抗血栓トライアルデータベース
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Ibrahim SA et al Thrombolytic therapy and mortality in patients with acute pulmonary embolism
結論 急性肺塞栓症(PE)により入院した患者15000例において,血栓溶解療法の実施はまれであった。入院時の臨床的特徴にもとづく血栓溶解療法実施の予測的可能性が相対的に低い症例では,院内死および30日後の死亡のリスクが高かった。

目的 急性PE患者に対する血栓溶解療法のベネフィットについて,一定の見解は得られていない。本論文は州規模のデータベースを用いて血栓溶解療法実施率を調査し,30日後および院内の死亡率との関係を検討。
デザイン 後ろ向きコホート研究。傾向スコア分析。
セッティング 多施設(186施設),米国。
期間 対象患者に表記。
対象患者 15116例。ペンシルベニア州のすべての非政府系救急病院の退院患者を包含したペンシルベニア医療費抑制協議会(PHC4)のデータベースに登録された,2000年1月~2002年11月にPEの一次診断を受け退院した18歳以上の患者。PEの二次診断かつ以下(呼吸不全/心原性ショック/心停止/二次性肺高血圧/失神/血栓溶解療法実施/挿管または人工呼吸;PEの合併症または治療としてありうるもの)の一次診断を受けた患者も対象とした。
【除外基準】データ欠落,生死不明の退院者。また,他の病院から/他の病院への搬送;主要な臨床所見がない:大出血の診断を受け,かつ血栓溶解療法を受けていない患者も除外した。
【患者背景】年齢(p<0.001)は血栓溶解療法を受けた群<52歳28.7%,受けなかった群24.7%,52~67歳31.2%,24.1%,67~77歳23.9%,24.2%,≧77歳16.3%,26.9%。男性47.2%,40.0%(p=0.01)。併存疾患:癌16.0%,19.4%,肺疾患12.9%,18.5%(p=0.01),心不全10.1%,15.9%(p=0.004),虚血性心疾患39.9%,29.6%(p<0.001),脳血管疾患4.5%,9.2%(p=0.009),肺血管疾患7.6%,1.9%(p<0.001),失神3.4%,1.3%(p=0.001),糖尿病13.5%,13.0%。
治療法
追跡完了率
結果

●評価項目
対象患者15116例のうち,血栓溶解療法を受けたのは356例(2.4%)であった。
30日後の死亡率は血栓溶解療法を受けた群17.4%と,受けなかった群8.6%に比し高かった(OR 2.2,95%CI 1.7-3.0,p<0.001)。
院内死は19.6/1000患者・年 vs 8.3/1000患者・年であった。
傾向スコアを用いて血栓溶解療法を受けた群/受けなかった群間を補正,血栓溶解療法を受けなかった群の傾向スコアを血栓溶解療法を受けた群の5分位分布に合致させ,解析を行った。
30日後の死亡リスクは第1五分位群(血栓溶解療法を受ける予測可能性が最も低い)OR 2.8,95%CI 1.3-5.9(p=0.007),第2五分位群OR 3.9,95%CI 2.2-7.1(p<0.001),第3五分位群OR 1.8,95%CI 0.9-3.6(p=0.09),第4五分位群OR 1.0,95%CI 0.5-2.0(p=0.98),第5五分位群(血栓溶解療法を受ける予測可能性が最も高い)OR 0.7,95%CI 0.3-1.4(p=0.30)。
30日以内の院内死亡リスクは第1五分位群OR 3.6(p<0.001),第2五分位群OR 3.7(p<0.001),第3五分位群OR 1.3(p=0.45),第4五分位群OR 0.9(p=0.85),第5五分位群OR 0.8(p=0.63)。

●有害事象
大出血の発生は血栓溶解療法を受けた群19例(5.3%),うち10例が死亡した。受けなかった群では415例(3.5%)で,うち104例が死亡した。

文献: Ibrahim SA, et al. Thrombolytic therapy and mortality in patients with acute pulmonary embolism. Arch Intern Med 2008; 168: 2183-90; discussion 2191-2. pubmed
関連トライアル GUSTO-I 1995, RIETE registry thrombolytic therapy
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