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JEPPORT Japanese Evaluation of c7E3 Fab for Elective and Primary PCI Organization in Randomized Trial
結論 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行する日本人の急性冠症候群患者において,abciximabは主要冠イベント発生を抑制せず,出血および血小板減少症を増加させた。
コメント 欧米を中心とする世界ではよく使われているGP IIb/IIIa受容体阻害薬が本邦では認可承認されなかった理由がわかる論文である。出血イベントが用量依存性に増加するにもかかわらず,血栓イベントの減少には用量依存性が認められなかった。日本人のイベントにおいて血栓性因子の関与が必ずしも大きくないことを示唆している。(後藤信哉

目的 急性心筋梗塞(AMI)または不安定狭心症のためにPCIを施行する日本人患者において,abciximabの有効性および安全性を検討。有効性の一次エンドポイント:30日間の主要冠イベント(死亡,MIかつ/または虚血再発による緊急血行再建術)。
デザイン ランダム化,二重盲検,プラセボ対照。
セッティング 多施設(89施設),日本。
期間 第1期の登録期間は1997年5~11月,第2期の登録期間は1998年10月~2000年4月(試験の途中で海外の当局よりabciximabの用量を体重により調整するよう要求されたため,試験を一時中断し,用量を変更後再開した。中断前を第1期,再開後を第2期とする)。
対象患者 973例。AMI *1または不安定狭心症(安静狭心症または梗塞後狭心症)のためにPCIを施行する患者。
*1:20分以上持続する胸痛の発現から12時間以内,かつ複数の誘導で0.1mV以上のST上昇または幅が0.04秒以上のQ波かつ/または深さ0.25%以上のR波を呈する。
【除外基準】年齢75歳以上,体重100kg超(いずれも第2期のみ,第1期は制限なし),初回のステント植込み/DCA/ロータブレーターの予定,血小板減少症の既往,出血症状または出血性素因,6週間以内の手術施行,脳血管疾患または2年以内のその既往,左主幹部の50%以上の狭窄,3枝病変,管理不良の高血圧または肺高血圧,心肺停止の蘇生救急を必要とする心原性ショック。
【患者背景】平均年齢はプラセボ群60.2±9.5歳,低用量群61.1±9.4歳,高用量群60.8±10.1歳。各群の男性83%,82%,79%。糖尿病30%,32%,31%。高血圧51%,54%,51%。脂質異常症48%,44%,44%。AMI 77%,76%,78%,不安定狭心症23%,25%,22%。
治療法 冠動脈造影にて病変を特定後,低用量群*2(314例),高用量群*3(321例),プラセボ群(303例)にランダム化。
*2:abciximab 0.20mg/kgボーラス投与後,10μg/分(第1期)または0.125μg/kg/分(第2期)を12時間静注。
*3: abciximab 0.25mg/kgボーラス投与後,低用量群と同じ用量を12時間静注。
heparin(初回量は第1期:100U/kg,第2期:70U/kg),aspirin≦162mg/日は併用投与したが,以下の薬剤は試験開始後6ヵ月間禁止とした;血栓溶解薬,aspirin以外の抗血小板薬(bailout stentingの場合ticlopidineを許可),heparin以外の抗凝固薬,PGE1およびその誘導体,dextran,低分子量dextran。
追跡完了率
結果

●評価項目
第1期の登録は223例,第2期は750例であった。
一次エンドポイントは低用量群5例(1.6%),高用量群13例(4.1%),プラセボ群11例(3.6%)と,群間差は認められなかった(プラセボ群 vs 低用量群p=0.104,プラセボ群 vs 高用量群p=0.772)。
内訳は,死亡:1例(0.3%)vs 1例(0.3%) vs 0例,MI:3例(1.0%)vs 9例(2.8%)vs 9例(3.0%),緊急血行再建術:1例(0.3%)vs 8例(2.5%)vs 3例(1.0%)。

●有害事象
出血性合併症は用量依存的に増加した(第1期:プラセボ群 vs 高用量群p=0.010,第2期:プラセボ群 vs 高用量群p=0.020)。
大出血は,第1期では高用量群2例(2.5%),第2期では高用量群,プラセボ群各1例(0.4%)に発生した。低用量群は0例。
血小板減少症は第1期:プラセボ群1.4%,低用量群8.8%,高用量群10.4%(p=0.035),第2期:1.7%,6.6%(p=0.010),8.3%(p=0.001)に発生した。

文献: Nakagawa Y, et al. Efficacy of abciximab for patients undergoing balloon angioplasty: data from Japanese evaluation of c7E3 Fab for elective and primary PCI organization in randomized trial (JEPPORT). Circ J 2009; 73: 145-51. pubmed
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