抗血栓トライアルデータベース
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j-Cypher
結論 sirolimus溶出性ステント(SES)植え込み施行患者において,aspirinおよびチエノピリジン系薬剤の両剤の中止はステント血栓症リスク上昇と相関がみられたが,チエノピリジン系薬剤のみ中止では相関は認められなかった。ランドマーク解析によると,チエノピリジン系薬剤のSES植え込み後6ヵ月以上の使用には明らかな臨床ベネフィットは示されなかった。
コメント 日本人に対するシロリムス溶出性ステント使用例の予後を観察した前向き研究で,価値が高い。総死亡に対する心血管死亡率の割合が低い,抗血小板薬併用療法非使用下でもステント血栓症のリスクが高くなかったなど,日本人の特徴を示した臨床研究となった。(後藤信哉

目的 SES植え込み施行患者において,抗血小板薬併用療法の至適期間を検討。
デザイン 前向き観察研究。
セッティング 多施設(37施設),日本。
期間 追跡期間は2年。
対象患者 10778例。2004年8月-2006年11月,試験参加施設においてSES植込み施行を受けた患者。
【除外基準】―
【患者背景】平均年齢は68.3±10.2歳,80歳以上13%。男性75%。高血圧75%。糖尿病41%。急性冠症候群21%(ST上昇型心筋梗塞[MI]6.8%,非ST上昇型MI 2.0%,不安定狭心症13%)。MI既往28%。PCI歴48%。CABG歴7.3%。多枝病変50%。治療病変数1.22±0.47。病変部位;LAD 42%,LCx 21%,RCA 33%,LMCA 3.4%,伏在静脈グラフト0.7%。
治療法 推奨レジメンはaspirin≧81mg/日を無期限投与,およびチエノピリジン系薬剤(ticlopidine 200mgまたはclopidogrel 75mg)を最低3ヵ月投与。投与期間は担当医の裁量とした。
追跡完了率 1年の追跡完了率は96%。
結果

●評価項目
入院中の薬剤投与率はaspirin 98.9%,チエノピリジン系薬剤99.5%(ticlopidine 96.9%,clopidogrel 2.6%)であった。チエノピリジン系薬剤の使用は,30日後97%,1年後62%,2年後50%。
2年後の臨床転帰は,死亡7.2%,心臓死3.7%,突然死1.4%,MI 1.5%,ステント血栓症関連MI 0.7%であった。
ステント血栓症(definite)発症は,30日後0.34%(95%CI 0.23%-0.45%),1年後0.54%(95%CI 0.4%-0.68%),2年後0.77%(95%CI 0.58%-0.96%)であった。
ステント血栓症発症時に抗血小板薬併用療法を継続していたのは,30日以内の発症では86%,31-365日の発症では57%,366-730日では36%であった。
aspirinおよびチエノピリジン系薬剤の両剤を中止した患者では,併用を継続した患者に比し,ステント血栓症発症率が31-180日では1.76% vs 0.1%(p<0.001),181-365日では0.72% vs 0.07%(p=0.02),366-548日では2.1% vs 0.14%(p=0.004)と高かった。
aspirinの中止を考慮すると,試験期間のいずれの時点においても,チエノピリジン系薬剤のみの中止とステント血栓症発症リスクとの相関はみられなかった。
ランドマーク解析によるチエノピリジン系薬剤継続の有無別の検討では,2年後の死亡またはMIの発生率(補正後)は継続中4.1% vs 中止4.1%(p=0.99)と,有意差は認められなかった。死亡は3.4% vs 3.4%(p=0.9),MIは0.6% vs 0.8%(p=0.42)(いずれも補正後)。

●有害事象
表記なし。

文献: Kimura T, et al.; j-Cypher Registry Investigators. Antiplatelet therapy and stent thrombosis after sirolimus-eluting stent implantation. Circulation 2009; 119: 987-95. pubmed
関連トライアル DES植込み患者における抗血小板療法中止の安全性, RESOLUTE post hoc analysis, Sibbing D et al (2009, JACC), SPIRIT III
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