6.0kg/m 2。静脈血栓塞栓症の既往2.5%,1.9%。整形外科手術歴31.7%,33.0%。膝関節置換術のタイプ;初回97.5%,98.1%,再施行2.4%,1.9%。
治療法 手術前にrivaroxaban群*1,enoxaparin群*2にランダム化。
*1:1526例。置換術施行6-8時間後または適切な止血達成後,rivaroxaban 10mgを22-26時間間隔で夜投与。
*2:1508例。置換術施行12-24時間後enoxaparin 30mg,10-14時間間隔で皮下投与。
試験薬は手術の10-15日後に行われた必須の両側静脈造影の前日夜まで投与。静脈造影後は試験薬の投与はせず,試験期間終了後の血栓予防薬投与は担当医の裁量とした。
追跡完了率 有効性の一次解析不能は39%。
【脱落理由】両側性静脈造影非実施,造影不明瞭など。
結果

●評価項目
per protocol集団における有効性の一次エンドポイントはrivaroxaban群58例(6.7%),enoxaparin群82例(9.3%)と,非劣性基準に合致しただけでなく(p<0.0001),rivaroxabanの優位性も示された(p=0.0362)。
修正intention-to-treat集団における有効性の一次エンドポイントはrivaroxaban群67例(6.9%)と,enoxaparin群97例(10.1%)に比し抑制された(絶対リスク低下3.19%,95%CI 0.71-5.67,p=0.0118,相対リスク低下31.36%)。
内訳は,無症候性深部静脈血栓症55例(近位部3例,遠位部52例)vs 76例(近位部13例,遠位部63例),症候性深部静脈血栓症6例 vs 10例,非致死的症候性PE 4例 vs 8例,死亡2例 vs 3例。
修正intention-to-treat集団における有効性の二次エンドポイントは13例(1.2%)vs 22例(2.0%)(p=0.1237)。

●有害事象
大出血はrivaroxaban群10例(0.7%),enoxaparin群4例(0.3%)と同等であった(加重絶対リスク上昇0.39%,95%CI -0.09-0.88,p=0.1096)。

文献: Turpie AG, et al.; RECORD4 Investigators. Rivaroxaban versus enoxaparin for thromboprophylaxis after total knee arthroplasty (RECORD4): a randomised trial. Lancet 2009; 373: 1673-80. pubmed
関連トライアル ADOPT, ADVANCE, ADVANCE-2, APROPOS, ATLAS ACS 2-TIMI 51, ATLAS ACS-TIMI 46 , BISTRO II , CASSIOPEA, dabigatran,rivaroxaban,apixabanによる関節置換術後の血栓予防, DRIVE, EINSTEIN-DVT and EINSTEIN-Extension, EINSTEIN-PE, EXULT A, FOTO, MAGELLAN, ODIXa-HIP, ODIXa-KNEE, ODIXa-OD-HIP, ORTHO-TEP Registry, PREVAIL, PREVENT 2004, RE-MODEL, RE-NOVATE, RECORD1, RECORD2, RECORD3, ROCKET AF, ROCKET AF previous stroke/TIA, SAVE-KNEE, SAVE-HIP1, SAVE-HIP2, VENUS
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